愛する両親の前でミルコ最多タイGI・6勝 マイルに新星ペルシアン17年ぶり3歳馬V

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両親の前でV「家族のパワーです」

ミルコの父ジョバンニさん(前列左)、母ラファエラさん(同2人目)に勝利のプレゼント 【スポーツナビ】

 インタビュアーや記者との間でなんの不都合もなく流暢な日本語でやり取りできるミルコ。そんなシーンはもはや珍しくなく、彼がイタリア人であることもすっかり忘れてしまいそうになるが、今日はミルコにとって特別に勝ちたい1日だった。と言うのも、父ジョバンニさん、母ラファエラさんを母国から日本に呼び、自身の晴れ舞台に招待したからだ。

「弟(クリスチャン)も今はこっちにいるし、久しぶりに会いたかった。すごく緊張していたんですが(笑)、お父さん、お母さんの前で勝つことができてとても嬉しい。今日は家族のパワーですね」

 ミルコが両親を日本の競馬に呼ぶのは2度目、前回は2003年ネオユニヴァースの皐月賞だったという。そのときもミルコは劇的な勝利で初めてのクラシックを手にしており、まさに“家族のパワー”が後押しした結果だ。そして、今や日本競馬界になくてはならない存在となり、異国のファンに愛される息子の姿に、「お互いの住んでいる距離が遠くて寂しいけど、彼の選んだ人生だから応援していますよ」と両親も目を細めていた。

マイルCSを勝った3歳馬はいずれも名馬に

3歳馬のレベルの高さを証明したペルシアンナイト、来年以降もマイル路線のエースとなるか 【スポーツナビ】

 ペルシアンナイトにも触れなければいけない。どうしてもミルコが目立ってしまうが、それもこの3歳馬の頑張りがあってこそだ。マイルCSは古馬優勢が続いており、3歳馬が勝利するのは2000年アグネスデジタル以来、実に17年ぶりのこと。このことだけでもペルシアンナイトがいかに快挙をやってのけたかが分かるだろう。

「この馬を任されたときから素晴らしい馬だと思っていました。この馬のお母さん(オリエントチャーム)は私の父(泰郎氏)が管理していた馬なのですが、これも素晴らしい素質を持った馬で、ゴールドアリュールの妹でした。ニキーヤ一族でGIを勝てたのが嬉しいですね」

 父の代から受け継ぐゆかりの血統でのビッグタイトルに相好を崩した池江調教師。春は体重調整に苦労したそうだが、成長の秋を迎えて飼い葉を旺盛に食べるようになり、その分、調教もハードにできるようになった。その表れがこの日の馬体重プラス12キロ。また、1週前追い切りに騎乗したジョッキー、水口優也がトレーナーの思い描いた通りの稽古を施したことが勝利に結びついたと、池江調教師は語った。「彼のおかげ。手柄だと思います」。

 これまで3歳でマイルCSを勝った馬は1984年グレード制導入以降、前述のアグネスデジタルのほかにもう2頭、サッカーボーイとタイキシャトルがいるが、いずれも日本競馬界を代表する名馬へと成長した。ペルシアンナイトの勝利はマイル界に待ち望んだ新星誕生の瞬間であり、偉大なる先輩3頭に続く快進撃を期待したくなる。池江調教師は今後の展望について、次のように語った。

「3歳なので将来もあると思いますし、色んな選択肢を残しつつ、しっかりと育てていきたいですね。賢い馬ですから、適性は1600メートルから1800メートル、2000メートルくらいまでと思っていますが、色々な競馬に対応できると思います」

勢いに乗る3歳勢、ジャパンカップはどうなる!?

 クラシックこそ皐月賞は同厩舎のアルアインに一歩及ばず2着の涙を飲み、ダービーは距離の壁に跳ね返され7着に敗れたが、マイル路線に舵を切って2戦目で一気の頂点へと躍り出た。ペルシアンナイト時代到来をも予感させるが、3着サングレーザー、4着レーヌミノルと、掲示板に3歳馬が3頭も入ったことも見逃せない。前週のエリザベス女王杯を制したモズカッチャンも示したように、春には疑問符がついていた3歳馬のレベルを見直さなければいけないようだ。

 次週は、いよいよダービー馬・レイデオロが古馬と初対決を迎えるジャパンカップ。しかも同厩舎のオークス馬・ソウルスターリングとの揃い踏みとなり、2週続けての3歳馬GI勝利はこれ以上ない追い風となるだろう。この勢いのまま三たび3歳馬がGIで古馬を撃破するのか、それともキタサンブラックら歴戦の古馬が貫禄を見せるのか――今年最後の府中2400メートル決戦はこれ以上ない盛り上がりとなりそうだ。

(取材・文:森永淳洋/スポーツナビ)

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