「発想の転換」で流れを変えた錦織圭 自身初のウィンブルドン8強入り
錦織、ジョコビッチ戦へ「これまでとは違った戦いになるはず」
準々決勝の相手はジョコビッチ。新たな一歩へ向けて、錦織は気を引き締めた 【写真:Shutterstock/アフロ】
だがここで芝に足を滑らせ転倒したガルビスが、膝の治療のためにコートを離れる。この中断は、明らかに錦織の集中力を途切れさせた。再開後にエースを許すと、ダブルフォルトでポイントを献上。その後は互いに、背水の陣となる一進一退の攻防を繰り返した後、ついに錦織が4本目のセットポイントをモノにした。膝に大きな不安を抱えるガルビスは、第3セットを落とした時点で、勝機が去ったことを悟っただろう。第4セットは錦織が終始圧倒し、ウィンブルドンでは初となるベスト8への扉を開く。「奇妙な試合」の行方を決したものとは、錦織の「特筆すべき精神力の強さ」だと、ジョコビッチは明言した。
ウィンブルドンのベスト8は「一つのゴール。なかなかこの壁を破れなかったのでうれしい」と言う錦織は、その言葉とは裏腹に、さほど表情をほころばせることもなく続けた。
「まだまだ優勝するためには、ここからタフな戦いが続く」
今の彼は、優勝をも視野に入れはじめている。その前にそびえる大きな壁こそが、ジョコビッチ。
不戦敗を除いても12連敗中の相手ではあるが、「芝での対戦は初めてなので、これまでとは違った戦いになるはず」と誓いを新たに、さらなる未踏の高みを目指す。