「試合は」面白いネーションズリーグ オランダ再建を支えるCLの尊い経験

中田徹

「5年後…」クーマン監督は不敵に笑う

ロメル・ルカク(写真右)らを中心にワールドカップロシア大会で3位に入ったベルギー代表だが、問題点も抱えている 【写真:ロイター/アフロ】

 オランダにも変わらぬものがある。試合後のロナルド・クーマン監督は、オランダ人特有のビッグマウスでベルギー人記者たちをあぜんとさせた。

「ここ2カ月で多くの若い選手たちが伸びてきた。この2度の国際マッチウィークで5人から7人ほどの21歳、22歳の選手が代表チームに加わった。今のベルギーに、それだけの若手選手がいるだろうか」

「ここ2カ月」とは、チャンピオンズリーグ(CL)の時期とピッタリ合う。クラブ・ブルージュでアルノ―・グルンフェルトが、アヤックスでドニー・ファン・デ・ベーク、マタイス・デ・リフト、フランキー・デ・ヨングが、PSVでベルフワイン、デンゼル・ダンフリース、パブロ・パウリーノ・ロザリオが貴重な経験を積んだ。「CLの1試合は、通常の国内リーグ10試合以上に匹敵する経験ができる」とクーマン監督は言う。

 一方、ベルギーにはベルギーの事情がある。今年の3月、U−21オランダ代表はU−21ベルギー代表に1−4の完敗を喫している。ベルギーにもタレントはいるのだ。だが、黄金時代を迎えたベルギー代表の中に、若手選手が割って入るのはかなり難しい。

 スイス戦、オランダ戦とハンス・ファナケン(クラブ・ブルージュ)は出場機会がなかった。ベルギーリーグ最優秀選手にも選ばれた長身のMFで、左右の足から決定的な仕事をする良い選手だ。だが、もう26歳。代表でブレークするには少し遅い。「国外でプレーするスターと、国内リーグのスターとの差」と言ってしまえばそれまでだが、チャンスが与えられないのが本当に惜しい逸材だ。

 オランダが若手をどんどん抜擢(ばってき)できるのは、追う者の強みなのかもしれない。その土台はクラブにおけるCLでの尊い経験である。

「5年後、彼らは27歳になる」。そう言って、クーマン監督は笑うのだ。

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著者プロフィール

1966年生まれ。転勤族だったため、住む先々の土地でサッカーを楽しむことが基本姿勢。86年ワールドカップ(W杯)メキシコ大会を23試合観戦したことでサッカー観を養い、市井(しせい)の立場から“日常の中のサッカー”を語り続けている。W杯やユーロ(欧州選手権)をはじめオランダリーグ、ベルギーリーグ、ドイツ・ブンデスリーガなどを現地取材、リポートしている

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