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大和の加入がDeNAにもたらした刺激
倉本がセカンドへ、柴田は控えへ
大和(手前左)の加入で倉本(同右)がセカンドへ、柴田(同中央)が控えに回る形で開幕を迎える
大和(手前左)の加入で倉本(同右)がセカンドへ、柴田(同中央)が控えに回る形で開幕を迎える【(C)YDB】

 2018年のペナントレースにまもなく号砲が鳴る。


 横浜DeNAは20年ぶりのリーグ優勝、そして日本一に照準を定め、新たな戦力を上積みして開幕への準備を進めてきた。


 筆頭が、阪神からFA移籍を果たした大和だ。オープン戦ではチーム最多タイの4盗塁、打っては2番打者としてつなぎの役目を担い、堅守も光った。「2番・ショート」での開幕スタメン入りが決定した30歳は、走攻守すべてにおいてチーム力を向上させる存在になると期待される。


 だが、野球には9つのポジションしかない。ピースが1つ増えれば、“玉突き”が起こり、ベンチに押しやられる選手が出てくる。


 大和の加入によって直接的に影響を受けることになったのが、昨シーズンの二遊間コンビ、倉本寿彦と柴田竜拓だ。

前向きに自分にのみ意識を傾ける倉本

 ショートを守ってきた倉本はチーム唯一のフルイニング出場を果たし、不動のレギュラーだった。ポジションが重複する大和の獲得はすなわち、強力なライバルの出現を意味する。危機感、焦り……複雑な思いが芽ばえたとしても不思議ではない。


 倉本は相変わらずのポーカーフェイスで言った。


「グラウンドでのぼくを見ていて、そういう焦りだとかを感じますか? まったくないですよ。(昨シーズンの自分の成績が)物足りないから取るんだろうなとは思いましたけど、獲得したからってどうこう思うものじゃないし、いいものがあったら学ばべればいいし……」


 あくまで自分にのみ意識を傾けるべきだと考える27歳は、こう続ける。


「周りが騒いでるだけです。たしかにポジションを勝ち取ることは大事だけど、仲間だし、(競争相手が)ミスしたからどうとか思うのもイヤじゃないですか。それじゃチームプレーにならない。むしろ、自分のやりたいことができていることのほうが大事。競争とかっていうこととは一歩距離をとって、普通にやってればいいのかなと思いますけどね」


 マイペースを崩さない倉本だが、新たに守ることになったセカンドは未知のポジションだ。その話題に触れるなり、「聞かれると思った」と苦笑いを浮かべる。


「たしかに難しいです。でも、経験のないことに取り組むのはいいチャレンジだと思うし、ショートだけを守っている時とは違う体の部分も使えているので、そこはプラスに働くのかなと思います。体の片方の側しか使えていなければバッティングにも偏りが生まれるけど、セカンドを守ることでバランスがよくなってくる」


 実際、オープン戦では打率3割6分4厘と好調をキープした。守備位置は変わろうとも、アレックス・ラミレス監督が倉本をスタメンから外す選択肢を持たないのは、その打撃を高く評価しているからだ。50打点を稼いだ昨シーズンに続き、今シーズンも9番打者を託す。

最強の9番打者としての意識

倉本にとってセカンドは未知のポジションだが、「いいチャレンジだと思う」と前向きに捉えている
倉本にとってセカンドは未知のポジションだが、「いいチャレンジだと思う」と前向きに捉えている【(C)YDB】

 昨年、ポストシーズンも含めて130試合経験してきた9番という打順。これについての問答が興味深かったので、ここに紹介したい。


――9番を打つことにはもう慣れましたか?


 みんな聞くんですけど、ぼくは全然何とも思ってないんですよ


――とはいっても、たとえば3番を打つ、6番を打つ、9番を打つとなれば、それぞれ気持ちの部分では変わってきますよね。


 3番なんて中心ですからね、それは誰だってやりたいですよ。でも9番にも同じくらい価値があると思うんです。


――それは、やってみてわかったこと。


 はい。打順が下がるとどうしてもイメージはよくないかもしれませんけど、3番も6番も9番も同じくらい大事だし、やりがいがある場所かなって思いますね。いまセ・リーグでそういう(9番に野手を置く)取り組みをしているチームはないので、いいチャンスかなとも思います。


――昨シーズン、9番の倉本選手がイニングの先頭で出塁した時に得点につながることが多かった。そこは意識していますか?


 昨シーズンの途中から意識するようになりました。自分の役割がちょっとわかりだした。守っていても先頭が出るとしんどいですから、先頭で打席に立つ時は、塁に出なきゃいけないという気持ちはすごくあります。


――試合を見ている限り、初球から積極的に振っていく姿勢は変わらないようですね。


 キャンプの最初のほうはやめてたんですよ。ボールを見たかったし、いろいろチャレンジしたいこともあったので。でもやっぱり『初球を打たないともったいないな』という気持ちになるんですよね。そこは勇気を持っていけるように準備したい。ぼくの場合、前に立つバッターが8人もいるわけですから、ピッチャーの球筋を確認できることもすごく強みかなと思います。


 今シーズンの目標は「フルで出て、昨シーズンは届かなかった打率3割を確実に達成すること」。持ち場は変われども、最強の9番打者は今年も重要な役割を担うことになりそうだ。

日比野恭三
日比野恭三

1981年、宮崎県生まれ。2010年より『Number』編集部の所属となり、同誌の編集および執筆に従事。6年間の在籍を経て2016年、フリーに。野球やボクシングを中心とした各種競技、またスポーツビジネスを中心的なフィールドとして活動中。

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