ビジネスのプロがエティハドに集結? SAPスポーツサミットに潜入

濱本秋紀

世界32カ国からスポーツビジネスのプロが集う

エティハド・スタジアムにスポーツビジネスのプロが集結。最新の事例が紹介された 【写真:SAPJAPAN】

 2017−18シーズンのプレミアリーグで1位を快走するマンチェスターシティの本拠地、エティハド・スタジアム。マンチェスター・ユナイテッドの本拠地であるオールド・トラフォードが100年の歴史を持つ伝統的なスタジアムなのに対し、こちらは最新鋭な匂いがプンプンするスタジアムである。

基調講演には元イングランド代表のフランク・ランパード(左)が登壇した 【写真:SAPJAPAN】

 15年から始まった「SAP Sports Summit(スポーツサミット)」は、過去にアリアンツ・アリーナ(バイエルン・ミュンヘンの本拠地)やライン・ネッカー・アリーナ(ホッフェンハイムの本拠地)などで開催されてきた。今年は10月25、26日の2日間にわたって行われ、世界32カ国、72の協会、リーグ、クラブ、大会主催者などからスポーツビジネスのプロがエティハド・スタジアムに集結した。

 このサミットでは、最新のスポーツ業界向けソフトウェアや、ユーザーの最新事例などを学ぶことができる。

アーセナルのEコマースソリューション導入事例

新しいオンラインショップの画面。画面上でプリントするネームやワッペンのプレビューを見ることができる 【写真:SAPJAPAN】

 アーセナルの15−16シーズンの売上は推定で572億円。フェイスブックのファンは世界中に約3600万人いる。ホームゲームは常に満席で、シーズンチケットは常に購入待ちのリストに並ばなければならない(リスト登録も有償)。アーセナルのリテール部門は「スタジアムツアー」「ファンショップ(店舗)」「海外へのライセンシング」「オンラインショップ」と4つのカテゴリで業務を行っている。アーセナルでリテール・ディレクターを務めるシモン・リリー氏は、今までのオンラインショップについて次のように語った。

「公式オンラインショップは、55%以上が英国以外からの流入です。また、65%以上はモバイルデバイスからアクセスされています。しかし、アクセスからの購入率が低いことが問題でした。また、世界的な有名選手と新たに契約する時などは急激にアクセス数が上昇します。このようなトラフィックのピーク時に耐えられるよう、システム処理速度の改善も必要でした。これらの課題を解決するために、オンラインショップの再構築を決めたんです」

 新しいサイトでは、以下が新たに実現できたという。

・モバイルアクセス対応
・言語、通貨のグローバル対応
・オムニチャネル化(店鋪・スタジアム受取も含めたデリバリーオプションの充実)
・ユニホームなどのマスカスタマイゼーション対応
・パーソナライズされた体験の提供
・ページ読み込み時間の短縮

 その結果、17年8月にローンチしてから以下のような成果が確認されている。

「再構築前と比較して、オンラインショップの総売上は77%もアップしました。もちろん、モバイルアクセスに対応したこと、多言語・他通貨にも対応したことで、モバイルや海外からアクセスしたファンの購入率が上がったことが大きいです。サイトへの訪問数自体も37%アップしています。 世界有数のリテール企業をベンチマークとして、サービスの向上に努めたことが成果に結びついていると考えています」

 なお、17年11月現在で日本はまだ未対応のため、新しいオンラインショップでの購入体験はお預けとなっている。

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著者プロフィール

SAPジャパン株式会社のマーケティング部門でコーポレートイベント・ブランディング・スポーツスポンサーシップ・デジタルマーケティングなどの責任者、製品マーケティングの企画・実施、ユーザーグループの企画・運営などを経験。2016年より、プロスポーツクラブのマーケティング・ファンエンゲージメントを支援し、スタジアムソリューションの事業開発などを担当している。

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