【DDT】“カリスマ”佐々木がKOD決勝を制す 両国で2年半ぶりのKO-D王座挑戦へ

高木裕美

“カリスマ”佐々木大輔(左下)が「KING OF DDT 2018」を制し、両国でのKO-D王座挑戦が決まった 【写真:前島康人】

 26日のDDTプロレスリング「KING OF DDT 2018 FINAL ROUND」東京・後楽園ホール大会では、「KING OF DDT 2018」準決勝戦及び決勝戦が行われ、満員となる1033人を動員した。

 過去最大の32選手が参加した「KING OF DDT 2018」トーナメント決勝戦では、佐々木大輔vs.遠藤哲哉によるDAMNATION同門対決が実現。ボスの佐々木が貫禄勝ちを収め、10.21東京・両国国技館大会でのKO-D無差別級王座への挑戦権(現王者は男色ディーノ)を獲得した。

準決勝でHARASHIMA、決勝で遠藤を破る

決勝ではDAMNATIONのメンバーで前回覇者の遠藤を破る 【写真:前島康人】

“カリスマ”佐々木は準決勝戦ではHARASHIMAと対戦。過去に9度KO-D無差別級王座を戴冠している“DDT不動のエース”HARASHIMAが、雪崩式ブレーンバスター、ファルコンアローを繰り出すも、佐々木もペディグリー、ダイビングエルボードロップ、ドロップキックを炸裂。さらに、HARASHIMAのリバースフランケンシュタイナーを切り返して十字架固めで押さえ込み、3カウントを奪った。

 対する遠藤は準決勝戦ではMAOと対戦。ハイフライヤーらしく、ハリウッドスタープレス、ケブラーダなどの飛び技を繰り出すMAOに対し、遠藤はあえて空中技を封印。変形ゆりかもめで絞め上げてギブアップ勝ちを収めた。

 3年連続の決勝進出で2連覇のかかる遠藤に対し、佐々木は握手を求めると、遠藤もクリーンに握手。試合前は「遠藤が相手なら3秒で終わらせる」と予告していた佐々木は、ゴングの後、ゴロリとマットに横たわった遠藤を押さえ込むが、カウント2でクリア。逆に遠藤が佐々木を高速で丸め込み、「慣れ合い」を拒否する。準決勝戦と違い、飛び技を解禁した遠藤は、場外へのサスケスペシャル、フランケンシュタイナー、スワンダイブ式450°などを炸裂。佐々木もロープを使ったクロスフェース、イスに座らせてのダイビングエルボーアタックなどのハードコアファイトを解禁する。遠藤はゆりかもめ、ポーリーバスターを繰り出すと、さらに哲哉インザスカイ、旋回式トーチャーラックボムからシューティングスタープレスで勝負をかけるが、かわされて自爆。序盤から攻められていたヒザに大ダメージを負い、動きが鈍ったところへ、佐々木が雪崩式ペディグリー、ミスティカ式クロスフェースからクロスオーバー・フェースロックへとたたみかけ、力の差を見せ付けた上で勝利をつかんだ。

3年連続でDAMNATIONメンバーが優勝

佐々木(右)の「一番強いのは誰だ?」という問いに、遠藤は「佐々木大輔様です」とボスに服従する 【写真:前島康人】

 KODトーナメント初優勝の佐々木は、「おい、哲哉、おまえ、強くなったな。でも、一番強いのは誰だ。言ってみろ」と上から目線で問いかけると、遠藤も「佐々木大輔様です」とボスに服従。「その通りだ。それでいいんだ」とご満悦の佐々木は、「ディーノでも里村でも何でもいい。オレが優勝して両国のメインでベルトを獲る。今、ここに宣言する」と王座奪取を訴えると、「優勝したって、ベルを獲ったって、誰かみたいに泣いたりしない。常に頂点にいるのはオレたちDAMNATIONだ。いいか、オレたちは群れない、媚びない、結婚しない」と、3年連続(16年石川修司、17年遠藤、18年佐々木)と3年連続でKODトーナメントを制したNO.1ユニットDAMNATIONの誇りを見せた。

 DAMNATIONはDDT総選挙で2年連続ユニット部門第1位を獲得するなど、人気・実力共に抜群の軍団。そのならず者集団をボスとして束ねるカリスマ・佐々木が、約2年半ぶりにKO-D王座返り咲きを果たし、名実共にDDTを制圧するか。

両国前にディーノが爆弾発言

モヤモヤが残る入江(右)に負傷している右肩を破壊されるディーノ。KO-D王座の里村戦にまた暗雲が…… 【写真:前島康人】

 現KO-D無差別級王者の男色ディーノは、大石真翔&スーパー・ササダンゴ・マシンと組んで、前王者の入江茂弘&ジェイソン“ザ・ギフト”キンケイド&渡瀬瑞基組と対戦。28日には東京・新木場1st RINGで“女帝”里村明衣子との防衛戦を控えながら、右肩に爆弾を抱えるディーノが、またも「秘策」を繰り出すも、試合後は爆弾発言が飛び出した。

