ハリル「中島は爆発的なスピードがある」 マリ戦、ウクライナ戦メンバー発表会見

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個人で打開できる選手を探していく

ハリルホジッチ監督は「個人で打開できる選手は必要になってくる」と強調した 【スポーツナビ】

――本田と中島について。本田はチャンスをつかんでほしいということだったが、具体的にどういうことか? また、中島を入れることによって、課題の攻撃に何を期待しているか。

 まずは単純にいいプレーをしてほしい。得点を取る、取らせるということ。またFWだが守備の役割も大事だ。1年以上経っているが、私は選手に日本がどのようなプレーをするかという資料を配っている。(グループリーグで対戦する)3チームに対して日本がどのようなプレーをするか分かっており、それが希望をつかみにいくということにつながるが、各選手も把握しているはずだ。攻撃と守備のところは選手の能力にもよる。それぞれが完璧に役割を把握していると思っている。

 昨日の夜、4年前の日本vs.コロンビア戦の試合をもう一度見たが、あの時とは違うプレーで臨まなければいけない。規律のところで厳しい要求をしているが、選手は完璧に把握しているはずだ。FWはまずは得点を取る、もしくは取らせる。降りてきてボールを足元でもらうのではなく、やはり背後に行ってほしいと思う。そうすれば得点は取れるが、足元でもらうために降りてきてしまうと、得点を取るのは難しくなる。そういったことを本田、中島に要求したいし、自分の能力を発揮してほしい。

 例えば、中島は爆発的なスピードを持っているので、1対1で相手を抜けるかもしれない。このようなプレーはなかなか日本人には出せないので、大事な選手になると思っている。クラブ9得点6アシストと結果を残しているので、それを日本代表で見せてくれればいいと思う。それができるのかどうか、見極めをしなければいけない。

――乾貴士、岡崎慎司が呼ばれていない理由は? 23人の選手の見極めにおいて、監督が最も重要視するところは?

 乾に関しては、ゲンキ(原口)、宇佐美、中島を代わりに呼んだ。だが乾はずっと追跡している。まず得点を取る、取らせるというところが基準になる。この前の試合で宇佐美、大迫も得点を取った。ただ、レバンドフスキは3点取っている。もちろん、得点が取れる選手は重要だが、1年前に良かった選手をずっと信頼し続けるのではなく、1年前に良かったからといって、23人に選ばれるというわけではない。それは全選手に言えること。乾の代わりに3人呼んだが、乾も候補に入っている。浅野、井手口に、われわれは何を言えるのか。オーストラリア戦では歴史的な働きをしてくれたが、今現在どうかということ。現在、選手が何をもたらせるかということだ。

 もちろん、私も間違えることはある。中島がクラブでやっているのと同じように、ドリブルで1対1で抜けるかは分からない。1人で絶対的な仕事をすることができる選手がいるのか。個人で打開できる選手は必要になってくる。たとえば、バルセロナに(リオネル・)メッシがいなかったら、あの結果が出せたのか。別次元の話なので、比較はできないかもしれないが。1人で打開できる、違いを生める選手を今後も探していく。対戦国にはそういった選手がいる。コロンビアには(ラダメル・)ファルカオ。ポーランドにも、レバンドフスキ、(アルカディウシュ・)ミリクがいる。セネガルにもマネがいるし、チャンピオンズリーグで(1試合で)3点も取っている。違いを生み出せる選手は日本にも必要だ。テストして探していかなければ。もちろん、得点を取らせる、取るということは私もよく分かっているつもりだ。私の感覚をFWに伝えて、本大会でも取れるようにしていかなければ。(本大会では)得点を取るチャンスは10回もないと思う。2、3回のチャンスで1点を取らなければいけない。

 岡崎も、今回は小林、杉本、大迫を選んだ。岡崎とは違うクオリティーを持っている。岡崎より、より得点が取れる。もちろん彼らも何かをもたらせる選手だ。レスターでやっている岡崎の役割は日本代表とは全く違う。そういったこともあって、私はこのようなチョイスをした。

最終的なメンバー発表は5月31日

メンバーの選考に関しては「フットボール面でも、人間性の面でも難しい作業になる」とコメント 【スポーツナビ】

――長谷部は後ろでも使えると言っていた。クラブでもリベロでやっているが、後ろでも試すのか? 中島以外にまだ試してみたい選手はいるのか?

