豪快FWの毎晩のルーティンとは…ラグビー日本代表、海外遠征の過ごし方

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元日本代表・大西氏が振り返る遠征の思い出

ラグビー日本代表で大西氏(中央)とともに戦った西浦達吉氏(右)と、今も現役の大野均(左) 【写真提供:大西将太郎】

 こんにちは、大西将太郎です。
 ワールドカップ2019日本大会まであと2年を切り、各国の準備、強化のスピードが加速してきているように思います。特に、11月はウインドウマンスと言われる月にあたります。ウインドウマンスとは、全世界でテストマッチ月間と定められ、各国の代表同士が試合を行えるようにスケジューリングされていることで、6月と11月の年に2回あるのです。

 それぞれの国内リーグを見てみると、日本のトップリーグは試合を休止するので、代表選手を除くメンバーでチームの再強化を行う時間にあてられますが、フランスリーグTOP14ではウインドウマンスに関係なくリーグ戦が行われます。このように、国内リーグのスケジューリング、運営などはそれぞれの国によって違います。僕の意見ですが、今後トップリーグでもこの期間に試合を行って良いのではないかと思っています。

 さて、われらが日本代表は国内で世界選抜(27対47)、オーストラリア代表(30対63)と2試合をこなし、トンガ代表(39対6)とフランス代表(23対23)との試合を行うためにヨーロッパ遠征に出ましたね。
 そこで、今回は代表チームが遠征時において練習や試合以外の時にどのような生活をし、遠征後にはどういった変化がチームに起こっていくのかについて書いてみようと思います。

海外遠征では2人部屋が基本

2005年の香港代表戦でボールを持って突進する故・渡邉泰憲さん 【写真:アフロスポーツ】

 代表チームとは各チームから選ばれた選手の集まりなので、普段は別々のチームでプレーをしています。そのため、所属チームの時とは違い、性格や人間性などを知り、コミュニケーションを深める時間は多くありません。また、国内合宿ではどこでも言葉は通じますし、それぞれ各地に親戚や友達がいたりするので、普段の生活環境と大きな違いがなく、自分の空間を作ってしまいがちです。

 しかし、海外だと食事やホテル、外出先などすべての環境が日本とは違うので自然とチームメイト同士の会話も増えてきます。カフェやレストランに出かける時に良くある光景としては、同世代やポジションごとにグループを作る傾向が多いのですが、なぜか僕はよくフォワード、特にプロップの選手と行動をともにすることが多かった思い出があります。理由はわかりませんが、守ってもらえそうだという安心感があったからでしょうか……。
 余談ですが、僕も遠征では世界各地に行きました。その時に、チームメイトのトンガ出身の選手たちは、どの国に行っても、親戚がいたことに驚いた思い出があります。親戚が世界中にいるんです。

 海外遠征ではだいたいが2人部屋で、毎回ルーミー(同部屋)が誰になるのか気になるところです。思い出されるのは2007年フランスワールドカップの時、事前合宿でイタリアに行きました。そこから、ワールドカップまでほとんどの移動先で僕のルーミーはマンキチさん。マンキチさんとは故・渡邉泰憲さん(東芝ブレイブルーパス/フランカー)のことで、今でも僕は信じていませんが、2010年に不慮の事故でお亡くなりになりました。
 そんなマンキチさんは、年下の僕にいつも気を使ってくれる優しい先輩であり、ルーミーでした。しかし驚いたのは、試合では誰よりも体を張り続け、先頭に立ってタックルにいく日本を代表するファイターであるマンキチさんが、夜には必ず、「天空の城ラピュタ」のDVDを見ないと寝られないという可愛い一面の持ち主だったことです。嘘のような話ですが、1カ月間ラピュタを見続けたおかげで、今でも僕の頭には内容が叩き込まれています。きっと、マンキチさんは天国でもラピュタを見ていると思っています。

W杯前の合宿でシャワーからお湯が出ない…

遠征先で笑顔を見せる大西氏(左)、故・渡邉泰憲さん(中央)、箕内拓郎氏(右) 【写真提供:大西将太郎】

 もう一つ、海外遠征においては、日本で当たり前のことが当たり前ではないこともたくさんあります。例えば、シャワーでお湯が出ないことや、水すら出ないことも多々ありました。また、2007年フランスワールドカップ前のイタリア合宿のときは、シャワーからお湯が出なくて、浴槽の蛇口からしかお湯が出ませんでした。そんな時、大きなラガーマンたちが湯船で四つん這いになり、頭を蛇口の下にもっていき、必死に頭を洗っていた姿は面白くて、かわいいなと今でも笑える思い出です。

 このように、練習や試合以外の時間もともに生活することにより仲間とのつながり、相互理解が深まります。ラグビーにおいて、チームメイトの性格や人間性を理解することはとても重要なことです。なぜなら、試合でのコミュニケーションは勝敗を左右するといっても過言ではないからです。

 日本代表には、今回の海外遠征を経てベテランと若手が溶け合い、スタッフも含めたチームとしてのまとまりができて、戦術、戦略などのラグビーにおける成熟度とは別に、測ることのできないチームの絆の深まりを期待しています。それこそが新生日本代表のスローガンでも使われているように、本当の意味での「One Team」だと思います。

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