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バイエルンが巨大ハッカソンを初開催
日本から1人で参加、大学生が受けた衝撃

仮想通貨で新しいエンゲージメントを生み出す

「FanCoins」のプロトタイプアプリ画面
「FanCoins」のプロトタイプアプリ画面【写真:SAPJAPAN】

 SAPチャレンジでは、30名程度の参加者が6チームに分かれてサービス開発を行った。その中には一流の「ハッカー」も参加していた。ニューヨーク出身の34歳、サンフランシスコ在住のマーだ。彼は、すでに世界各地で100を超えるハッカソンに参加している。マーは、今回の企画に参加するにあたり、すでにアイデアを持ってきていた。それが、「FanCoins」である。


「FanCoins」は、バイエルンが試合で得点するごとに仮想通貨であるファンコインを発行することができる。例えば、1月21日のブンデスリーガ第19節のブレーメン戦で、トーマス・ミュラーが記念すべきブンデスリーガ100ゴール目を決めた。このようなメモリアルゴールの場合、バイエルンはいつもより多くのファンコインを発行することができる。ファンとエンゲージを深めたいポイントで、コイン発行が自由にできるような仕組みになっているからだ。


 また、このファンコインにはコインが発行された時のゴール映像が埋め込まれるため、取得したファンはコインの金銭的価値に加え、特別な「感情的価値」も得ることができる。マーはこれを「Crypto Collectables(収集可能な仮想感情)」と呼んだ。感情的にはゲームのトレーディングカードを集める行為に似ているのかもしれない。


 バイエルンはゴールシーンだけでなく、ファンがシーズンチケットを購入した時やグッズを購入した時にもコインを発行し、提供できる。ファンのプロファイルや行動履歴を管理しているシステムと連携すれば、エンゲージを強化したいファンとエンゲージしたい場面でコインの提供を行うことも可能だ。ファンコインが持つ、仮想の金銭価値と感情価値を使って、ファンとの新しいエンゲージメントを生み出すことができるというわけだ。

海外のリーグやクラブで働いて、日本に還元したい

2つのイベントを経験し、筒井はひと回りもふた回りも大きくなった
2つのイベントを経験し、筒井はひと回りもふた回りも大きくなった【写真:SAPJAPAN】

 SAPチャレンジの勝者はマー率いる「FanCoins」チームとなった。アイデア、プロトタイプの完成度、共に審査委員一致の受賞だった。審査員の一員だったSAPのヤン・パトザレックは次のように振り返った。


「『FanCoins』は持続可能なサービスだ。新しいファンとのつながり方を無限に発見していけるだろう。また、コインの取引情報はシステムに蓄積していくので、クラブは『FanCoins』によって、1人1人のファンに対してかつてないほどの洞察が得られるようになるだろう」


 バイエルンとSAPはこのハッカソンで発表されたアイデアやサービスに大変満足しているという。いくつかのサービスは具現化に向け、継続的に取り組まれる予定だ。ハッカソンに関わった主催チーム、パートナー企業、参加者という3者にとって、まさに「三方良し」の取り組みだったと言えるだろう。


 筒井は甲子園とHackDaysに参加し、スポーツの世界で働く夢がより具体的になったという。


「スポーツ関係の世界で働く夢がより一層強くなりました。バイエルンで感じたあの熱狂。あれを日本に持って来ることができれば、日本のスポーツはもっと変わると感じました。来年からは大学院に進みますが、スポーツビジネスに関するテーマを研究していきたいし、できれば留学してスポーツのデータ分析も学んでみたいです。将来的には海外のクラブやリーグで働いて、海外の知見を日本に還元したいと思うようになりました」


 2つのイベントを経験し、筒井はひと回りもふた回りも大きくなった。


(文中敬称略)

濱本秋紀

SAPジャパン株式会社のマーケティング部門でコーポレートイベント・ブランディング・スポーツスポンサーシップ・デジタルマーケティングなどの責任者、製品マーケティングの企画・実施、ユーザーグループの企画・運営などを経験。2016年より、プロスポーツクラブのマーケティング・ファンエンゲージメントを支援し、スタジアムソリューションの事業開発などを担当している。

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