17歳でイングランド2部の年間MVPに フラムで輝く「ベイルみたい」な超新星
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2000年生まれの新星セセニョンは、英2部フラムで大活躍 【Getty Images】
また翌週に発表されたPFA(プロ選手協会)の若手年間最優秀選手賞は、今季プレミアリーグを制したマンチェスター・シティのレロイ・サネに譲ったが、セセニョンは最終候補6名に選ばれ、2部リーグからの同賞ノミネート自体が史上初の偉業だった。
筆者が初めてセセニョンのプレーを生で見たのは、ホームのクレイブン・コテージで行われた昨季のFAカップだった。チームとしてはトッテナムとの力の差が歴然だったが(フラムは0−3で敗戦)、個人としてスラビサ・ヨカノビッチ監督が彼に寄せる期待の大きさも明らかだった。当時まだ16歳で、現在の3番ではなく30番を背負っていたユース上がりの攻撃的左SBは、2点差とされた後半早々、真っ先にベンチから送り出された。ポジションは基本システムだった4−2−3−1の2列目左サイド。得点に絡むことこそできなかったが、セセニョン投入を境に、上がりたい放題だったトッテナムの右SBキーラン・トリッピアーの攻撃参加が抑制された。
自信満々の攻撃とゴールパフォーマンス
ミルウォール戦でゴールを決めると、堂々たるゴールパフォーマンスを披露 【Getty Images】
指揮官が前線起用を決めた背景には、若さ故に守備でかいま見せる「うぶ」な一面もあるに違いない。たとえば、先のサンダーランド戦終盤での1シーン。味方の負傷退場で途中から左SBに回っていたセセニョンは、敵のクロスをペナルティーエリア付近にいたチームメートに頭でつなごうとして、危うくピンチを招きかけた。1点リードのフルタイム2分前という状況を考えれば、つないでカウンターに転じるよりも、無難なヘディングでのクリアが妥当だった。
反面、相手のゴール前では若さに似合わぬ落ち着きを見せる。その前週のミルウォール戦(3−0)で快勝への口火を切った先制ゴールが好例の1つ。一見するとセーブ後のこぼれ玉を蹴り込んだだけに見えるが、実際は力任せではなく、相手GKの股間を正確に撃ち抜いたシュートだった。アウェーでのミルウォール戦は、熱狂的な相手サポーターから手荒い歓迎を受けることでも知られる。セセニョンもボールに触るたびにブーイングを浴びたが、決して冷静さを欠くことはなかった。「ブーイングはどうした?」とでも言うかのように、両手に耳を当てたゴールパフォーマンスを披露する度胸まで見せた。