上田西を初勝利に導いた元Jリーガー 松本山雅の地域リーグ時代を知る白尾監督

元川悦子

恩師・小嶺監督の教えで人生が変わった

白尾監督の恩師は現・長崎総科大附の小嶺忠敏監督(中央) 【写真:アフロスポーツ】

 とはいえ、現状維持のままでは全国で勝てない。そう考えた指揮官は、選手権までの1カ月間に格上のチームと12試合のテストマッチを組み、松本山雅のトップチームや高校総体チャンピオンの流通経済大柏(千葉)に胸を借りた。

「山雅とは30分ゲームを2本やって0−8で大敗したけれど、プロの判断スピードや動き出しの速さ、パススピードを体感できた。その前に僕らはボールボーイをやらせてもらったのですが、間近で見ていた選手たちと同じピッチで戦えて、自信がつきました」と大久保は語る。

「流経にも0−4で負けましたが、夏の覇者のレベルが分かったのは大きかった。選手たちも長野県王者となって全国に出ることで、多くの人に注目され、評価も上がったりと取り巻く環境が変わっていく。僕も与論島から国見高校へ行き、小嶺先生(忠敏=長崎総合総科大附監督)の指導を受けたことで人生が変わった。『サッカーは厳しさの中に面白さ』ということを小嶺先生に教えてもらったので、僕も選手たちにそれを伝えたいです」と白尾監督は目を輝かせる。

白尾監督「次は流れの中から点を取りたい」

 小嶺監督率いる長崎総科大学附属とも12月27日に練習試合を行い、自分たちのやるべきことを徹底的にやり切る重要性を再認識したうえで、彼らは京都橘戦に挑んだ。開幕戦で佐賀東が関東第一を下したのを見て、下馬評は関係ないと勇気付けられたことも、この日の堂々たる戦いぶりの原動力になったという。首尾よく初戦を突破した上田西の次なる相手は帝京大可児(岐阜)。このハードルを超えられれば、長野県勢の最高点であるベスト8に到達する。しかし、白尾監督が見据えるところはもっともっと上。恩師・小嶺監督が何度もつかんできた頂点に立つことが最大の目標だ。

「僕は小嶺先生を目指して指導者をやってますし、夢は全国優勝。そのためにも、次は流れの中から点を取りたい。12試合のテストマッチでも合計4点しか取れなかったので、いかにしてゴールを奪うかが僕らの直面する課題なんです。自分は現役時代FWだったので、今日も数多くのチャンスを決め切れなかったのが悔しくてたまらなかった。次こそは(決めてほしい)と思ってます」

 こう語気を強める熱血監督の思いを選手全員がしっかりと受け止めているはず。3日の3回戦で彼らがどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、今から大いに楽しみだ。

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著者プロフィール

1967年長野県松本市生まれ。千葉大学法経学部卒業後、業界紙、夕刊紙記者を経て、94年からフリーに。Jリーグ、日本代表、育成年代、海外まで幅広くフォロー。特に日本代表は非公開練習でもせっせと通って選手のコメントを取り、アウェー戦も全て現地取材している。ワールドカップは94年アメリカ大会から5回連続で現地へ赴いた。著書に「U−22フィリップトルシエとプラチナエイジの419日」(小学館刊)、「蹴音」(主婦の友社)、「黄金世代―99年ワールドユース準優勝と日本サッカーの10年」(スキージャーナル)、「『いじらない』育て方 親とコーチが語る遠藤保仁」(日本放送出版協会)、「僕らがサッカーボーイズだった頃』(カンゼン刊)、「全国制覇12回より大切な清商サッカー部の教え」(ぱる出版)、「日本初の韓国代表フィジカルコーチ 池田誠剛の生きざま 日本人として韓国代表で戦う理由 」(カンゼン)など。「勝利の街に響け凱歌―松本山雅という奇跡のクラブ 」を15年4月に汐文社から上梓した

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