ロッベンの代表引退と、W杯予選敗退と オランダのレジェンドが見せた最後の勇姿
キックオフ前の国歌斉唱で泣いていたロッベン
ロッベン親子は試合後、ゆっくりと場内を一周し、サポーターに別れを告げた 【Getty Images】
代表引退マッチにふさわしいパフォーマンスだった。16分には(ミスショットのように見えたものの)PKを決めて先制ゴールをもたらし、40分にはライアン・バベルの折り返しを強烈な左足ダイレクトシュートでサイドネットに2点目のゴールを蹴り込んだ。
ハーフタイム、ロッベンは「これがオランダ代表なんだ! これが、俺たちがすべきプレーなんだ!」とチームメートにげきを飛ばし、“7−0”の奇跡に向かって後半のピッチに飛び出していった。
しかし、もう、スウェーデンはオランダにスペースを与えてくれなかった。前半の猛攻は影を潜め、時計の針ばかりが進んでいった。84分30秒の時点でスコアー2−0。オランダはスウェーデンに勝っていたが、ロシアに行くには負けを意味するスコアだった。それはまた、ロッベンの代表引退を意味することも、私たちは理解していた。ヨハン・クライフ・スタディオンに詰め掛けた観衆は「ロッベン、ありがとう! ロッベン、ありがとう!」という歌を歌い出した。
ファンの歌声がロッベンの背中を後押しし、87分にはダリル・ヤンマートの縦パスに全速力で追いついて、そのままシュートを放つも外してしまった。その勢いでゴールラインを駆け抜けたロッベンは左膝を抑えてしばらく動かなかった。
明らかにもう、ロッベンに余力はなかった。「ロベーン、ロベーン、ロベーン」の合唱を受けても、ロッベンはもう両膝を抑えて立ち尽くす時間が長くなっていった。それでも時おりロッベンはプレーに加わりながら、アディショナルタイムの2分は過ぎていった。
親子でサポーターに別れを告げる
代表引退マッチにふさわしい、ロッベンのパフォーマンスだった 【Getty Images】
「2−0で勝ち、2ゴールを決めた。普通なら、素晴らしい最後の試合だったと言えるはずだった。あと1ゴール決めていれば、ハットトリックを記録して引退したディルク(・カイト)のようだった。しかし、彼は(フェイエノールトで)優勝し、われわれはW杯に行けなかった。まあだけど、実際のところはあらかじめ分かっていたことだったけれどね」
2010年のW杯決勝で、ロッベンがスペイン代表GKイケル・カシージャスとの1対1を外したシーンは「カシージャスの爪先」と呼ばれている。それは、1978年のW杯決勝でロブ・レンセンブリンクがシュートをポストに当てた時と同じぐらい、「オランダが最も世界一に近付いた日」として記憶されている。
ロッベンがカシージャスにリベンジを果たしたのは14年W杯ブラジル大会の時。グループリーグ初戦でオランダはスペインを5−1で倒し、ロッベンはカシージャスが守るゴールを2度破ったのだ。
オランダサッカー史上に残る“レジェンド”は、今後はバイエルン・ミュンヘンでのプレーに集中するという。卓越したスピード、技術、得点力、そしてリーダーシップに「ありがとう」と言いたい。
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