イタリア戦でオランダに少し戻った“色気” W杯出場が遠のき、ブリント監督は解任
オランダ優位予想も、敵地でブルガリアに完敗
オランダはW杯予選でブルガリアに0−2で完敗した 【Getty Images】
しかも、今予選のブルガリアはルクセンブルク、スウェーデンに3失点、フランスに4失点しており「守備に難のあるチーム」と地元でも不安視されていた。そんな相手にオランダはたった3度しかチャンスを作れなかったのだから寂しい。
試合前日、ダニー・ブリント監督の記者会見で、ブルガリア人記者が同国のスター選手であるイベリン・ポポフの印象を尋ねた。
「私は最近、ブルガリア代表の試合の映像をたくさん見た。ポポフは(オランダ代表FWクインシー・プロメスと同じ)スパルタク・モスクワというロシアリーグのトップチームでプレーしており、とても良い選手だ。だけど私にとって興味があるのは、いかに選手がチームで機能しているかであり、個々の選手ではない」
このブリントの答えは試合当日、本人にブーメランとなって返ってきた。DF、MF、FWといういずれのラインも壊れてしまったオランダ代表だったが、中でもケビン・ストロートマン(ローマ)、ジョルジニオ・ワイナルドゥム(リバプール)、デビー・クラーセン(アヤックス)という所属クラブで機能している3人が組んだMFは、まったく良いところがなかった。
しっかりチームが機能したブルガリア
ブルガリアはしっかりチームが機能。デレフが2ゴールを挙げてヒーローに 【Getty Images】
そこでドストに白羽の矢が立ったが、彼はサイドからのクロスに依存するタイプ。そのため、試合前日の練習ではセンターバック(CB)やアンカーからサイドにボールを散らし、サイドバックやウイングがクロスを上げ、センターFWとインサイドハーフが頭で合わせる練習を繰り返していた。だが、後半から左インサイドハーフとして出場したウェスレイ・スナイデルが69分に左ウイングにコンバートされるまで、オランダはほとんどクロスをサイドから入れなかった。
この“69分”というのはルーク・デ・ヨングを投入した時間だった。ブリント監督はドストとデ・ヨングを前線に張らせ、ロングボールを放り込む戦術に出たのだが、右にアリエン・ロッベン、左にスナイデルを張らせて4−2−4のようにしたので、セカンドボールを拾おうにも誰もボールの落ちどころにいないという現象が生じてしまった。
一方、ブルガリアはしっかりチームが機能した。オランダでは「ブルガリアは前線からプレスをかけず、引いて守ってロングボールからカウンターを仕掛けるチーム」として分析されていたが、ブルガリアも「オランダはプレスを掛けられてもロングボールに逃げず、しっかりつなごうとしてくるチーム。今予選でCBコンビを組んでいたジェフリー・ブルマとフィルジル・ファン・ダイクは負傷でいないため、完全に新しいCBを組んでくる。左CBブルーノ・マルティンス・インディの出場は堅いが、右CBはステファン・デ・フライが負傷で間に合うか微妙。マタイス・デ・リフトかウェスレイ・フートが先発するだろうが、2人とも代表デビューマッチになる。しかもデ・リフトはまだ17歳。フートは左利きだ。スピードもあまりない」と分析していたはずだ。