不可欠なのは「数字に表れない」プレー HCに聞く、○○はうちがNo.1 SR渋谷編

『hangtime』編集部

渋谷は「“まずディフェンスをする”というチーム」

“最激戦区”の東地区で一時は地区2位につけたSR渋谷だが、最後は失速しチャンピオンシップ出場はならなかった 【(C)B.LEAGUE】

 昨シーズンのサンロッカーズ渋谷は、優勝したアルバルク東京、準優勝の千葉ジェッツと同じB1東地区に所属。“最激戦区”と言われた中、10月から12月にかけて10連勝するなど、一時は地区2位につけた。しかし、リーグ後半の2月、3月にかけて9連敗を喫するなど、調子の波が大きく、チャンピオンシップ進出を逃してしまった。

「サンロッカーズは“まずディフェンスをする”というチームです。昨シーズンもディフェンスには手応えを感じていました」と振り返ったのは、勝久ジェフリーヘッドコーチ(HC)だ。Bリーグ初年度の2016−17シーズンから、アシスタントコーチを務め、昨シーズンからはHCとして指揮を執っている。

 昨シーズンのSR渋谷のチーム平均得点は71.3点。これより低いのは、B2へ降格した島根スサノオマジックのみだ。そんなチームにとって「ディフェンスで守り勝つこと」は生命線。そのため勝久HCは「今シーズンもディフェンスリバウンドを取る、最後まで我慢強く守り切ることを意識しています」と、チームのアイデンティティーとも言えるディフェンスのさらなるレベルアップを図っている。

 オフェンスについては「選手ひとりひとりが得意としているプレーを引き出すようなシステムや組み合わせを考えています。今は具体的には言えませんが、簡単に言うと、シューターにはシュートを、ドライブが得意なプレーヤーにはドライブを、ポストプレーヤーにはポストプレーを、やりやすい状況をチームで作るということです」

 そのためのアプローチについても教えてくれた。「昨シーズン、チームのスローガンとして“Together”というのを打ち出しました。今シーズンもそれは継続しています。チーム内でコミュニケーションを取ること、何でも言い合うこと、お互いの意志の確認をすることができるチームになっていると思います。それによって、オフェンスでもディフェンスでも共通理解を深めて、強いチームにしていきたい」。Togetherや共通理解という部分では、ロスターに大きな変化がなかった今シーズンは有利に働くはずだ。

勝久HCの評価も高い元レイカーズのケリーに期待

 ロスターについて、外国籍選手に目を向けると、NBAロサンゼルス・レイカーズでロバート・サクレとチームメートだったライアン・ケリーが新たに加わった。

「すごく多才です。あの身長(211センチ)でアウトサイドシュートも打てるし、ハンドリングもいい。もちろんミスマッチがあれば、インサイドを攻めることもできる。バスケットIQが高く、本当にいろいろなことができる選手です」と勝久HCの評価は高い。さらに、日本でのプレー経験が豊富なマーカリ・サンダース・フリソンの存在も心強いものだ。同じく日本で長くプレーし、帰化選手枠での起用となるファイ・サンバも加わった。

 ベンチ入りできる外国籍選手は2人まで、という今シーズンからの新しいオンザコートルールを考慮すれば、3人の外国籍選手プラス帰化選手がいるというのは、選手層の厚さで他をリードしていると言えるだろう。

 その分、選手の組み合わせを考えるのは難しいのではないかと勝久HCに尋ねると、「(組み合わせを変えることで)瞬間、瞬間で感じたことを試せるので、ポジティブに考えています。選手たちが自分の強みを発揮できるようなラインナップを考え出したいと思います」と、期待のほうが大きいという答えをもらった。

 最後にリーグでNo.1と誇れることは? と、質問すると「今はまだですけれど、最終的には、一番ルーズボールに飛び込んだり、ディフェンスで体を張ってチャージングを取ったりするチームになりたいですね。これらは数字には表れませんが、勝つチーム、良いチームになるために絶対に欠かせません。こういう部分を全員がやれば、チームとしての一体感、団結力が高まると思います」と返ってきた。そう、SR渋谷はやはりディフェンスのチームなのだ。

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著者プロフィール

B.LEAGUEを中心に、AKATSUKI FIVE(日本代表)やストリートボールまで、日本のバスケットボールの魅力を、わかりやすい記事とデザイン性の高い誌面でお届けする、新しいバスケットボール専門誌。Issueごとに独自の視点で特集を組み、興味深い企画で構成。

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