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ブンデスでの苦労を糧とした鎌田大地
決定力をベルギーメディアが絶賛

「鎌田が“ニュー・スシボンバー”」

ここまでリーグ戦で8ゴールと好調を維持している鎌田
ここまでリーグ戦で8ゴールと好調を維持している鎌田【Getty Images】

 ベルギーの公共放送局『エエン』のサッカートーク番組『エクストラ・タイム』に「今週の場面」というコーナーがある。ゲスト4人がそれぞれ、気になるサッカーのトピックを披露し合うコーナーだ。現地時間11月12日の放送で、モー・ムサイディ(ベールスホット、ベルギー2部)が語ったのはシント・トラウデンVV(STVV)のMF鎌田大地のことだった。


「FW久保裕也(前AAゲント、現ニュルンベルク)がベルギーリーグを去り、鎌田が“ニュー・スシボンバー”。鎌田はオイペン戦で、MFロマン・ベズスのスルーパスから抜け出しゴールを決めた。その後、VARで取り消されてしまったが、難しいクロスボールをうまく合わせてファーサイドに蹴り込んだ。そして最もスペシャルなゴールが2点目。セットプレーからDF冨安健洋がペナルティーエリアを横切り、壁をブロックして鎌田をフリーにさせた。そして鎌田の2点目が決まった。フェノメノ(“超常現象”。転じて“怪物”の意)。鎌田はここまで8ゴール。アベレージにすると72分で1ゴールを決めている」


 現地時間11月13日付の『ヘット・べラング・ファン・リンブルフ』紙に載った資料を見れば、鎌田の決定力の高さは一目瞭然だ。


ゴール数/出場時間/1Gの平均時間

・鎌田大地(STVV)

8ゴール/581分/73分

・シュライヴェルス(クラブ・ブルージュ)

7ゴール/668分/95分

・トロサール(RCゲンク)

8ゴール/830分/104分

・サンティニ(アンデルレヒト)

9ゴール/936分/104分

・ディマタ(アンデルレヒト)

10ゴール/1062分/106分


 夏の移籍市場の最終日にフランクフルトからSTVVに期限付き移籍した鎌田は、第7節のAAゲント戦の60分から出場し、チームを2−1の勝利に導くゴールを決めた。第8節のアントワープ戦は76分からピッチに入り、後半アディショナルタイムにリードを広げる得点を決めた。


 続くアンデルレヒト戦(0−0)は残り1分からの出場に留まったが、第10節のロイヤル・エクセル・ムスクロン戦で初めてスターティングメンバーに入り、ゴールを決めると、そこからレギュラーの座を確保し続けている。


 現地時間11月4日付『ヘット・べラング・ファン・リンブルフ』紙は「1年前、ベルギーリーグに一人の日本人のフェノメノが表れた。MF森岡亮太(現アンデルレヒト)だ。彼はベフェレンのスターになった。鎌田大地は、森岡のような道を歩んでいるかに見える。8月にSTVVに入団した鎌田は、即座にクラブ内得点王になった」と記している。


 STVV内で、鎌田の8ゴールに続くのが、ストライカーを務めるFWヨハン・ボリの3ゴールだ。日本時間11月15日現在で5位と好調なSTVVだが、開幕直後から決定力不足が指摘されていたチームだけに、鎌田の加入がなければ、ここまでの好成績は残せなかっただろう。

フランクフルトでの1年間で「すごく成長できた」

 オイペン戦で2ゴールを決めた後、ベルギー人記者たちが鎌田に群がった。


――ベルギーリーグの得点王を狙うか?


「点を取れていることはいいことですが、僕はストライカーでもないですし、ベルギーリーグに来たタイミングも遅かったですし、そんなに気にせずにやりたいです」


――鎌田選手は冷静ですね


「逆にドイツでは『プレーが遅い』と言われたり、僕が弱々しく見られたり、違う国に行けば違う捉え方をされていた。今はうまく行っているので、そういうふうに(冷静とポジティブに)見られるのかもしれませんが、僕はボールの失い方が悪かったり、弱々しいところがあるので、もっと改善できる部分があるかなと思います」


――フランクフルトの起用法が悪かったことを証明するために、ベルギーに来てますか? シーズン後、ベルギーに残ることを考えてますか?


「去年(ドイツで)出られなかったのは、素直に僕の実力不足だと思います。去年はチーム自体すごく良くて、いい選手を目の前でいっぱい見ていました。今年もフランクフルトの調子がいいので、いいチームだと思います。来年に関しては本当にふたを開けてみないと分かりませんので、先のことは分かりません」


 ようやくベルギー人の記者たちから解放された鎌田が、日本人記者に向けてこう言った。


「去年、フランクフルトで1年間やったのが良かった。試合に出られず、苦しいシーズンを過ごしました。そのことを周りがどう思っているか分かりませんが、僕自身はすごく成長できたと思います。試合に出られなかったということは、僕自身、何かが必要だったということ。だから、毎日の練習で得点を意識していました。チームの中でも、練習試合だったら得点を取っていたほうです。そういう部分が磨かれたので、ベルギーで得点ができている。鳥栖からSTVVに来ても、これだけの点を取ることはできなかったと思います。僕自身、プレースタイルが変わってきている。去年の1年間がすごく大きかったと思います」

中田徹
中田徹

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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