 ディーノはタオルを頭にかぶったまま入場。恒例の入場時の男性客への品定めも控え目で、よほど右肩の調子が悪いことが伺える。

 一方、8.14新木場でディーノに王座を奪われた入江は、ケガなど構わずディーノに襲い掛かると場外戦へ。一方、ササダンゴはリング上で渡瀬に垂直落下式リーマンショックを仕掛けると、おもむろにマスクを脱ぐが、なんと、その正体はディーノ。入れ替わりに気づいた入江は本物のディーノに襲い掛かるが、大石が懸命にカットに入る。ディーノは渡瀬にブレーンバスター、メイコキラーIIIを仕掛けると、キンケイドをリップロックで骨抜きにした上で、渡瀬を某団体の某選手の必殺技によく似た変形フットチョーク技、メイコキラーII(ホモ・ナシエンテ)で仕留めた。

 試合後、怒り心頭の入江はディーノに対し、「プロデューサーさん、シングルマッチを組んでくれ」と再戦を訴えるが、ディーノは「それはできないの。なぜなら昨日でプロデューサーを辞めたから。すべてはこのベルトを獲って、個人で両国に上がるって。シングルマッチを組むことはできません」と衝撃発言。怒りのぶつけどころを失った入江は、ディーノにビーストボンバーを打ち込むと、ケガをしている右肩をアームブリーカーで破壊。決戦を前にもはや右肩のダメージは限界に達したディーノは、苦悶の表情で退場した。

 すでに10.21両国での挑戦者はKODトーナメント優勝者の佐々木に正式決定。果たして、2日後、手負いのディーノが王座を守り抜くのか。それとも、KO-D王座初の女性王者誕生となるのか。入江はこのままあきらめるのか。そして、ディーノがプロデューサーを辞任したことで、誰が次の舵取り役を担うのか。両国までの2カ月間、まだまだ王座をめぐる波乱が続きそうだ。

藤波が長州投入を予告 伊橋へ再び“引退宣告”か?

伊橋(手前)が集中砲火を浴び敗戦。試合後には藤波に“長州投入”を宣告された 【写真:前島康人】

 セミファイナルでは、スペシャル6人タッグマッチとして、かつての新日本プロレス黄金時代を何となく彷彿とさせる藤波辰爾&アントーニオ本多&坂口征夫がトリオを結成。樋口和貞&伊橋剛太&上野勇希組に快勝すると、藤波は伊橋にダメ出しをした上で、「今度は長州を連れて来る」と予告した。

 伊橋は1.14パワーホール後楽園大会のメインイベントに出場した際、戦った長州に「オマエはダメだ。プロレスをやろうと思わない方がいい」と酷評され、一念発起。約30キロの減量に成功し肉体改造を行うと、新日本プロレス相談役・坂口征二を父に持つ坂口のホットラインを通じて7.10パワーホール後楽園大会に再登場。敗れはしたものの、以前とは生まれ変わった姿をアピールしていた。

 WWE殿堂入りを果たした世界的レジェンドと荒鷲2世が見守る中、本多は恒例の「ごんぎつね」。アントンつながりでアントニオ猪木のモノマネをしながら、「美津子」「マテ茶」などのワードを連発するも、スベリ倒した上に技も空振り。坂口が伊橋にダッシュミドルをたたき込むと、藤波も3人に次々とドラゴンスクリューを放つが、伊橋は踏ん張りが足りず、形が崩れてしまう。伊橋はムーンサルトプレスを藤波に命中させるも、坂口のアトミックドロップ、本多の延髄斬りから、藤波のスリーパーホールドからのドラゴンスリーパーに完敗した。

 試合後、マイクを握った藤波は「伊橋君、ちゃんと踏ん張っていてくれ。まだやるのか? 次は長州を連れて来る」と予告。かつて伊橋に「プロレスをやろうと思わない方がいい」と“引退宣告”をたたき付けた長州に、改めてDDTのリング上で“査定”させることを匂わせた。

“狂猿”葛西がDDTレギュラー参戦へ

 9月より“狂猿”葛西純がDDTマットに可能な限りレギュラー参戦することが決定。リング上であいさつを行った葛西は、「オレっちがレギュラー参戦するからには、DDTファンが見たことのない風景を見せる。そして、オレっちがこのリングでてっぺんを目指す」と宣言。次回9.23後楽園では、竹下幸之介&彰人&勝俣瞬馬組vs.葛西&サブゥー&X組というカードが発表されたが、これが復帰戦となる竹下&勝俣に対し、「復帰戦でオレっちをぶつけるなんて、また壊してくださいって言ってるようなもん」とニヤリ。また、「てっぺん獲るには、やっぱり総選挙でもてっぺんを獲っておきたい。オレっちも立候補させてくれ」と、DDT総選挙へのエントリーも表明した。

 また、10.21両国で、スーパー・ササダンゴ・マシンvs.アンドレ・ザ・ジャイアントパンダのシングルマッチが決定。ササダンゴは「パンダは1日40キロ近い笹を食べる。ということは、笹も絶滅危惧種だと思う。自分は笹の気持ちに立って、徹底的にたたき潰す」と、ササ仲間としての“リベンジ”を訴えた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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