森保監督「チームの共通理解ができた」 国際親善試合 ウルグアイ戦後の会見
森保監督は「チームの共通理解ができた」ことが、勝利につながったとコメント 【写真:高須力】
試合後、森保監督は「選手たちが勝ちにこだわってやってくれて、勝利できて良かった」と試合を総括。「選手たちがチームコンセプトのもと、個の力を発揮する、そしてチームとしてトライすることをやってくれての結果」と一定の評価を示した。また、強豪・ウルグアイに対して、「同じ目線で戦ってくれている」「アウェーでもそういう形で強豪国と試合ができるようにしていきたい」とさらなる向上を誓った。
失点を減らすことはできた
試合の形は別として、選手たちが勝ちにこだわってやってくれて、勝利できて良かったですし、応援してくださる方々に喜んでもらったのも良かったと思います。また今回、キリンチャレンジ(カップ)のパナマ戦、ウルグアイ戦を戦ってきましたが、トレーニングでチームとしてやろうとすること、ミーティングでのチームコンセプトを選手に伝えながら活動してきました。選手たちがチームコンセプトのもと、個の力を発揮する、そしてチームとしてトライすることをやってくれての結果で良かったと思います。
もちろん4点奪って勝てましたし、シュート数でも公式記録で14本。攻撃の姿勢が出て良かったですが、失点を減らすことはできたと思いますし、そういう意味でもさらにいいチームが作れるように、いい内容と結果を出せるように気を引き締めて次を迎えたいと思います。
──前の試合と比べて大迫と南野の距離感とコンビネーションがよくなったと思う。この4日間で何かやったことはあるか?(大住良之/フリーランス)
トレーニングでは攻撃の形を作ることはやりました。しかしながらトレーニングだけでなく、パナマ戦から2人がプレーして、その中でお互いコミュニケーションが取れて、よりいいものを作っていくというコミュニケーションを、ピッチ内だけでなくピッチ外でもとってくれたことがこういう形で出たと思います。2人だけでなく、前線の4人にボランチが絡んでいく、サイドが絡んでいく、ディフェンスラインから縦パスをどう入れる。そういったチームの共通理解ができたことが、いい距離感と形を作れたと思います。
──南野、堂安、中島(翔哉)といった、攻撃の若い選手のプレーをどう見たか。また、彼らが活躍したことでのチームの影響をどう考えるか?
今おっしゃった3人はもちろん、チームとして攻撃の姿勢をもってアグレッシブに戦っていこうということ。攻守ともにアグレッシブに入っていくことをやってくれたと思います。実際、今名前が出てきた3人は得点にも絡んでいますし、チームの攻撃を引っ張っていくという気持ちをもって、自分が得点に絡んでいくという強いアグレッシブな気持ちでプレーしていると思っています。結果もついてさらなる自信になっただろうし、彼らが持った自信がチームにさらにいい形で落とし込んでいけるように、監督として今後につなげていきたいと思います。
──ウルグアイという世界レベルの相手に、これだけの内容の試合ができた。監督もチームの進歩を感じながら試合に臨めたと思うが、これだけのことができると予想していたのか?(田村修一/フリーランス)
まずは私がというよりも、選手がFIFAランク5位のウルグアイに対して、同じ目線で戦ってくれているのかなと思っています。海外でプレーしている選手たちは、ウルグアイの選手とチームメートだったり、日ごろリーグ戦で戦っている相手だったり、そういう意味では選手が同じ目線でウルグアイを相手に戦ってくれていたと思います。
そこは、これまでの選手個々の経験も大きいですが、ワールドカップ(W杯)でベルギーと戦って結果的には負けましたが、そこで同じ目線でもって互角の戦いができるという自信を海外の選手だけでなく、日本代表として、日本サッカーの自信として、国内の選手も含めて持ってくれていたことが、今日のゲーム内容につながったと思います。
もちろんウルグアイはアウェーですし、われわれの選手も欧州から来ている選手は多いですが、非常にアウェーの中で難しい戦いだったと思います。われわれ日本代表の選手たちが、それ以上に彼らと同じ目線で、今後の目標である(W杯)ベスト8以上にいくためには彼らと互角に戦わなければならないという思いを持ってくれたのが大きかったと思います。
今日は勝つことができましたが、まずは世界のトップトップのチームと、常に互角の戦いができるようにしていくことが、目標達成の確率を高めることだと思います。今日はホームでしたが、アウェーでもそういう形で強豪国と試合ができるようにしていければと思います。
個々の責任でもって戦ってくれた
おっしゃる通り、4−2になってから、できればその点差で試合を締めくくりたかったというのが私の中ではありましたし、選手もそこは共有してくれたと思います。しかしながら選手が、守備の部分での入りからアグレッシブに相手の選手に対してチャレンジしていく、ボール奪いにいく、そして多少後手になっても粘り強く、個々の責任でもって戦ってくれたこと。プラス、個々の局面から周りが距離感をよくして相手にやらせないという守備は、選手たちが私が求めていたことを実践してくれたと思います。また日本の良さである、粘り強く対応していくというところを選手は発揮してくれたと思います。
相手の対応も、クロスから一度ファーサイドに入れて、そこから折り返しというところで、ピンチもありましたが最後は身体を寄せて、粘り強く防いでくれました。FKの失点については、われわれがこれから警戒しないといけないところですので、FKの守備もそうですけれど、FKを与えないということ。100%防ぐことは無理でしょうけれど、少しでも相手にチャンスを与えないようにチームとして共有していきたいと思います。
──W杯組の3人がディフェンスラインに入ったが、融合と化学反応という点での手応えは?
