プレミア“ビッグ6”の負けられない戦い 佳境に入るリーグ終盤の見どころは?

山中忍
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提供:スポナビライブ

優勝争いで優位に立つチェルシー

強豪がひしめくプレミアリーグ。終盤まで各クラブの負けられない戦いが続く 【Getty Images】

 2016−17シーズンのプレミリーグも残り1カ月を切った。優勝争いも、昨年11月から首位に立つチェルシーを、4月に入って最大10ポイント差から4ポイント差まで迫ったトッテナムが追う形で佳境に入る。トップ2のリーグ戦直接対決は1勝1敗。実力伯仲の両軍は、最終節以外に同時キックオフがない優勝へのホームストレートで、プレッシャーを掛け合いながら走る。精神力がものを言う一騎打ちだ。

首位を走るチェルシーはこのまま逃げ切るか。アザール(左)とコスタが好調を維持している 【写真:ロイター/アフロ】

 優位とされるのはチェルシー。両軍対決となった4月22日(現地時間)のFAカップ準決勝で勝者となったためだ。チェルシーは中2日でのリーグ戦を前に、主砲のジエゴ・コスタと、チャンスメーカーのエデン・アザールを後半16分までベンチに温存してトッテナムを下している(4−2)。アザールの代わりに先発したウィリアンが2得点を挙げ、ベンチを出たアザールが1ゴール1アシストと、層の厚さとキーマンの好調をも誇示した。

 試合後、「このまま勢いに乗らなければ」と語っていたアントニオ・コンテ監督の言葉通り、続く25日の第34節サウサンプトン戦も、スタメン復帰のコスタとアザールが合わせて3ゴール1アシストで勝利(4−2)。2位との差を7ポイントに戻し、翌日に試合を控えるライバルへのプレッシャーを強めた(編注:その後、トッテナムは第28節クリスタルパレスに1−0で勝利)。

日程が厳しい2位トッテナム

トッテナムはプレッシャーとの戦いに打ち勝ち、悲願のリーグ優勝なるか 【写真:ロイター/アフロ】

 トッテナムは残る対戦カードがチェルシーより厳しい。トップ4を諦めていないアーセナルとマンチェスター・ユナイテッドとの対戦を残している。強豪対決2試合の間には、敵が順位とは無関係にライバル意識むき出しで向かってくる、ウェストハムとのロンドンダービーもこなさなければならない。「自分たちがやるべきことをやるだけだ」と冷静なマウリシオ・ポチェッティーノ監督にとっては、身上とする攻撃の主役が心の支えだ。先のFAカップ戦での2得点は、ハリー・ケインとデレ・アリの見事なフィニッシュ。極上の2アシストをこなしたクリスティアン・エリクセンは、敗軍からでもマン・オブ・ザ・マッチに相応しかった。アーセナルとマンUを迎えるホームでは、リーグ戦では開幕から負け知らずの状態でもある。

 とはいえ、最終節まで優勝の望みをつないだ場合も、すでに降格が決まっている可能性が高いサンダーランド(27日現在最下位)とホームで戦うチェルシーに対し、トッテナムが敵地で相手にするハルは残留への決戦モードという可能性がある(27日現在、降格圏まで勝ち点2差の17位)。

 追う立場が気楽だと言われることもある僅差の優勝争いだが、主力に若手も多いトッテナムは、1961年以来となる悲願のリーグ優勝に向けて、2年ぶりの王座奪回を狙うチェルシー以上にプレッシャーとの戦いだ。

トップ4争いも混戦が続く

現在3位のリバプールだが取りこぼしが目立つ。CL出場権争いも最後まで予断を許さない 【写真:ロイター/アフロ】

 残る2つのチャンピオンズリーグ(CL)出場枠を懸けた争いも最後まで予断を許さない。一時はマンUとアーセナルのトップ4浮上は難しいと思われたが、リバプールの取りこぼしもあり、両軍にも再び具体的な希望が出てきた。第31節のボーンマス戦(2−2)と第34節のクリスタルパレス戦(1−2)で不覚を取ったリバプールは、残る4試合を3位で終える可能性と6位で終える可能性が五分五分だ。

 ユルゲン・クロップ体制2年目のチームは、ハードなプレッシングを前提とするスタイルが浸透し、攻撃センスの光るフィリペ・コウチーニョなどは輝きを増している。クリスタルパレス戦で約27メートルの位置から決めたFKによる先制ゴールは、メディアで「荘厳」とまでたたえられた。しかし、その試合で敗れたように、ハイラインの裏を狙うロングボールとセットプレーへの守備が課題。強豪対決のない残り4試合でも、圧倒的にボールを支配しながらポイントを落とす悪いパターンを繰り返しかねない。

 マンチェスター・シティも、残る6試合でCL出場権が両手から滑り落ちる危険性を秘める。ジョゼップ・グアルディオラ監督1年目で過渡期のチームは、やはり攻撃志向の裏返しで守備が安定しない上、アーセナルに敗れた23日のFAカップ準決勝(1−2)でセルヒオ・アグエロとダビド・シルバが負傷。27日のマンチェスター・ダービーへの出場が微妙だ。ホームでの「4位攻防戦」を前に、経験値の高い得点源とアシスト源が手負いの状態。1ポイント差で追いかけてくるマンUをたたくには、攻撃の主軸に成長したケビン・デ・ブライネの本領発揮が不可欠だ。

 トップ4への執念ではアーセナルが随一。21年目を迎えたアーセン・ベンゲル体制下で失ったことのない「無形のトロフィー(CL出場権)」獲得が怪しくなると、第32節のミドルスブラ戦で、現体制では異例の3バックを採用した。新システムは、採用2戦目のFAカップ戦でマンCからの勝利をもたらしている。守備面ではセンターバック(CB)のガブリエウ・パウリスタが4バック時よりも堅実な守りを見せ始めた。肝心の前線ではアレクシス・サンチェスが2戦ともネットを揺らし、相変わらずの得点能力を発揮している。ベンゲルの進退では意見が割れるサポーターも、そろって残留を望むエースを引き止めるためにも、CL出場権を逃すことはできない。

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著者プロフィール

1966年生まれ。青山学院大学卒。西ロンドン在住。94年に日本を離れ、フットボールが日常にある英国での永住を決意。駐在員から、通訳・翻訳家を経て、フリーランス・ライターに。「サッカーの母国」におけるピッチ内外での関心事を、ある時は自分の言葉でつづり、ある時は訳文として伝える。著書に『証―川口能活』(文藝春秋)、『勝ち続ける男モウリーニョ』(カンゼン)、訳書に『フットボールのない週末なんて』、『ルイス・スアレス自伝 理由』(ソル・メディア)。「心のクラブ」はチェルシー。

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