7度目の引退を目前に控えた大仁田厚
「青春が詰まった後楽園で幕を引きます」
7度目の引退を目前に控えた“邪道”大仁田厚に現在の心境を聞いた
7度目の引退を目前に控えた“邪道”大仁田厚に現在の心境を聞いた【スポーツナビ】

 ハードコアというジャンルで、プロレス界に大きな足跡を残した“邪道”大仁田厚。10月31日に東京・後楽園ホールで開催される「さよなら大仁田 さよなら電流爆破」で、リングに別れを告げる。引退を目前に控えた大仁田を直撃し、現在の心境を聞いた。

好きな「7」という数字で“さよなら”

“さよなら”に向けて、すでに満身創痍の大仁田。「もう、これ以上は膝がダメだな」と痛感していると話す
“さよなら”に向けて、すでに満身創痍の大仁田。「もう、これ以上は膝がダメだな」と痛感していると話す【スポーツナビ】

――2012年2月に本格復帰されて、5年半の月日が流れました。この間を振り返っていかがですか?


 基本的にはボロボロからの始まりですよ。全日本プロレスで引退(85年1月)したのが、本当の引退なんでしょうね。今回は“引退”ではなく、“さよなら”という言葉を使っているんですけど。ボクは6回も引退、復帰をしたつもりはないんだけど、どこかで“6回”と書いてあったから、まぁ6回でいいだろうと……。


 ボクは「9」という数字も好きなんだけど、「7」という数字が好きなんですよ。誰でも好きな数字があると思うんですが、「ラッキー7」が好き。パチンコなんかで、“777”が並ぶと、「やったぜ!」って思うし。じゃあ、「7回目の引退をしようや」って……。だけど、引退という言葉を6回も使ったんだから、今回は“さよなら”です。


 今、混沌とした世の中で、バーチャルな世界をイメージしたりするけど……。今はスマホに依存している時代。ボク自身もそうだけど、スポナビさんやスポーツニュースもWEBで見るもの。昔は紙を広げて読んだものだけど、まったく変わった。お客さんも、試合が終わって、早ければ20分後、遅くても1時間後くらいには、結果がネットで見られるんだよ。そうした時代において、反発じゃないけど、ボクはライブが好きだから、「ライブを見なきゃダメだよ」って、抵抗したのが、この5年半だった。


――やはり、ライブ第一主義なんですね?


 もちろん。たとえば、ボクのニュースをWEBで読み、その記事を見てくれた人が興味を持ってくれて、会場に足を運んでくれる。やっぱりライブなんですよ、プロレスは。ボクは抵抗し続けたけど、昔みたいに5万人とかの世界は無理だった。無理な面はあるけど、人間は抵抗し続けないとダメ。ボクは左膝を粉砕骨折して、コイルで固めたりしているんだけど、自分のなかで、「もう、これ以上は膝がダメだな」と痛感しているんです。


――その間には、曙選手、初代タイガーマスク選手、高山善廣選手、船木誠勝選手、諏訪魔選手らとの抗争がありましたね。


 残念ながら、タイガーとは体調(心臓の病気)の問題があるのか、電流爆破はできなかったけど、プロレス界でトップを取った曙選手や高山選手が、邪道のリングに上がってくれた男気には感謝しています。FMWを旗揚げする原動力にもなったのは、UWF・神真慈社長の「チケット持っていますか?」という発言()なんだけど、そのUWFの船木選手とも有刺鉄線、電流爆破ができて、リングの上で分かり合えた気がします。諏訪魔選手も最終的には、秋山(準)社長やファンの反対を押し切って、電流爆破に上がってきた。みんな男ですよ。チキンじゃない(笑)。


1988年12月、第2次UWF大阪府立体育館(現エディオンアリーナ大阪)大会に大仁田が来場。しかし受付で「チケット持っていますか?」と一般ファンと同じ扱いをされ、門前払いさせられた事件。

藤田の指名は「猪木さんにたどりつけなかったから」

最後の相手に選んだのはアントニオ猪木“最後の遺伝子”藤田和之(左)
最後の相手に選んだのはアントニオ猪木“最後の遺伝子”藤田和之(左)【写真提供:大仁田事務所】

――まだまだ動けますし、「引退はもったいない」という声も多いですが……。


 そう言ってくれるのはうれしいんだけど、ボクはちょっとだけ出て、ラリアットかなんかやって、すぐに引っ込むようなレジェンドが嫌いなんですよ。やる以上は、とことんブン殴られて、ボロボロになるまでやりたいんだよね。


――引退試合の対戦カードは、大仁田&雷神矢口&保坂秀樹vs.藤田和之&ケンドー・カシン&NOSAWA論外ですが、正直、アントニオ猪木さんの愛弟子である藤田選手を指名したのは意外でした。


「何で、藤田?」って言われたら、猪木さんにたどりつけなかったから。昔、猪木さんに対戦要望を出して、実は実現目前までいったことがあるんです。ただ、相手の提案が2つのリングを使って、それで、はしごを使って、どうのこうのってなって、なんか面倒くさい話になったのでやめました。猪木さんが出てくることは絶対ないだろうけど、“最後の遺伝子”ということで、藤田にした。アイツの顔見ただけで、怖いもん(笑)。そういうヤツとやった方がいいかなって……。猪木さんからしたら、ボクがプロレス界でいちばん嫌われているんじゃない? ジャイアント馬場さんより、嫌われているかもしれない。元新日本プロレスの営業の人に聞いたんだけど、ボクを(新日本のリングに)上げるとき、猪木さんが来て、「バカヤロー! 大仁田なんか上げたらダメだ。アイツは新日本を飲み込んでいく」って言ってたらしい。それで、営業の人たち10人くらい並べて、「大仁田を上げるのに賛成のヤツは手を挙げろ!」って言ったら、さっきまでみんな賛成だったくせに、手を挙げたのは中村(祥之)さん(現ファースト・オン・ステージ代表)1人だけだって、笑い話があるよ。


 なぜそこまで嫌われたのか? 体制のなかにボクのような人間が入ることで、核分裂が起こることがある。革命って、そこから始まる。それがイヤだったのかな?


――猪木戦が実現しなかったからこそ、最後にその遺伝子と対戦してみたかったということですか?


 そうだね。藤田って言えば、プロレスより格闘技のイメージが強いけど、だからこそどういう化学反応が起こるのか? だから面白いんじゃないかな。猪木さんの遺伝子と最後に肌を合わせてみたかった。どんな試合になるか、ボクにもまったく予想できない。ただ、ルールはこちらのルール(ストリートファイトトルネード・バンクハウスデスマッチ)。こっちの土俵でやる以上、逃げられないよ。

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