「Bリーグホープ」が目指す継続的な支援 熊本で見たプロスポーツの“あるべき姿”
オールスターを前に、福岡県朝倉市と熊本県益城町で「Bリーグホープ」の災害支援活動が行われた 【(C)B.LEAGUE】
大河正明チェアマンは2017年2月、NBAオールスターを視察するために、米国のニューオーリンズを訪れた。チェアマンに帯同していた広報の新出浩行は、併せて行われた「NBA Cares(NBAケアーズ)」の活動に参加し、強く感銘を受けた。彼はこう振り返る。「小学校の遊び場を整備する、遊具を設置するという活動だったんですが、あのステフィン・カリー(ゴールデンステート・ウォリアーズ)が合羽(かっぱ)を着て、雨の中でも積極的にやっていた」
Bリーグも17年1月に「B.LEAGUE Hope(Bリーグホープ)」という活動を始動させており、ベンチマークはNBAケアーズだ。NBAのようにスターが率先して活動の先頭に立っていくこと、単発でなく継続して活動することが、Bリーグの目指すところとなる。
NBAを手本に始まった「Bリーグホープ」
雨の中、かっぱを着てNBAケアーズの活動を行うカリー。BリーグもNBAを手本に「Bリーグホープ」の活動をスタートさせた 【素材提供:(C)B.LEAGUE】
2度の「震度7」が熊本県全域に及ぼした惨禍(さんか)は、家屋の全半壊が合わせて4万棟以上。一部破損も含めると20万棟近くに及んだ。震災から2年近くが経った現在では、直後の混乱に比べれば状況は改善されている。街を移動していても、痕跡を感じることは皆無に近い。
それでも、家をまだ再建できていない人々が、熊本県内にはまだ4万人も残っている。今回のオールスターは西区の県立総合体育館で開催されたが、中央区にある「熊本市総合体育館・青年会館」は18年1月10日にようやく全館が再オープンしたばかり。熊本城の石垣、櫓(やぐら)に及んだ大きな被害については皆さんもご存じだろう。
16名のオールスター出場選手、地元の小学生が参加
大興奮のシューティング合戦も行われ、参加した子供たちは選手とのふれあいを楽しんだ 【(C)B.LEAGUE】
Bリーグのスタッフはヴォルターズとともに複数の仮設団地を訪問し、すでにニーズを聞き取っていた。そこで浮上したのが「子供たちの遊び場所不足」や「コミュニティー形成」「仮設住宅で暮らすストレス」といった課題。Bリーグからはゴールとボールがすでにプレゼントされていたが、今回はベンチ、遊具バナーのペイントと設置が行われた。
益城の活動には16名のオールスター出場選手、アンバサダーの折茂武彦(レバンガ北海道)、おのののかさんに加えて、13名の「ファウンダー」が参加した。ファウンダーとはBリーグホープの活動に賛同し、クラウドファンディングに出資して参加権を購入した人々のことだ。益城側からは地元のミニバスチームに所属する選手、仮設団地で暮らす小学生など41名が参加した。
最初は少し堅い感じもあった選手と子供たちだが、1時間ほどのふれあい、作業の中で打ち解けていた。5つのグループに分かれてコミュニケーションを取りながら手際よく作業を進め、くまモンとBリーグのロゴが描かれたベンチ、Bリーグホープのロゴが入ったバナーを完成させていく。
作業と記念撮影を終え、豚汁で体を温めていた子供たちだが、最後のシューティング合戦になると大興奮。田口成浩(秋田ノーザンハピネッツ)が超ロングシュートを沈める姿に触発されて、われもわれもとボールに群がっていた。