若い2列目を生かした「絶対的FW」大迫 真の柱になるためにやるべきこととは
前半36分に一時勝ち越しとなるゴールを決めた大迫 【写真:松尾/アフロスポーツ】
年長者らしく冷静にアタッカーをコントロール
そのハードルの高さはウルグアイ戦でも変わらなかった。新キャプテン・吉田麻也を筆頭に、長友佑都、酒井宏樹らロシアの主力メンバーが軸となった守備陣、柴崎岳と遠藤航という同い年の2人がコンビを組んだボランチとは異なり、前線アタッカー4枚の中でロシア組は大迫1人。南野とは1試合をこなしてまだ感覚がつかめているものの、堂安律と中島翔哉とはほぼ初めてだ。
「大迫選手は経験があって、前でキープもできますし、ゴール前の駆け引きも上手。ポルティモネンセにもジャクソン(・マルティネス)とか同じタイプの選手がいて、自分との相性がすごくいいので、やりやすいんじゃないかと思います」と左サイドに陣取った新背番号10は期待を口にしていたが、彼らの長所を生かしつつ自分も生きるというテーマを絶対的1トップは託された。
開始10分に南野の先制弾が生まれ、28分にウルグアイが追いつくという出入りの激しい展開の中、背番号15も前線で体を張ってターゲットになりつつ、攻めを円滑に動かそうと試みた。その姿勢が結実した1つの形が前半34分の理想的な崩し。遠藤から大迫へクサビのパスが入り、中島、長友を経由して精度の高いクロスが入り、そこに大迫が飛び込んだ決定機だ。惜しくもシュートはジャストミートせず、枠を捉えることはなかったが、このような効果的な攻めのスイッチを入れられるのが大迫だ。そして、このわずか2分後には、中島の強烈シュートをGKフェルナンド・ムスレラが弾いたこぼれ球を拾ってゴール。6月19日のW杯ロシア大会初戦・コロンビア戦以来の得点を奪うことに成功。「こぼれてくるだろうと思って、足元を狙いました」と本人も自信をのぞかせた。
日本は後半にも堂安と南野がゴールを奪ってウルグアイを4−3で破る金星をつかんだ。大迫は「前へ縦に行く選手が多いので、僕のところでしっかりと落ち着かせないと苦しくなる。今は勢いよくガンガン行ってもらうことが一番だと思うので、それを続けながらうまくコントロールできるようにしたいですね」と年長者らしい冷静さで、2列目アタッカートリオを操縦した。
「サコ君(大迫)は存在感があったし、ボールを収めるプレーとかを見ても、やっぱりW杯を戦っているメンバーはたくましいと感じた。僕もサコ君に入った時は周りでうまく動けたし、ビルドアップの時もお互いスペースを打ち消し合うことなくプレーできた」と殊勲の南野も大迫の援軍が力になったとしみじみ語っていた。ヴァイッド・ハリルホジッチ、西野朗、森保と指揮官が変わっても、彼の存在価値はやはり不動である。今回のウルグアイ戦はそれを再認識させる絶好の機会になったと言っていい。