車いす陸上・佐藤の「東京パラ金計画」 世界一に押し上げる実業団チームの存在
「ベストの環境です」
リオパラリンピックで2つの銀メダル、ロンドン世界パラ陸上で2つの金メダルを獲得したパラ陸上のエース・佐藤 【Getty Images】
「練習でも、レースでも、短時間に集中できることが僕の最大の長所です。逆に言えば、集中力は長続きしない。だから、昼間は仕事をして午後から練習するという今の生活パターンはすごく自分に合っています。会社はもちろんのこと、親会社の株式会社グロップやグループ会社、またさまざまな企業の方々に支えてもらっています。僕にとっては、WORLD−ACはベストの環境です」
そう、佐藤は言い切る。
きっかけはロンドンパラ
佐藤が陸上競技を始めたのは、ロンドンパラリンピックの陸上競技を動画サイトで見たことがきっかけだ。
「病気で車いすになってから、風を切るということがなかった。映像で見た陸上の選手たちは、レーサーを使ってトラックの上で思い切り風を切って走っていました」
ロンドンパラリンピックの陸上競技映像に釘付けになった佐藤は、だから明確に「陸上競技でパラリンピックに出場する」ことが、当初からの目標だった。パラリンピックを目指して陸上を始めたものの、一人でトラックを借りることは難しい。一般道での練習では行き交う自動車を避けて中断することも度々だ。佐藤は岡山県吉備中央町にある国立吉備高原職業リハビリテーションセンターに入所することを決めた。
「そこなら、練習時間も場所も確保できる。仕事の訓練学校ですが、僕は練習環境も求めて行ったんですよ」