井上尚弥vs.ルイス・ネリ

5/6 東京ドーム

井上尚弥、6R途中TKOでネリを撃破

ゲームスコア

大会名
世界Sバンタム級 4団体タイトルマッチ

井上尚弥(王者)

6R・TKO

ルイス・ネリ(挑戦者)

総括

 ボクシングで1990年2月11日のマイク・タイソンvs.ジェームス・ダグラス戦以来34年ぶりとなるが東京ドーム興行が6日に開催され、メインで王者・井上尚弥(大橋)と挑戦者ルイス・ネリ(メキシコ)による世界スーパーバンタム級4団体タイトルマッチが行われた。

 過去にドーピング陽性、体重オーバーでの王座剥奪と悪行を働いてきたネリは、計量をクリアし試合が成立するまで気を揉ませたが、いざゴングが鳴っても井上に左フックを打ち込み先制ダウンを奪取。会場を凍りつかせる。

 キャリア初のダウンに面食らった井上だが、ここをしのいでダメージを回復させ、2Rには左フックでダウンを挽回。徐々にペースを握り、4Rに手を下げての挑発を見せると、5Rに再び左フックでダウンを追加する。

 これで完全に試合を自分の流れにすると、最後は6R、右アッパーからの右ストレートでネリをTKO。ドーム大会を大団円で締めくくった。

「1R目のサプライズ、たまにはいかがでしょうか」とインタビューで照れ笑いを見せた井上は、「日本、東京ドームでルイス・ネリと試合ができたことに感謝します」と話し、ネリと握手。次戦は9月ごろ、サム・グッドマンとの防衛戦を希望し交渉に入ると今後について語った。

試合詳細

  • リングイン

    ネリはメキシコ国旗をまとって登場。陣営が歌うラップに乗り、目をギラつかせながらリングへ向かう。

    井上は布袋寅泰のギター演奏に先導を受け登場。引き締まった表情で場内を見渡してから花道に入り、4本のベルトを引き連れリングへ進む。
    リング下に来た井上はシャドーボクシングを行ってから階段を上がりロープをくぐる。

  • 国歌演奏

    ネリは右手を胸に当て、陣営とともにメキシコ国歌を口にする。
    井上はすでに厳しい表情で体を揺らしながら君が代を聞く。

    コール時、落ち着いた表情となった井上は右手を高々と上げ、続いてカメラに拳を突き上げる。
    対してネリは体を前後左右に振り、名前のコールとともに両手を上げる。場内からはブーイングが聞かれる。

  • 1R

    両者グローブタッチをしてから試合スタート。井上は左ジャブの後右スイングフック。この2発目の右フックでネリをとらえる。ネリも右ジャブ、左フックと速いパンチを振るっていく。井上はしかし目先でかわし右ストレートを伸ばす。井上は左アッパーを放つが、ネリは直後にフックを打ち込み井上はダウン。

    ネリは立ち上がった井上に歩み寄って襲う。井上はコーナーを背負うが、そこから出る。ネリは右から左フック、・右ボディフックと襲う。井上はしかしボディフック、右アッパーと打ち返す。笑顔を見せる井上。

  • 2R

    井上は鋭いジャブでけん制し右ストレート。ネリもしかしストレートの直後に左フックを返す。両者ジャブの差し合い。
    ネリの右ジャブをさばき、井上は右ボディアッパー。再びボディアッパーを狙うが、ネリもフックをカウンターしてくる。そこから前に来たネリに井上は左フックを合わせてダウンを奪い返す。

  • 3R

    両者前手を触り合うように探り合う。ネリは井上の手に引っ掛かったようにバランスを崩す。ネリのフックは井上がダッキングして当てさせない。

    井上は左ジャブでけん制し、右ボディアッパー。両者互いにパンチをグローブで弾き合う。井上は右ストレートを当てた後でネリのパンチに空を切らせ、再び右ストレートを当てる。

  • 4R

    井上はワンツー、ストレートと積極的に繰り出す。ネリも踏み込んで左フックを振るうが井上はディフェンスし、右ストレート、左ボディフック。

    ネリの左フックをかわすとガードを下げ、打って来いと挑発する。だがネリも警戒し打っていかない。ネリが強引に出てストレートを振るってきても井上はいち早く下がって当てさせない。井上は右ストレートと左ボディ、左ボディをネリに打ちためる。

  • 5R

    両者リング中央で向き合い攻防。井上のジャブを連打で受け、ネリはややバランスを崩す。井上はさらにジャブの先行から右ボディストレート。しかしネリも左ストレートを当てる。

    だが、追ったところで井上が右ストレートをヒット。ネリが追ってきても井上は横に回ってひらりとかわす。ネリが頭から入ってくると井上が抗議し、場内はブーイング。ロープを背負わされた井上だが、ここで左ショートフックをカウンター。

    ネリを膝から落として2度目のダウンを奪う。井上はフィニッシュに向かい、右ストレートを決めるが、ここはネリが乗り切る。

  • 6R

    井上はまずジャブで様子を見る。そして右ボディストレート。ネリがボディ連打に来ると井上はガードを固め、そこから左フック、右ストレートと打ち返す。

    その上で右アッパーからの右ストレートで打ち抜くと、ネリはマウスピースを吐き出しダウン。レフェリーが試合を止め井上のTKO勝利となった。

  • 試合後インタビュー

     みなさん、こんなにも多くお集まり頂きありがとうございました! 東京ドームで34年ぶり(ボクシング興行)、日本人メインイベント、プレッシャーがあったんですけど、みなさんの応援が僕のパワーになりました。

     倒した瞬間っていうのはいつになく最高の気持ちでしたけど、1R目のサプライズ、たまにはいかがでしょうか。ボクサーということでそういうシーンは燃え上がるところがあるので、非常にハイテンションで試合してました。日本、東京ドームでルイス・ネリと試合ができたことに感謝します。ありがとうございます(ネリに歩みより握手を交わす)。

    (倒れた瞬間は?)覚えてないです(苦笑)。必死だったので、ダウンした瞬間に落ち着いて対処することができたので、いつものイメトレがここで出たと思います。(弟の拓真と目があった?)覚えてないですよ(苦笑)。ダウンした瞬間のことなんて覚えていないので、勘弁してください。

     ここに駆けつけてくれた4万人のお客さん、満足する試合だったと思います。期待するような試合をして、最高の試合をしていきたいと思うので今後とも期待してください。

    (ネリは)6年前に日本での因縁があったのは、(山中慎介との)第2戦を会場で観戦していたのでファンの気持ちは自分の中で受け止めてはいましたが、東京ドームでは井上尚弥vs.ルイス・ネリということで集中して心がけていました。勝った瞬間はやはりネリに感謝という気持ちで握手を求めにいきました。

     次戦は9月ごろ、隣にいるサム・グッドマンと防衛戦をしたいと交渉していきたいと思います

    サム・グッドマン
    「自分もベルトが欲しくてここまで戦ってきました。絶対やりましょう」

関連コラム

編集部ピックアップ