背水の陣で臨むリバプールとアーセナル トップ4戦線への生き残りを懸けた決戦

山中忍
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提供:スポナビライブ

4位以内に入るためには「負けられない一戦」

4位以内を争うリバプールとアーセナルが直接対決。両軍にとって「負けられない一戦」となる 【写真:ロイター/アフロ】

 現地時間3月4日にアンフィールドで対戦するリバプールとアーセナル。プレミアリーグが今季後半戦に突入した年始の段階では、念願のリーグ優勝を狙うチーム同士の決戦を想定した両軍ファンも多かったに違いない。ホームにライバルを迎えるリバプールが最後に国内の頂点に立ったのは、トップリーグが「プレミア」と名を変える以前の1990年。前回のリーグ優勝を無敗で成し遂げているアーセナルにしても、それは既に13年前の2003−04シーズンのことだ。そのリバプールとアーセナルが、それぞれ2位と3位で元日を過ごしたとなれば、互いのファンが「今年こそ」と決意を新たにしても不思議ではない。

 ところが、現在のリバプール対アーセナルの構図は「5位対4位」。首位を走るチェルシーと2位の差は、年末の6ポイントから2月末の時点で10ポイントへと開いており、両軍はもはや優勝を争っているとは言い難い。とはいえ、今回の対決が「決戦」の色合いを失ったわけではない。トップ4争いは、目の前のトッテナム(2位)とマンチェスター・シティ(3位)から、背後のマンチェスター・ユナイテッドまでの5チームが5ポイント差の中に並ぶ混戦(編注:マンチェスター・シティとアーセナル、マンチェスターユナイテッドは1試合消化が少ない)。互いに譲れない「4位以内」という最低目標を達成する上で「負けられない一戦」としての重要度は、むしろ高まっている。

 敗者となってトップ4戦線から後退することになれば、リバプールは3年連続で「欧州エリート」が集うチャンピオンズリーグ(CL)に参戦できない可能性が濃厚となる。アーセナルにとっては、連続無冠が騒がれた13年までの8年間にも手にし続けていた、CL出場権という「無形のトロフィー」も今季は獲得できないことになる。となれば、両軍現体制の今後にもダメージを与えかねない。

クロップの不信任がささやかれ始めたリバプール

果敢なプレッシングを前提とするクロップのサッカーだが、サポーターの不信任がささやかれ始めた 【写真:ロイター/アフロ】

 リバプールでは、ユルゲン・クロップ監督の立場が危ういわけではなない。しかしながら、一昨年10月のクロップ就任がクラブにもたらした高揚感は失われた感がある。「自分を含めてわれわれは今後を懸けて戦っている」と語っているのは、前節レスター戦(1−3)直後の指揮官自身だ。リーグ後半戦の成績は1勝3分け3敗。メディアでは、新リバプールの「魅力」であるはずの「クロップ流」が失速の元凶とも言われるようになった。ウインターブレークのないプレミアでは、果敢なプレッシングを前提とするサッカーのスタイルが選手の過労につながっているという指摘だ。

 サポーターの間でも、ごく少数だがソーシャルメディアでクロップの不信任がささやかれ始めた。今季のチームパフォーマンスを「一進一退」と嘆いていたのは、リバプールOBで解説者のジェイミー・キャラガー。ファンの胸中では、例えば第25節でトッテナムに完勝(2−0)して覚えた爽快感よりも、その前後のハル戦(0−2)とレスター戦で味わった幻滅感が強くなり始めているのかもしれない。

 同時に、小粒なチームのクオリティー不足を実感しているとも考えられる。8割を超すボール支配率を記録していながら敗れた第2節バーンリー戦(0−2)は、突発的な事故ではなかった。本職ではない最前線中央での起用に応えているロベルト・フィルミーノにしても、秀逸なチャンスメークを見せるフィリペ・コウチーニョにしても、まだ「ワールドクラス」と目される域には達していない。その存在感で相手DFを引きずり回せる大物がいれば、必然的に周囲にスペースが生まれ、引いて守る格下との対戦でも敵の包囲網を切り崩しやすくなるだろう。

 選手層も厚くはないリバプールでは前節、故障中だったデヤン・ロブレンに代わってルーカス・レイバが最終ライン中央にいたが、守備的MFのセンターバック起用は、ジェイミー・バーディに抜けられた1失点目から裏目に出た。最後尾のGKも、新加入のロリス・カリウスが不安定で、リーグ前半戦でベンチに降格したはずのシモン・ミニョレがナンバー1に戻っている状態。元主将のスティーブン・ジェラードは、解説の立場で「今夏に新戦力を4、5人獲れば、来季の優勝争いは堅い」と古巣に期待を寄せているが、来季にステップアップを期すクロップのリバプールが実力者を呼び寄せるためにもCL出場権は必須だ。

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著者プロフィール

1966年生まれ。青山学院大学卒。西ロンドン在住。94年に日本を離れ、フットボールが日常にある英国での永住を決意。駐在員から、通訳・翻訳家を経て、フリーランス・ライターに。「サッカーの母国」におけるピッチ内外での関心事を、ある時は自分の言葉でつづり、ある時は訳文として伝える。著書に『証―川口能活』(文藝春秋)、『勝ち続ける男モウリーニョ』(カンゼン)、訳書に『フットボールのない週末なんて』、『ルイス・スアレス自伝 理由』(ソル・メディア)。「心のクラブ」はチェルシー。

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