大好きな姉の背中を追いかけて 長距離・高松智美ムセンビインタビュー
夏はトラック、冬は駅伝で活躍
高校時代は憧れていた駅伝を走り、全国高校駅伝で優勝も経験している 【写真は共同】
駅伝をしっかり走ってみたいと思っていたこともあって、そのまま高校に進みました。
――その言葉の通り、全国高校駅伝も3年連続で出場し、どの年も大幅に順位を引き上げる走りを見せました。2年時には優勝を果たしていますし、1年、3年時は3位。1年生のときは姉の望選手にタスキをつなぎました。
1回優勝することもできましたし、全国で戦えたことはすごく楽しかったです。中学のときは人数が少なくて、全国中学駅伝のことは知っていたけれど、駅伝というのがどういうものかよく分からなかったので。
――駅伝自体は、中学3年時の全国都道府県女子駅伝(3区区間賞)が初めてでしたか?
そうなんです。中学のときは、駅伝シーズンというのは私にはなくて、クロカンシーズンに1回、少し駅伝を走るだけという感覚でした。だから、駅伝をやっているほかの中学生がうらやましくて。「いいな、やりたいな」と思っていました。
――トラックシーズンのほうでは、インターハイ路線では3000メートルをメインに据えて、1500メートルと3000メートルに取り組んできました。3000メートルでは、高校2年のインターハイで高校歴代3位となる8分58秒86まで自己記録を更新しています。
トラックのほうでは、強くなってくる選手が中学のときより増えてきて、なかなか上位に行けませんでした。でも、高校では留学生選手と一緒に走れる機会があり、日本にいながら海外の力を感じることもできました。
――最も印象深いレースは?
やはり2年の岡山インターハイですね。初めて8分台が出たのですが、「諦めなくてよかった」というのが一番記憶に残っています。
――ヘレン・エカラレ選手(宮城・仙台育英高)が8分55秒06で優勝、2位のカマウ・タビタ・ジェリ選手(鹿児島・神村学園高)が8分58秒35。高松選手は8分58秒86で日本人トップの3位という結果でした。留学生が序盤から飛ばしたなか、高松選手は2200メートルまでついていくレース展開でした。終盤は、諦めてしまってもおかしくないような状態だった?
はい。ラスト500メートルのときに、そこまでずっと負けていた田中希実選手(兵庫・西脇工高、4位:9分01秒40)が前にいたので「もしかしたら勝てるかも」という気持ちで抜いて、自分がイメージした形でフィニッシュできました。最後で離されはしたけれどエカラレさんに食らいつくことができ、気づいたら8分台も出ていて、一番気持ちよく走れたレースでした。
――3年の山形インターハイのときは、9分05秒26で6位(日本人3位)という結果でしたね。こちらはどう評価していますか?
2年のインターハイのときは、(ハイペースで飛ばした)留学生選手についていって出た結果でしたが、3年生のときは自分で考えて、力の限りを出すことができました。記録は悪かったけれど、最低限の入賞は果たせたので、まずまずだったかなと思っています。
18年の目標はアジアジュニアとU20世界選手権
はい。家を出て、寮で生活します。高校時代の普段の練習は、父がコーチとなって姉と3人で個別にやってきたのですが、それも変わります。練習のやり方も父の練習とは変わってきますし、自分できちんと考えてやっていかなければならないことが増えてくると思うので、早く新しい環境に対応していきたいです。
――名城大にしたのは?
大学に入るからには勉強もちゃんとしたいと思っていて、自分のやりたい勉強ができて、陸上も継続できるということで決めました。
――学部は?
外国語学部です。将来、英語を使った仕事をしたいと思っているので。
――大学での目標は?
1つ1つの試合でちゃんと結果を出すことを目指しています。今年は、アジアジュニアとU20世界選手権があるので、これらの大会で頑張りたいです。また、米田(勝朗)監督からは、大学2年生のときにあるユニバーシアードを狙えると言われているので、そこも目標になってきます。そうやって、1つ1つクリアしていって、いろいろな世界大会に日本代表で出られるようになっていきたいです。
――「ここを改善していきたい」というようなところはありますか?
強い選手の走りを見ると、すごく体幹がしっかりしていて、フォームがきれいなので、自分もまず体幹から鍛えて、もっときれいな走りができるようになれたらなと。
――すでにバネがあって、伸びやかないい走りだと思いますが。
全然です。手の振りが悪いし、バネというのも勢いがあるときはいいけれど、疲れてくるとピョンピョン跳んでいるだけになって、後半は足が回らなくなってしまいますから……。これからはレースの距離が5000メートルになってくるので、最後まで力強い走りができるようにしなければなりません。
――これから戦いの場はシニアに移ってきますものね。力強さを増した走りが見られることを楽しみにしています。