プレミアや中国に資金力で劣るラ・リーガ 移籍市場で見えた「質素倹約」の方向性

特筆すべき動きはなかった冬の移籍市場

ジダン監督(左)の言葉どおり、今冬の移籍市場でレアル・マドリーが大きな動きを見せることはなかった 【Getty Images】

 どのクラブも質素倹約、健全経営に努めている現状を表すように、ラ・リーガにおいて今冬の移籍市場に特筆すべき動きは、ほとんど見られなかった。特にレアル・マドリーは多くのうわさが上がっていたが、過去数年に続いて1月末にマーケットの話題を独占することはなかった。

 1月中の補強はないし、誰もクラブを出て行かない。レアル・マドリーのジネディーヌ・ジダン監督はそう繰り返すことで、パリ・サンジェルマン(以下、PSG)とのチャンピオンズリーグ・決勝トーナメント1回戦に、今季の全てを懸けることになった選手たちへの信頼を示してきた。だが、国内外のメディアは移籍市場の最終日まで、その言葉を信じることなく、インテルのマウロ・イカルディらを獲得する可能性を報じていた。

バルセロナはネイマールの違約金を資金源に補強を敢行

バルセロナはクラブ史上最高額で、リバプールからコウチーニョを獲得した 【Getty Images】

 今冬に大型補強を行った数少ないクラブであるバルセロナとアスレティック・ビルバオにしても、主力選手の国外移籍によって得た違約金がその資金源となっている。

 ネイマールをPSGに引き抜かれたバルセロナは、昨夏に加入したウスマン・デンベレが2度目の負傷離脱を強いられる中、クラブ史上最高額を更新する固定額1億2000万ユーロ+出来高4000万ユーロ(合計1億6000万ユーロ=約213億円)もの大金を費やして、リバプールのフィリペ・コウチーニョを獲得した。さらにブラジルのパルメイラスから、コロンビア人センターバックのジェリー・ミナを1180万ユーロ(約16億円)で買い取った一方、ラフィーニャ、ハビエル・マスチェラーノ、ジェラール・デウロフェウ、アルダ・トゥランを放出している。

 アスレティック・ビルバオはマンチェスター・シティに引き抜かれたアイメリック・ラポルテが残した違約金6500万ユーロ(約87億円)を使い、やはり違約金の満額3200万ユーロ(約43億円)を払って、レアル・ソシエダのイニゴ・マルティネスを獲得。ライバルクラブに生え抜きの主力選手を引き抜かれたことで、レアル・ソシエダのファンは激怒することになった。

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著者プロフィール

アルゼンチン出身。1982年より記者として活動を始め、89年にブエノス・アイレス大学社会科学学部を卒業。99年には、バルセロナ大学でスポーツ社会学の博士号を取得した。著作に“El Negocio Del Futbol(フットボールビジネス)”、“Maradona - Rebelde Con Causa(マラドーナ、理由ある反抗)”、“El Deporte de Informar(情報伝達としてのスポーツ)”がある。ワールドカップは86年のメキシコ大会を皮切りに、以後すべての大会を取材。現在は、フリーのジャーナリストとして『スポーツナビ』のほか、独誌『キッカー』、アルゼンチン紙『ジョルナーダ』、デンマークのサッカー専門誌『ティップスブラーデット』、スウェーデン紙『アフトンブラーデット』、マドリーDPA(ドイツ通信社)、日本の『ワールドサッカーダイジェスト』などに寄稿

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