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豊田合成・イゴールからバレー界へ提言
「日本の選手たちはハングリーさがない」

今季のVリーグはスーパースターが勢ぞろい

37歳の今もなお、高い技術と攻撃力で活躍を続けるイゴールに話を聞いた
37歳の今もなお、高い技術と攻撃力で活躍を続けるイゴールに話を聞いた【写真:坂本清】

 ご存じだろうか。実は、今季のV・プレミアリーグはスーパースターが勢ぞろい。顔をそろえるのは、各国の代表選手として活躍するだけではなく、各国代表チームの“中心選手”として活躍する外国人選手ばかりなのだ。


 2016年のリオデジャネイロ五輪に出場し、14年の世界選手権で優勝したポーランドの主将、ミハウ・クビアク(パナソニック)、最高到達点372センチの高さを誇るカナダのギャビン・シュミット(東レ)。さらにはオーストラリア代表のトーマス・エドガー(JT)、元ブルガリア代表でポストシーズンにはイタリア・セリエAでも活躍するカジースキ・マテイ(ジェイテクト)。さらに女子へと目を向ければ米国代表のフォルケ・アキンラデウォ(久光製薬)、セルビア代表のブランキツァ・ミハイロビッチ(JT)、トルコ代表のネリマン・オズソイ(トヨタ車体)と、これがプロ野球やJリーグならば、もっと大騒ぎされてもおかしくない、まさにワールドクラスの選手が日本に集結している。


 そのきっかけをつくったのは間違いなくこの人。2015−16シーズンには天皇杯、Vリーグでは豊田合成を初優勝に導き、37歳の今もなお、高い技術と攻撃力で活躍を続けるイゴール・オムルチェンだ。外国人選手にトスが集まることが多い中でも彼に上がる本数は群を抜いており、1シーズンで1000本を超えるスパイクを放ちながら60%近い決定率を誇る。他チームからすれば「打ってくる、と分かっていても止められない」という大砲の存在は、多くの海外選手にとって日本での成功例として輝かしいものであるのは間違いない。


 世界レベルのスーパースターがそろっているとはいえ、すぐに日本のVリーグで活躍できるわけではなく、なかなかスタイルにフィットせず苦戦する選手も少なくない。それでもなぜ、多くのトップ選手が日本を選び、イゴールのように、今もなお進化を続けるのか。イゴールに聞いた。(取材日:2017年11月9日)

イゴールが感じるVリーグの難しさ

イゴール(左から2番目)は土日で連戦を戦う日本特有のリーグシステムに難しさを感じたという
イゴール(左から2番目)は土日で連戦を戦う日本特有のリーグシステムに難しさを感じたという【写真:坂本清】

イゴール 日本でプレーすることを選ぶ理由。それはもちろん選手によってそれぞれ違いますが、私がここに来る決断をしたのはまず、家族の存在が大きな要素です。安全で平和な日本では娘も学校に通って学ぶことができる。バレーボールに打ち込む環境や条件を日本のクラブが用意してくれたこと。そして何より、「強くなりたい」と望むチームから「協力してほしい」と求められるのはとても魅力的なことでした。


 とはいえ、日本のリーグを戦うのはとても難しい。なぜなら、ヨーロッパのリーグはたいてい週に1試合を戦うのに対し、日本では土日続けて試合がある。もちろん日本のリーグシステムを尊重していますが、2日続けてベストなパフォーマンスを発揮するのはとても難しい。私も日本での1年目は環境になじむことや、働きながらバレーボールをする日本の仕組みやメンタリティーなど、さまざまな面でフィットするまでに時間がかかりました。


 私が幸運だったのはJTでヴェセリン・ヴコヴィッチ、そして豊田合成でクリスティアンソン・アンディッシュという言葉の壁がなく意思疎通できる監督に恵まれたことです。特にアンディッシュは若い選手に技術を教えることに大変長けた素晴らしい指導者であり、彼の指導によってガラリと変わるチームの中にいられたこと。それが、私の技術やメンタリティー、選手として必要な要素を伸ばしてくれました。毎日の練習で選手やスタッフがファイトし合いながら一生懸命に取り組む。これは本当に幸せなことで、切磋琢磨(せっさたくま)しながら厳しくぶつかり合う時はぶつかり合い、そして、その中にも楽しさや笑いがある。日々大きく変化していくこの素晴らしい環境が、私のモチベーションをつくってくれています。


「年齢が上がると、パフォーマンスが落ちるはずだ」。多くの人はそう見るでしょう。でもね、年齢は単なる数字。だから私はまだまだできる、うまくなると信じて練習をしています。大切なことだから、もう一度言おう。「Age is just a number」。年齢はただの数字だよ(笑)。

田中夕子
神奈川県生まれ。神奈川新聞運動部でのアルバイトを経て、『月刊トレーニングジャーナル』編集部勤務。2004年にフリーとなり、バレーボール、水泳、フェンシング、レスリングなど五輪競技を取材。共著に『海と、がれきと、ボールと、絆』(講談社)。『SAORI』(日本文化出版)、『夢を泳ぐ』(徳間書店)、『絆があれば何度でもやり直せる』(カンゼン)など、女子アスリートの著書や、前橋育英高校野球部・荒井直樹監督の『当たり前の積み重ねが本物になる』では構成を担当

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