健闘のラグビー日本代表、逆転負けの理由 イングランド戦「勝てた試合を…」
8万人超、完全アウェイの一戦
試合前に国歌を斉唱するラグビー日本代表 【斉藤健仁】
英国遠征中のラグビー日本代表(世界ランキング11位)は11月18日、ラグビーの「聖地」であるトゥイッケナム・スタジアムで、ラグビーの母国であり、日本代表前指揮官エディー・ジョーンズHC(ヘッドコーチ)が率いるイングランド代表(同4位)と激突した。
過去の対戦成績は日本代表の0勝8敗。8万1151人もの大観衆が詰めかけた完全アウェイの試合の前半は、ジェイミー・ジョセフHCが2年前に就任して以降、一番とも言える内容だった。
試合前、FLリーチ マイケル主将は勝つためのポイントを「タックル、ブレイクダウン(タックル後のボール争奪戦)、走る」と挙げて、「(2週間前に対戦したニュージーランド代表)オールブラックスと比べたらハンドリングスキルはそこまで高くないので、自分たちのディフェンスにはまる」と自信をのぞかせていた。
ジョセフHCも「スクラム、ラインアウトで自分たちのボールを取る。ほとんどのチームがイングランド代表と対戦するときセットプレーで苦戦するので、そこがチャレンジだ。セットプレーでボールが取れればモメンタム(勢い)を作れる。そこを目標に1週間やってきた」とセットプレーを勝敗の鍵に挙げた。
前半は攻守ともに狙い通りの展開
WTB福岡はスピードを生かして何度もチャンスを作り出した 【斉藤健仁】
オールブラックス戦で課題だったブレイクダウンでも、ボールキャリアがしっかりと前に出て、2人目もしっかりと相手を排除する意識が高かった。するとアタックにテンポが出るのは必然だった。また相手のバックスリー(WTB、FBの3人)が日本代表のキックを警戒して下がっていたこともあり、バックドア(ダブルラインの裏へのパス)を使って両サイドに展開し、WTBからキックを蹴ることで、エリアを得ることにも成功。
中村、リーチのトライなどでリード
前半22分にトライを奪ったCTB中村 【斉藤健仁】
相手にPGを決められて同点に追いつかれた後の31分、左サイドでCTBティモシー ラファエレのグラバー(転がす)キックをキャッチしたWTB福岡が前に出て、その後、右に展開。あらかじめ「ポッドアタック(複数のユニットを配置して攻撃する)」で右に張っていたWTB山田とFLリーチがパス交換し、最後はリーチが相手を4人かわして、インゴール右中間に飛び込んで15対10と再びリードする。
前半は、ほぼ日本代表が主導権を握っていた。だが5点しかリードできなかった。3分の失トライもキックカウンターから、簡単なタックルミスで与えた「ソフトトライ」だった。前半の序盤と最後にもゴール前で大きなチャンスがあったが、遂行力に欠けていた。あと10点くらい取って、得点でも相手にプレッシャーをかけたいところだったが……。