バイエルンが巨大ハッカソンを初開催
日本から1人で参加、大学生が受けた衝撃
バイエルン・ミュンヘンがハッカソンを初開催。世界中から優秀な若者が集結した
バイエルン・ミュンヘンがハッカソンを初開催。世界中から優秀な若者が集結した【写真:SAPJAPAN】

 ドイツ・ブンデスリーガで圧倒的な強さを誇るバイエルン・ミュンヘンが現地時間1月29日から2月2日の4日間、本拠地であるアリアンツ・アリーナにて「FCバイエルンHackDays」を初めて開催した。


「FCバイエルンHackDays」は、バイエルンのファンに対してデジタル技術で新しいサービスや体験の提供を生み出すことが目的。「世界中のファン、パートナー、専門家、スタートアップ起業家、学生を招き、新たなテクノロジーでクラブとファンの感情的な絆をより一層高めていくすべを、お互いに学び創造していく」という世界中にファンをもつビッグクラブらしい企画だ。


 世界中から1300名を超える応募が集まり、参加が許されたのは選抜された220名のみ。その中の1人にこれが初めての海外という大阪府立大学の4年生、筒井雅之が選ばれた。

きっかけはJSAAスポーツアナリティクス甲子園

筒井(1列目の右から3人目)は「JSAAスポーツアナリティクス甲子園」をきっかけにチャンスをつかんだ
筒井(1列目の右から3人目)は「JSAAスポーツアナリティクス甲子園」をきっかけにチャンスをつかんだ【写真:SAPJAPAN】

 筒井はある日、ゼミでお世話になっている渡邊真治教授から、日本スポーツアナリスト協会(JSAA)が主催する「JSAAスポーツアナリティクス甲子園」(以下、甲子園)にチャレンジしてみないかと声をかけられた。


 2017年の甲子園は、テーマが「集客施策がJリーグの観客動員数に与える影響を分析せよ!」というもの。統計解析などを駆使してJリーグの観客数を予測し、集客施策がデータ分析上、集客の向上にどう役立つのかを施策・提言するというもの。筒井にとっては、今までの大学生活で最もハードだったそうだが、大学に3日間泊り込むほどの努力が実り、SAP賞を受賞した。


 その後、SAPを通じて「FCバイエルンHackDays」の開催を知ると、「こんな機会は二度とない」という思いで応募を決意。見事に参加の権利を勝ち取った。こうして筒井は、宿泊費や交通費は全て主催側負担という好条件で単身ドイツへと渡った。


 不安いっぱいでドイツに到着した日、宿泊先で相部屋となったロシア人、イギリス人、アゼルバイジャン人の大学生が優しくしてくれたおかげで「少し気分が楽になった」という筒井だったが、次の日から始まったHackDaysで衝撃を受けることになる。

世界中から猛者が集結。その知識と技術に圧倒される

参加者は専門技術を持つ人ばかり。筒井は大きな衝撃を受けた
参加者は専門技術を持つ人ばかり。筒井は大きな衝撃を受けた【写真:SAPJAPAN】

 HackDaysの4日間には各種の講演や説明、チームビルディングをする時間も含まれるので実際にハックする(アイデアをまとめ、プロトタイプシステムを構築する)時間は丸2日ほど。筒井が挑戦したテーマは「SAPチャレンジ:Fan Activataion4.0」。最新のデジタル技術やデジタルメディアを使って、ファンの体験を向上させるためのソリューションを生み出すことが目的だ。


「初日のランチで一緒に食事をしていたメンバーとチームを組むことになり、サービス開発に取りかかりました。チームメートは5名。米国のヤフーに勤めている台湾人。ドイツに留学中の台湾人、イタリア在住のコロンビア人、大学で研究員をしているインド人と私です。メンバーでアイデア出しを行い『FANCAM』というサービスを開発することになりました」(筒井)


「FANCAM」は、ファンが自撮りした試合観戦動画を顔認証技術で処理してファンの特定とその人の感情データ(誰がいつ喜んでいるか、怒っているかなど)を生成。このデータを試合映像にタグとして埋め込み、ファンの感情をベースに特定のシーンを即時に呼び出せるというサービスだ。


 海外では最近、ファンが試合観戦している様子をシェアすることが増えており、この自撮り動画を使ったサービスがアイデアとして出た。既存技術として、ドリブルやシュートなどのプレーデータを映像にタグ付けし、注目シーンをすぐ呼び出せるようにするものは存在する。だが、ファンの感情にタグ付けをし、「この試合で一番ファンが興奮したシーン」などで特定のシーンをすぐ呼び出せるようにするという発想がユニークである。

「FANCAM」では、試合映像とファンの観戦動画が連携して視聴できる
「FANCAM」では、試合映像とファンの観戦動画が連携して視聴できる【写真:SAPJAPAN】

 筒井にとって、このシステム開発は相当にハードルが高かったようだ。


「衝撃を受けました。英語でのコミュニケーションにも何とか慣れてきたところだったのですが、次元が違いました。チームメンバー全員が何かしらの専門技術を当たり前のように持っていて、アイデアの実現に向け各自作業に入っていきました。ウェブサービス周りのプログラミングはコロンビア人。映像のタグ付けはドイツ在住の台湾人、顔認証周辺の開発をヤフーに勤める台湾人と研究員のインド人。ここで自分が取り残されました。何もできないことにあらためて気付かされました」


 しかし、ドイツまで来て落ち込んで何もしないようなら、挑戦した意味がなくなってしまう。筒井は奮起し、自分にできることを積極的に見つけ出し、メンバーのサポートを進んで行った。雑用でも何でもやった。最終的にはチームメンバーに受け入れられ、慣れないながらも顔認証サービスの開発に加わった。メンバーの一員として「FANCAM」の開発を進めた経験は、非常に大きな財産になったことだろう。

濱本秋紀

SAPジャパン株式会社のマーケティング部門でコーポレートイベント・ブランディング・スポーツスポンサーシップ・デジタルマーケティングなどの責任者、製品マーケティングの企画・実施、ユーザーグループの企画・運営などを経験。2016年より、プロスポーツクラブのマーケティング・ファンエンゲージメントを支援し、スタジアムソリューションの事業開発などを担当している。

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