 まず長谷部について、プレーしてくれているのがいいこと。確かにクラブでは中盤、後ろもやっているが、代表では絶対的な中盤の役割だと認識している。彼はグラウンド外でも非常に重要な存在。彼の存在が代表には必要だ。

 それから少し私にとって残念だったのが、長谷部に代わるグラウンド上での役割を担う選手として今野(泰幸)を考えていたが、少しけがをしてしまった。いろいろなことを考えて選手を準備している。

 2つ目の質問について。今回は中島を呼んだが、試合を見て、スタッフも3回ほど送って分析をした。(出場したリオデジャネイロ)五輪ではどうだったのかという情報ももらった。素晴らしいプレーをすることもあれば、全く存在が消えてしまうこともある。23人に入るかは分からない。ただ、最後の最後に資格があれば、入れてもいいだろう。1対1で相手を抜く選手はあまりいないので、これからも探していく。(中島は)スピードも、爆発的な俊敏性もあって、左も真ん中もできる選手だと思う。

(選手選考は)すべてオープンな状態にしている。まだまだ半分のチョイスがわれわれのチームにはある状態だ。最終的なリストはまだ作れない。もちろんけがの状況もある。本大会に出場する監督はみんな同じ状況なのではないか。日本代表は少しけがが多い状況ではあるが。

――メンバー発表はいつを予定しているか?

 恐らく、ガーナ戦が終わって(5月)31日になると思う。ヨーロッパへ行く直前になるのではないか。6月4日が(メンバー登録の)最終締め切りになる。フットボール面、感情面すべてを混ぜて選ばなければいけない。素晴らしい人間性を持った選手が日本には多い。具体的な名前は出さないが、素晴らしい選手が多い。人間としての行動が素晴らしい。本当に私がかかわる選手には愛着がある。

 ただフットボール面では私が選択しなければならない。1年前、6カ月前に良かったから呼べるというわけではない。その時にいい選手でなければならない。23人の基準はいろいろある。フットボール面でも、人間性の面でも難しい作業になる。浅野と井手口の状況はどうなっているか。経験がある選手が本大会で何をもたらせるのか。違う状況になっているのではないか。規律の問題で排除するのは簡単かもしれないが、フットボール面では大変な作業になる。このチームに何をもたらせるのかを考えなければいけない。プレッシャーも大きなものになるだろう。私はプレッシャーには強いが、間違えることもある。それが間違いだったがどうかは、本大会が終わった後にしか分からない。

 先ほども(リヤド・)マフレズの話をしたが、イングランドで今、岡崎と一緒にプレーしている素晴らしい選手だ。最近の試合では、マフレズが違いを見せてチームの勝利に貢献した。ただ、(アルジェリア代表監督だった)当時、マフレズを代表に呼んだ時にはまだ彼は無名でみんなから批判された。最後に「ヴァイッドは正しかった」と言われたが。とにかく、フットボール面でチョイスをしなければならない。もちろん皆さんとも、それから横にいるスタッフとも意見は違う。もし結果が伴わなければ私の責任だ。ただ、このチームでしっかり希望をつかみにいきたい。確信を持っていきたいし、確信がなければチームには呼べない。全員で何かを成し遂げるという気持ちでトレーニングをして、準備していかなければいけない。

 4年前の日本vs.コロンビアを見たが、ちょっとしたことで結果は変わる。それが本大会でわれわれに突きつけられている強い要求だ。われわれは最終予選を突破したので、誇りを持って日本の力を見せなければいけない。そういったことを国民も、サポーターも期待しているのではないか。ここで約束できるのは、われわれはそれをつかむために、できることは全部やるということ。狂ったようにトレーニングしていきたいと思っている。成功するかは誰も分からないが、強い気持ちで野心を持って本大会に臨みたい。

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