それぞれの今季を象徴したエル・クラシコ 互いの価値を証明した90分のスペクタクル
2トップにしてから攻撃の迫力を欠くバルセロナ
2−2に終わったエル・クラシコは両チームの今季を象徴する一戦となった 【Getty Images】
ラ・リーガと国王杯の2冠を獲得したバルセロナは、10人での戦いを強いられたこの試合の後半がそうであったように、今季を通して必要以上に守りに入る傾向があった。レアル・マドリーは、低調な立ち上がりから徐々にエンジンがかかっていったこの日と同じく、今季は序盤戦でつまずきを繰り返しながらも、最終的にはチャンピオンズリーグ(CL)決勝にたどり着いた。
今季のバルセロナは守備時のバランスが改善された反面、攻撃に関してはレアル・マドリーと比べて迫力に欠ける印象を残した。エルネスト・バルベルデ監督が重用した4人のMFを起用する4−4−2のシステムはその原因の1つだ。
従来の4−3−3よりFWが1人少ないこのシステムでは、2トップの一角を担うリオネル・メッシも中盤に降りることが多いため、前線でライバルのディフェンスラインに脅威を与える選手がルイス・スアレス1人になってしまう。とはいえ、今回のクラシコでも鮮やかなボレーシュートを決めたスアレスは、今季もメッシとともに多くのゴールを生み出してきた。
2冠を喜びきれないクレ、今季に満足するマドリディスタ
試合後には祝勝セレモニーが行われたが、クレたちは2冠獲得を喜びきれない 【写真:ロイター/アフロ】
クレ(バルセロナのサポーター)たちが2冠獲得を喜びきれないのは、ショッキングな形で敗退したCLでレアル・マドリーが過去5シーズンで4度目の決勝に勝ち進み、3連覇に王手をかけているからだ。逆にマドリディスタ(レアル・マドリーのサポーター)たちはラ・リーガと国王杯のタイトル争いから早々に脱落したにもかかわらず、バルセロナ以上に今季の成績に満足している印象を受ける。
クラシコでもより自信を感じさせたのはレアル・マドリーの方だった。前半10分と早い段階で先制点を奪われ、14分に同点ゴールを決めたクリスティアーノ・ロナウドは足首を痛めてハーフタイムに交代を余儀なくされた。後半7分にはメッシの勝ち越しゴールが生まれる過程でスアレスのファウルが見逃され、マルセロがジョルディ・アルバに足を蹴られた明らかなPKも無視される誤審の被害も受けたが、それもレアル・マドリーの選手たちは苦としなかった。