スペインの移籍市場に「W杯特需」なし 大物は動かず、バルサとレアルは先物買い
ビッグ3から英雄たちが去った夏
長くR・マドリーを支えたC・ロナウドはイタリアに新天地を求めた 【写真:ロイター/アフロ】
レアル・マドリーはクリスティアーノ・ロナウドを失った。09年夏に加入した彼は、アルフレド・ディ・ステファノの退団以降、クラブに最も大きな影響を及ぼしてきた選手だ。キエフで行われたチャンピオンズリーグ(CL)決勝の直後、彼は移籍をほのめかすコメントを発していた。それでも、突然のユベントス移籍は驚きをもって受け止められた。
バルセロナはJリーグ行きを決めたアンドレス・イニエスタを盛大なセレモニーで送り出した。彼は近年のバルサのエレガントなプレースタイルを体現してきた選手であり、代役を見つけることは難しいだろう。
アトレティコからはフェルナンド・トーレスもまたJリーグへと去った。既にベンチ要員となっていた彼の場合、戦力的に大きな影響を及ぼすことはない。だが一方で、キャプテンとしてピッチ内外でチームを支えてきたガビの退団(カタールのアル・サッドへ移籍)は、何らかの形で響いてくるはずだ。
特別なシーズンにアトレティコは積極補強
W杯優勝メンバーのレマル(右)はアトレティコでグリーズマン(左)と同僚に 【Getty Images】
そして、昨季4位で3シーズンぶりにCLに挑戦するバレンシアは、セルタのDFダニエル・ワス、オリンピック・リヨンのDFムクタル・ディアカビ、スポルティングのDFクリスティアーノ・ピッチーニらを補強した。
いずれにせよ、移籍市場が終了する8月31日までは、移籍をめぐるさまざまな“茶番”が繰り広げられるはずだ。各クラブとも戦力補強は必須であるし、メディアもファンに話題を提供する必要があるのだから仕方ない。
一方では、アルゼンチン人監督の増加も新シーズンの傾向のひとつ。アスレティック・ビルバオはエドゥアルド・ベリッソ、レガネスはマウリシオ・ペジェグリーノ、セルタはメキシコで成功したアントニオ・モハメド、ウエスカはレオ・フランコを新監督に迎え、ディエゴ・シメオネとともに成功をつかんだアトレティコに続こうとしているが、果たしてどうなるだろうか。
(翻訳:工藤拓)