岡崎「どんな出場時間でも力を出し切る」 “開き直り”がもたらした開幕ダッシュ

田嶋コウスケ

今季通算4ゴールと好調の岡崎

岡崎は今季通算4ゴールを挙げ好調を維持している 【Getty Images】

 レスター・シティの岡崎慎司が好調だ。

 プレミアリーグ第6節までに3ゴールを奪い、昨シーズンのリーグ戦で記録した得点数「3」に早くも並んだ。しかも、19日(現地時間、以下同)に行われたリバプールとのリーグ杯でも1ゴールを挙げる活躍を見せている。今季通算4ゴールは、ジェイミー・バーディー(5点)に次いでクラブ2位の数字だ。

 昨シーズンは得点数が伸びなかった。クラウディオ・ラニエリ前監督のもとでは控えに降格し、出場機会そのものが限定された。そのイタリア人監督と袂(たもと)を分かち、コーチから昇格したクレイグ・シェイクスピアがプレッシングサッカーに軌道修正すると、岡崎はレギュラーに復帰した。ところが、「守備的FW」の「守備」の部分だけがクローズアップされ、45〜60分という早い時間帯に交代を命じられた。ゴールが欲しい場面でもあっさりと交代を命じられる采配は、FWにとって屈辱的であった。

 本人はゴール数を伸ばしたい。しかし、チームから求められる役割はプレスやチェイス、つなぎの中継役といった“汗かき役”。つまり、「自分の意識」と「チーム内での役割」の乖離(かいり)に苦しんだシーズンであった。そのせいだろう。昨季終盤には、移籍の2文字も頭の中でちらつき始めていると漏らしたことがあった。

今オフに生まれた“開き直り”の考え

リバプール戦の翌日、地元紙『レスター・マーキュリー』ではスポーツ欄のトップで岡崎の写真が使われた 【田嶋コウスケ】

 だが、岡崎の中でオフの間に確かな決意が生まれたという。それを端的に表現するなら“開き直り”。プレミアリーグでダメならどこにいってもダメ。そして、プレミアの壁を乗り越えれば次のステップに進めると、覚悟に近い決意を固めた。

「この夏がポイントだった。俺がやるべきことは、プレミアリーグで結果を出すこと。そのためにイングランドに来たんだと、夏の間に再確認できたので。ある意味、開き直ったというか。ここで無理なら全部無理。でも、イングランドの試合で結果を出したら、自分の未来につながる。そう思うようになった。

(昨季までの不満は)吹っ切れましたね。整理できました。今まで自分がやってきたことが、今の立ち位置(=守備での貢献を求められるFW)につながっている。だから、『交代させられて怒るのもおかしい』と思えるようになった。ただ、シーズン中は、なかなかそういうふうに割り切れない。収まりがきかないというか。『自分だって貢献しているのに、なぜ自分だけが45分だけで交代させられるのか?』と。“使われている”感が半端なかったので。でも、今季も同じようなことがあると、そう覚悟できていれば大丈夫。

(最初から)出番が60分だと思って、フラフラになるまでやりたい。今シーズンは、その60分に勝負をかけます。今季はとにかく走り切りたい。守備だけでなく、攻撃にも比重をかけて走り回ろうと思っています。そして、ゴールを決めていけば、自分の立ち位置も変わってくる。そうすれば、もっと自分にチャンスが回ってくる。そこにチャレンジしていきたいです」

 出番が45分や60分しかないことに不平不満を漏らすのではなく、その与えられた時間で何ができるかを徹底的に考える。そして、実践する。こうした岡崎の前向きな考えと姿勢が、状況を好転させた。

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著者プロフィール

1976年生まれ。埼玉県さいたま市出身。2001年より英国ロンドン在住。サッカー誌を中心に執筆と翻訳に精を出す。遅ればせながら、インスタグラムを開始

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