王貞治様 ライバルの君へ 『野村克也からの手紙』

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野村氏がライバルと語る王氏への手紙には、仕事にも人生にも当てはまる真理が、記されている(写真は2008年) 【写真は共同】

 野村克也氏が60年超のプロ野球生活の中で、間違いなくNO・1の打者と断言するのが、王貞治氏だ。1936年生まれの野村氏に対して王氏は40年生まれ。野村氏にとっては4つ下の後輩にあたるが、「ライバル」として現役時代に意識した存在でもあったという。

 通算本塁打数は、868本の日本記録を樹立した王氏に次ぎ、野村氏は657本で歴代2位。63年、野村氏がシーズン本塁打の日本新記録52号を放った翌年、55本を叩き出して記録を更新したのが王氏だった。

 以来、野村氏の中に芽生えたのが「敵対心」。そんなライバルに、野村氏が一通の手紙を書いた。神様は、どんな人間を見ているのか。仕事にも人生にも当てはまる真理が、記されている。

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神様は、努力する人間を見ている

 妻・沙知代の『お別れの会』では多忙の中、発起人を務めてくれて、ありがとう。おかげで大勢の方に妻を見送ってもらうことができ、感謝している。なかなかゆっくり話をする機会もないので、ここで一筆したためておきたい。

 ワンちゃんは俺から見れば、ライバルといえばライバルだし(そちらは、そうは思っていないだろうが)、俺の60年超のプロ野球生活において、間違いなくNO・1のバッターだ。

 実際、俺はコラムを連載している『週刊ベースボール』で、「史上最強のバッターは?」と聞かれたとき、迷わず「王貞治」の名を挙げさせてもらった。

 君のすごさは、まず「当たり前のことを当たり前にやっているところ」だと思う。好球必打。失投は決して逃さない。『世界の王』だからといって、難しい球ばかり打っているわけではなく、要は打ち損じがないということだ。ワンちゃんに限らず、いいバッターは皆、好球必打。二流バッターほど、好球“凡打”になってしまう。

 俺は、バッティングには積極性と集中力という二大要素があると考えている。
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