オランダ国民にとって「忘れられない夏」 地元開催の女子ユーロを制し、ブーム到来
地元開催の女子ユーロで初優勝
地元開催の女子ユーロで初優勝を果たしたオランダ代表。女子サッカーブームに火を付けた 【写真:ロイター/アフロ】
そう、この夏はオランダ国民にとって決して忘れることのできない夏になったのだ。7月16日、ユトレヒトのオープニングマッチでノルウェーと1−0という得点差以上の快勝でファンをうならせたオランダは、空前の女子サッカーブームに火を付け、最後まで勢いを失うことなく6戦全勝13得点3失点の好成績でこの大会を走りきった。
よみがえる数々の名場面
決勝トーナメントで4ゴールを固め取りしたエースのミーデマ 【写真:ロイター/アフロ】
オランダの強力3トップが威力を発揮したのが、準々決勝の対スウェーデン戦(2−0)の2点目だった。左ウイングのマルテンスがカウンターの起点となるミドルパスを右のオープンスペースに送り、右ウイングのシャニセ・ファン・デ・サンデン(アーセナル)のクロスをエースのビビアン・ミーデマ(アーセナル)がダイレクトで合わせて決めた。グループリーグでノーゴールだったミーデマは、これで一気に調子を上げ、決勝トーナメント3試合で4ゴールを固め取りして得点ランキングの2位に付けた。
一体感を生んだ2人のチームリーダー
2人で優勝トロフィーを掲げたスピッツェ(手前右)とファン・デン・ベルフ 【写真:ロイター/アフロ】
ファン・デン・ベルフはセンターバックで、キャプテンでもあった。しかし、どうも相手に背後をとられることから、3戦目のベルギー戦からレギュラーの座を剥奪されてしまった。もちろん、悔しさがあったことを後に明かしているが、すぐにチームのために気持ちを切り替え、ピッチの外からチームを支え続けていたという。
3戦目からキャプテンを務めたスピッツェは中盤で、攻守に欠かせぬチームの軸として活躍。決勝戦の4点目を導いたミーデマへのスルーパスは、一突きのパスで戦況を変えることのできる彼女の特色を表していた。優勝直後のスピッツェは完全に喉が壊れて、声がつぶれていた。それだけでも、スピッツェの声がどれだけピッチの上で重要だったのかがうかがえる。
今大会のオランダは「家族のような一体感があった」と言われる。大会途中から2人のチームリーダーが、ピッチの中と外で役割を分担し、仲間を引っ張っていったのだから、確かにオランダにはトーナメントを勝ち抜く上で重要な化学反応が生まれていたのだろう。