W杯期間中は「無風」と思いきや……  オフ中も気が休まらないラ・リーガ勢

W杯での選手たちのプレーが、今後のチーム作りに影響も……

W杯開幕直前に代表監督を解任されたロペテギ(左)。スペインの世界制覇の夢はかなうか 【写真:ロイター/アフロ】

 シーズン終了後も忙しい日々を送ってきた各クラブにとって、W杯期間中は「嵐の前の静けさ」と言える1カ月になるだろう。とはいえ、決断が保留されるいくつかのケースを除き、今大会で見せる選手たちのパフォーマンスは今後のチーム作りに大きく影響してくる可能性がある。

 8年ぶりの世界制覇を目指すスペインは、開幕直前に断行したロペテギの解任に伴い、スペインフットボール協会(RFEF)のスポーツディレクターを務めていたフェルナンド・イエロに大会中の指揮を託した。現地時間6月15日に行われた初戦では、ポルトガルと3−3で引き分けている。

 優勝候補の筆頭と見られているブラジルは、大会直前のテストマッチで非常に良いイメージを残している。1カ月間の短期決戦であるW杯の行方を左右するのは、大会中のコンディションだ。フィジカル、メンタル、そしてプレー内容をピークの状態に持っていくことができなければ、それまでのチーム作りの過程など、ほとんど何の役にも立たない。

暗いニュースばかりのアルゼンチンは、メッシ依存のチーム状態を脱すことはできるか 【写真:ロイター/アフロ】

 好調のブラジルとは対象的に暗いニュースばかりのアルゼンチンは、実質的にチームの命運をメッシ1人に託している。さすがのメッシも1人で何でもできるわけではないのだが、残念ながら現時点でエースへのサポート体制が確立できているとは言い難い。

 フランスも有力な優勝候補と見られている。前評判の高さの根拠は充実した戦力にあるが、若いチームは成熟さに欠ける一面も持ち合わせている。

 かつてゲーリー・リネカーが「フットボールは11人対11人で戦い、常にドイツが勝つ競技だ」と表現した通り、ドイツは常に優勝候補に加えるべきチームである。ただ現在のチームには、4年前のW杯ブラジル大会後に代表を去ったベテランの穴を埋め切れていない印象を受ける。実戦感覚に乏しいマヌエル・ノイアーを正GKに据えたり、ドリブルで局面を打開できる貴重な選手の1人であるレロイ・サネを外したりと、首を傾げたくなる人選もいくつかある。

 これらのチームがW杯でどのような結果を残すかにより、来季へ向けた各クラブのチーム作りは大きく左右しかねない。そう考えると、結局のところ、大会中も気が休まることはないのかもしれない。

(翻訳:工藤拓)

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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