サファテを3イニング引っ張った執念 岩村明憲氏の日本シリーズ解説

スポーツナビ

第6戦では3イニングを無失点に抑えて、ソフトバンク2年ぶり8度目の日本一に貢献したサファテ。1勝2セーブで日本シリーズMVPに輝き、チームメイトから胴上げされた 【写真は共同】

 プロ野球の頂上決戦「日本シリーズ」第6戦が4日にヤフオクドームで行われ、福岡ソフトバンクが延長11回の末、横浜DeNAを4対3で下し、2年ぶり8度目の日本一に輝いた。

 ソフトバンクは2回に松田宣浩のソロで先制。その後逆転されるも、1点を追う9回に4番・内川聖一の起死回生の一発が飛び出し、延長戦に持ち込む。雌雄が決したのは11回。2死一、二塁から川島慶三がライト前に運び、4時間22分にわたる激闘に終止符を打った。なお、MVPはクローザーのサファテが受賞。この日は3イニングを無失点に抑える熱投でサヨナラ劇を呼び込み、シリーズ全体では1勝2セーブをマークした。

 スポーツナビでは、東京ヤクルトやMLB・レイズなどで活躍し、短期決戦の経験が豊富な岩村明憲氏による日本シリーズのポイント解説をお届けする。

クローザーをめぐる采配の“違い”

「こういう結果になったのは、サファテが3イニング投げきったことに尽きます。一方、DeNAは同じくクローザーの山崎(康晃)君を1イニングで諦めました。そこに采配の“違い”が出たのかな。これは“差”というよりも“違い”。“明日を考えた”DeNAと“今日しかない”ソフトバンクの違いですね。

 逆にサファテを3イニング投げさせるということは、ソフトバンクからすると「負けたらやばい」ことの現れ。3勝3敗でいきたくないのだろうなと、僕の目には映りました。工藤(公康)監督が優勝インタビューでおっしゃったとおり、『苦しかった』というのが率直な気持ちだったのでしょう。それがあの継投を生んだと思うし、最後は執念で決まりましたね」

川島のサヨナラ打が強さの象徴

延長11回に日本一を決めるサヨナラ打を放った川島。岩村さんがソフトバンクのストロングポイントに挙げた選手層の厚さを存分に示すシーンだった 【写真は共同】

「ソフトバンクは王者という立場。しっかりリーグ優勝をしてからクライマックスシリーズも制し、シリーズは粘るDeNAを振り切って、強さを示してくれました。何より選手層の厚さが最大のストロングポイントですよね。代わりに出てくる選手がいても、メインで出ていたかのような活躍をする。(川島)慶三が最後に決めたのもそれを示すには十分なものでした。

 プレーオフが始まってから、DeNAの成長具合がすごいのも感じました。この数週間で、シーズン以上のものが得られたんじゃないかと思います。最後にわずかな守備の綻びが見えたのは残念でしたが、11月まで戦えたことは来季以降に向けても大きな財産になったと思います。

 最後にソフトバンクのみなさん、本当に2年ぶりの日本一おめでとうございます、というよりもありがとうございます! すばらしい野球を見せてもらいました。いろいろなチームの理想になるような集団でした。これからもライバルたちと切磋琢磨して、日本プロ野球全体を引っ張ってほしいですね」
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