岡崎慎司、集大成のロシアW杯へ さまざまな思いに揺れた8カ月間
自然と溢れ出る代表への思い
招集外の期間でも、代表の話になると自然と思いが溢れ出る 【写真:ロイター/アフロ】
日本はブラジルに1−3、ベルギーには0−1で敗れた。とくにブラジル戦については後半に入ると相手は明らかにペースダウンし、最後は流してプレーしているように見えた。
「世界から見て『日本はレベルが低い』と思われていると、僕は感じるんです。そうだとしても、代表の中にいる人間はプライドじゃないけれど、善戦したという感覚ではなく、『もっとやれる』、『もっと見せていかなきゃいけない』と思わないと。チャンスを多少つくれたり、相手がやりづらそうにしていた、ということだけで満足してはいけない。
相手は『フレンドリーマッチだし、勝てばいいだろ』みたいな感覚だと思う。ナメられていることすら悔しいと思わないと、もっと上にはいけない。僕も、その場にいないことが腹立たしい。やっぱり次に代表に選ばれたら、『これぞ日本』みたいなプレーを自分が出したい」
3月には正直な心情を吐露
この試合をテレビ観戦したという岡崎は再び「選ばれていない人間なので何かを言うことはない」と言いつつ、「『自分にもチャンスはあるんじゃないかな』と思う。『僕だったら、何かしらの助けになれる』と思いながら見ていました」と正直な心情を吐露した。
こうして迎えたのが、ハリルホジッチ監督解任のXデーだった。岡崎は突然の監督交代に驚いたとしながらも、語気を強めて次のように話した。
「こういう変化も1つのチャンスだと思う。他の選手も含めて、代表に呼ばれていなかった選手は、みんなモチベーションがぐっと上がると思う。
この状況で監督が交代したなら、『どんなスタイルでいくか?』という次元の話ではない。まずは監督が選手を選び、その選手の特徴をチームに当てはめて、力を出し切らせるところで世界と戦っていく。そういう意味では、ハリルさんがやってきたことも無駄ではない。むしろ、ハリルさんの時期は、今までの概念を破壊してくれるという意味で、すごく大きかった。
(状況によって、ボールをしっかりつないだり、縦に速く攻めたりするなど)『すべてをやる』というわけではないけど、タイミングとか、そういうものもプランを緻密に練るというか。極端なことを言えば、最初の45分や65分は守って、ラストの2、30分で1点を取りにいくとか。そういう進め方もあるかもしれない。『W杯は別物』と考えるべきだと思うんですよね。あそこには魔物がいる。自分たちの理想を掲げても、それをさせてもらえない何かがある。みんな勝ちたいと思う。だから、『勝つために何をしていくか』になると思います。どんな状況にしろ、勝つことに全力を尽くしたい」
岡崎「自分がやるべきことは分かっている」
レスター公式マガジン春号で表紙を飾った岡崎。巻頭インタビューで「W杯に簡単な試合はない。全選手のモチベーションが高い」と語った 【田嶋コウスケ】
その裏では、代表落選中もプレミアリーグでもまれ続け、ときに悩み、葛藤した岡崎の姿があった。4月中旬の練習中に痛めた左足首の回復具合は気になるところだが、「プレミアリーグでやってきたことが代表の力になるはず。選ばれたとしたら、自分がやるべきことは分かっている」と岡崎は力を込める。
W杯ブラジル大会から4年──。ドイツ、イングランドを経由してきた今、岡崎にとってロシア大会はその集大成になる。