インハイは優勝候補が初戦から激突! 注目は実力者ぞろいの東福岡vs.矢板中央

安藤隆人

矢板中央が誇る「必勝リレー」とは!?

試合途中で大塚尋斗(中央)を投入するのが矢板中央の「必勝リレー」(写真は17年度の高校サッカー選手権) 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 対する矢板中央も歴代最強の部類に入るほど、充実した戦力を有している。183センチのGK安西駿、182センチで空中戦を得意とするCBの白井陽貴が守備の要となり、182センチの池田隼人と運動量豊富な土谷大晟のダブルボランチは守備意識が高く、中央をがっちりと高める。この堅い守備に支えられ、強烈なインパクトを前面に出す攻撃陣こそ、今年の矢板中央が最強と呼ばれる理由でもある。

 矢板中央には泣く子も黙る「必勝リレー」が存在する。それは190センチの脅威のストライカー・望月謙と、全国トップクラスのポストプレーと強烈なシュートを持つ181センチのストライカー・大塚尋斗の交代リレーだ。

 スタートは望月が圧倒的な高さと身体能力を駆使して相手ディフェンスを押し込むと、高橋健二監督がタイミングを見て望月に代えて大塚を投入する。大塚は高さと屈強なフィジカルを持つだけでなく、U−19フットサル日本代表の肩書きを持っている。足元の技術に秀でた選手で、ロングボールや足元のボールを収めては正確なポストプレーを見せたり、自ら反転してドリブルで持ち込む。さらに強烈なスイングから放たれるシュートは度肝を抜くレベルで、一撃で相手ゴールを射抜く破壊力を持つ。

 この交代リレーをより脅威なものとしているのが、今年のチームが誇る多彩な1.5列目のアタッカー陣の存在だ。FW飯島翼はずば抜けた精度を誇る左足とテクニックを有し、左サイドハーフの木村泰晟はキレキレのドリブラー。右サイドハーフの伊藤恵亮もまた、個での打開力がウリのアタッカーだ。

 この3人が望月や大塚の周りを動いてセカンドボールを拾うと、攻撃は一気にスピードアップ。時に「個」で、時には「コンビネーション」を駆使してアタッキングエリアになだれ込んでいく。

 さらに154センチのMF板橋幸大の存在を忘れてはならない。彼のスピードと俊敏性のあるドリブルは破壊力抜群で、1人で40〜50メートルを運んでしまうほど、一度乗ったら手がつけられない。さらにシュートセンスも抜群で、どこからでも狙えるゴールハンターでもある。スタートからの起用もあるが、ベンチスタートで体力が消耗した時間帯に投入されたら、相手にとって非常に脅威となる。

鍵を握るのは両サイドの攻防

 これだけを見ても、この一戦がいかにハイレベルなものかが分かるが、今年の両チームの成績を見ても、1回戦屈指の好カードであることが分かる。

 東福岡は2011年のリーグ創設からずっとプレミアウエストで戦い続け、今季は9節までを消化して5位につけており、首位のセレッソ大阪U−18とは勝ち点差わずか1と、優勝を狙える位置にいる。

 矢板中央はプレミアリーグに匹敵するほどのレベルを誇るプリンスリーグ関東において、第9節を消化して6勝3分けの無敗で首位を独走中。横浜F・マリノスユースに2−1、日本クラブユース選手権準優勝の大宮アルディージャユースに1−0、東京ヴェルディユースに2−1と強豪Jユースを下し、2位の大宮との勝ち点差を7にまで広げている。

 実力、実績共に遜色ない2チームの対決。矢板中央の望月、大塚のパワーストライカーと、GK松田を中心にした東福岡守備陣とのバトル。逆も然りで東福岡の大森を中心にしたアタックを、どう矢板中央が跳ね返すか。共にクロスの精度と突破力を持ったサイドアタックが武器の1つだけに、両サイドの攻防でどちらが優位に立つのか。

 東福岡の右SBの中村拓海が、中央のスペースに入り込んでいかに効果的なパスを前線に配給できるか。矢板中央が前への圧力で中盤のボールの出どころをブレークできるか。共にユニホームのメーンカラーは赤。まずは試合前にどちらが正ユニホームを着るかから勝負は始まっている。ぜひこの試合に注目をしてもらいたい。

 いよいよ始まるインターハイ。真夏の激戦を勝ち抜き、栄冠を勝ち取るのはどのチームか。そして、ニュースターは現れるのか。8月7日にスタートする熱き戦いから目が離せない。

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著者プロフィール

1978年2月9日生まれ、岐阜県出身。5年半勤めていた銀行を辞め単身上京してフリーの道へ。高校、大学、Jリーグ、日本代表、海外サッカーと幅広く取材し、これまで取材で訪問した国は35を超える。2013年5月から2014年5月まで週刊少年ジャンプで『蹴ジャン!』を1年連載。2015年12月からNumberWebで『ユース教授のサッカージャーナル』を連載中。他多数媒体に寄稿し、全国の高校、大学で年10回近くの講演活動も行っている。本の著作・共同制作は12作、代表作は『走り続ける才能たち』(実業之日本社)、『15歳』、『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、『ムサシと武蔵』、『ドーハの歓喜』(4作とも徳間書店)。東海学生サッカーリーグ2部の名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクター

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