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川田と福永、馬上で交わした言葉
1番人気馬の背中から見たダービー秘話
ワグネリアン騎乗の福永祐一(桃帽)が制した今年の日本ダービー、その舞台裏を1番人気ダノンプレミアムに騎乗した川田将雅(白帽)に聞いた
ワグネリアン騎乗の福永祐一(桃帽)が制した今年の日本ダービー、その舞台裏を1番人気ダノンプレミアムに騎乗した川田将雅(白帽)に聞いた【写真:Motoo Naka/アフロ】

 今年の日本ダービーは福永祐一騎手(41)が騎乗した5番人気ワグネリアンが優勝した。福永にとっては実に19度目の挑戦での大願成就。そのダービーで1番人気ダノンプレミアムに騎乗したのが2年前のダービージョッキー、川田将雅(32)だった。福永を慕う川田はレース直後に馬上で握手を求め、言葉を交わした。そのとき、何を語り合ったのか。


 その川田は毎日放送のスポーツトークバラエティー「戦え!スポーツ内閣」(6月13日24:01〜放送)に出演。収録後に今年のダービーの舞台裏やレースを回顧してもらった。その解説は騎乗スタイル同様に冷静沈着。ピンポイントでの的確なコメントに、聞いていた私はうなるしかなかった。競馬ファン必見かもしれない。

「騎手としても、やはりダービーは特別」

川田にとっての日本ダービーとは?
川田にとっての日本ダービーとは?【写真提供:毎日放送】

 ダービーは競馬の祭典、ホースマンの夢とも言われる。今年も12万人を超える観衆が東京競馬場に詰めかけ、6955頭の中から選ばれた18頭に熱い視線を送った。川田にとって、あらためてダービーとは。


「騎手としても、やはりダービーは特別です。レース名にジョッキーがつくのはこのレースだけ。ジャパンカップや有馬記念を勝っても、そんな言われ方はしないですからね。ダービージョッキーの称号は重みがあります」


 川田が初めてGIに騎乗したのがデビュー3年目の2006年スーパーホーネットで挑んだ日本ダービーだった。18番人気で15着。そこからキャリアを積み、10度目のダービー挑戦となった2016年マカヒキで栄光を手にした。


「ダービージョッキーになると周りの扱い方が変わりました。ダービーと名のつくレースは世界各国であり、海外に行っても“彼は日本のダービージョッキーだ”と紹介してくれ、それだけで分かってもらえる。競走馬にとっては一生に一度のチャンスですし、騎手にとっても乗るだけで大変なレース。ダービーに乗れずに現役を終える騎手の方が多いぐらいですから」

福永が打った先行策、川田は「驚きました」

デビューからコンビを組むダノンプレミアムとともに挑んだ今年のダービー、川田にとっても初めてのダービー1番人気だった
デビューからコンビを組むダノンプレミアムとともに挑んだ今年のダービー、川田にとっても初めてのダービー1番人気だった【スポーツナビ】

 そのダービーに川田は1番人気で初めて臨んだ。コンビを組んだのはダノンプレミアム。ご存じのようにGI勝ちを含む4戦4勝とパーフェクトな成績を残していたが、4月の皐月賞直前にザ石(蹄底の炎症)を発症し、回避していた。


「ダービーで1番人気に騎乗するというのは、それだけで大変な名誉なこと。責任感があります。しかし、そういう馬でダービーに臨めるのは幸せですし、ありがたいと感じていました。それに1番人気にふさわしい成績も残していましたからプレッシャーというよりも気持ち良かったですね。それまで、しっかりと準備はしていますから。皐月賞を出られなかったので、ダービーに出走することができ、ホッとした気持ちもありました」


 いざ、ゲートイン。川田は好発を決めた相棒を逃げたエポカドーロの直後に導き、3番手のインでレースを進める。望んでいた通りのポジションを手に入れた。


「ダノンプレミアムはゲートが上手。こちらからうながさなくても自分で出て行くタイプ。そこで周りの馬の出方はどうなのか、どうさばくか。1コーナーの入りは、結果を左右するほどとても大事なんですが、簡単にバテない皐月賞馬の後ろにうまくつけることができました」


 その後は流れに乗り、直線は間を割って抜け出すかと思われたが、その脚はなく、伸びずバテずのコンマ2秒差6着。勝ったのは川田と親交の深い福永祐一騎乗のワグネリアンだった。不利と言われる外枠17番から掛かるリスクを恐れず、腹をくくっての先行策。これが奏功した。


「正直、ワグネリアンは折り合いをつけるためにも、もう少し後ろからレースを進めると思っていたので積極戦法には驚きました。勝つときはすべてがうまくいくもの。ただ、デビュー戦からユーイチさんが乗って、信頼関係を築いていたからこそできたことでしょう」


 この話を聞いて思い出したのが1996年、わずか3戦目で勝ち、奇跡のダービー馬と言われたフサイチコンコルド。そのときコンビを組んでいた元騎手の藤田伸二から「行くとこ行くとこ、すべて前が開いた」と聞いたことがある。

山本智行
やまもと・ちこう。1964年岡山生まれ。スポーツ紙記者として競馬、プロ野球阪神・ソフトバンク、ゴルフ、ボクシング、アマ野球などを担当。各界に幅広い人脈を持つ。東京、大阪、福岡でレース部長。趣味は旅打ち、映画鑑賞、観劇。B'zの稲葉とは中高の同級生。

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