融合という意味では、選手たちが今のベストを出してくれたと思いますし、うまくいかない部分があっても、そこは今トライしている段階なんだということ。よりよいものを作っていくということを考えながら、ベストなトライをしてくれていると思っていますし、現段階でのベストを出してくれていると思っています。しかし、ここがクオリティーのトップトップではないと思います。もっと攻撃のクオリティーを上げていけるように、チームとしてさらに上を目指していけるようにしたいと思います。
──チームのコンセプトに縛られすぎたり、あるいは自由にしすぎたり、そのあたりのバランスは難しいと思うが、今回はよくできている印象を受ける。またA代表は活動期間が短い上に、海外組とのコンディションに苦労したりするが、この9月と10月をやってみてどういう印象を持っているか?(後藤健生/フリーランス)
コンセプトのところでは、個の特徴を出すということ。チームとしての役割をコンセプトの中で出していくというのは、言葉にするのは簡単ですが、実際にやるのは難しいです。しかしそこは日本人の良さである賢く両方を合わせてやっていくことを選手たちは示してくれているのかなと思います。その意味で、選手たちは個の特徴を発揮する。プラス、チームのコンセプトとして一体感をもって連係、連動して戦うということは、現段階でのバランスはいいと思いますし、いいトライをしてくれていると思います。
それから9月10月のキリンチャレンジカップの中で、欧州組が戻ってきてチームとして調整して試合をする部分では、やはり時差のことがあったり、直近の試合が終わるのも国内と海外ではバラバラで、終わって帰国してそこからチーム作りをするというところではコンディション調整が非常に難しいと思っています。特に1試合目は、なかなか睡眠もうまくとれない選手や、疲労が回復し切れていないとか。そこでチームとしてコンディションを合わせていくのは難しいですが、選手たちが個々で工夫してくれて、少しでもいいコンディションを作っていくということをやってくれていると思います。チームとしては、全体でのコンディション調整はもちろん、個々でのコンディション調整や練習メニューを考えていくことが必要だと思います。
ウルグアイ代表、オスカル・タバレス監督会見
──後半システムを変えて攻め込んだが、どういう意図があったのか?(大住良之/フリーランス)
リードを奪われている状態だったので、解決策を講じる必要あった。特にフィジカル面でのパフォーマンスを見極めて、ああいった変更を行った。後半の立ち上がりはウルグアイが良かった。5分間で2回のチャンスを作り、そのうち1回は相手GKに防がれてしまった。その後、爆発的な日本の勢いに選手が消耗してしまい、終盤にはフィジカルの問題がさらに顕著になった。
──今回のアジア遠征は2連敗に終わったが、東アジアの2チームと対戦してどんな印象を受けたか?(田村修一/フリーランス)
日本と韓国は両方ともいいチームだった。韓国にはインテンシティーがあり、日本にはスピードと前線でのコンビネーションがあった。われわれは時間をかけて、年内の残りの日程も使いながら新たな可能性を模索する段階にある。日本と韓国は、より明確なチームができ上がっていると思うが、われわれは2019年のコパ・アメリカ(南米選手権)に向けて準備を進めていく。敗戦が続くのは南米予選でも考えられることだが、選手たちにはさまざまな逆境に立ち向かう力がある。アジアの国々とわれわれとの違いは、明確なチームの姿ができているかどうかだと思う。われわれは結果も求めるが、今後に向けて何を修正していくのか見極めることが必要だと思う。
──試合前にマティアス・ベシノが負傷してガストン・シルバが入り、システムもW杯の1戦目と2戦目に近いものになった。それは試合前のアクシデントによるものなのか? それからフィジカル面での影響が出る前の前半にピッチ上でどんな問題があったと考えるか?(舩木渉/フットボール批評)
親善試合とW杯を比較するのは意味がないと思う。W杯の試合は、勝利を手にするためにもっと大変な思いをしないといけないからだ。ロシアのW杯ではさまざまなトラブルがありながらも(FIFAランキングで)5位という順位につけることができた。今日はアップの時点でけが人が出たのには驚いたが、スピーディーに解決策を模索しないといけなかった。代わって起用された(ガストン・)ペレイロはゴールを決めてくれた。彼はさまざまなプレー面でも成長を遂げている。われわれに問題があったというよりも、日本がウルグアイを上回っていたと思う。
それからフィジカル面についてだが、技術面と戦術面はフィジカルと密接で切り離せない関係にある。ロシアでも、ベストコンディションでない選手は最大限のパフォーマンスを発揮できなかった。しかしそれを、長旅とか疲労とかのせいにはしたくない。私が今日の試合で良かったと思うのは、ミスがあっても選手たちが常に前を向いて積極的にプレーしていたこと。それがW杯のような大きな大会では重要なことだ。今日は望んでいたようなプレーが前半はできなかった。日本のGKも2回(得点チャンスを)防いでいた。ただし、私は今日の試合結果だけでなく、今進めている代表のプロセスを踏まえながら俯瞰して、判断することが必要だと思っている。
最後に私から付け加えておきたい。ウルグアイから日本までは、長い旅行をしなければならず、12時間の時差もある。それでもいいこともある。私はこれまで3回日本を訪れたが、日本は常に温かく迎えてくれた。日本は素晴らしい国だと思う。皆様には感謝申し上げたい。
※質問者に関しては、掲載許諾の確認が取れた方のみ明記しています。記名のない方は確認が取れていない方ですので、拒否されている訳ではありません。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