【新日本プロレス】オカダ、EVIL退けドームの内藤戦へ「オレはトランキーロじゃいられない」

高木裕美

オカダ(左)がEVILを退けIWGPヘビーのベルトを防衛。1.4東京ドームで内藤との一戦へ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 9日の新日本プロレス「KING OF PRO-WRESTLING」東京・両国国技館大会では、満員となる9234人を動員した。

 メインイベントのIWGPヘビー級選手権試合では、王者オカダ・カズチカが、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのEVILを退け、8度目の防衛に成功。セミファイナルでIWGP王座挑戦権利証を死守した内藤哲也と、来年1.4東京ドーム大会のメインイベントでタイトルを賭けて対戦することが決定した。

EVILのイス攻撃を回避しレインメーカーでし止める

粘るEVILに対し、最後はレインメーカーを完ぺきに決め、3カウントを奪った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 オカダは今年の「G1 CLIMAX 27」公式戦である8.5大阪大会で、EVILの必殺技EVILに沈み、実に1年ぶりにシングルでの黒星を献上。「オレのほうがお前より強いんだよ」とまで言い放ったEVILに対し、オカダも「両国でIWGPの勝ち方、しっかり教えてあげるから覚悟しとけ、この野郎」と怒りをあらわにしていた。

 この日の入場でも独特のダークネスワールドを構築していたEVILに対し、オカダはミステリアスな雰囲気をブチ壊すかのように、「渡辺」と本名で呼びながらセントーン。赤っ恥をかかされたEVILは、場外でイスを使った攻撃でオカダの首を攻め立てる。さらに、向かってきたところにもイスを投げるが、G1でイスの直撃を食らってしまったオカダは、この日は動きを読んでイスをかわし、鉄柵超えのフライングボディーアタックで飛び込んでいく。

 劣勢に立たされたEVILは、レフェリーへの誤爆を誘い、そのスキにイスをリング上に積み上げ、ダークネスフォールズを狙うも、オカダはフランケンシュタイナーで切り返してパイルドライバー。だが、EVILもレインメーカーを切り返してダークネスフォールズを見舞うと、ここ一番の大技タイガー&ドラゴンまで繰り出し、30分過ぎには雪崩式フィッシャーマンスープレックスを炸裂。だが、EVILを阻止したオカダは、至近距離からレインメーカーを2発打ち込むと、ツームストンからの正調レインメーカーで粘るEVILを振り切った。

内藤は観衆に「東京ドームのメイン」を確認

内藤(左)は東京ドームの“メイン”に立てるのかとファンに確認。答えは大歓声という形で返ってきた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合後、オカダのマネージャーの外道が「次は東京ドーム。相手があの制御不能な男だが、レインメーカーが制御可能にする」と宣戦布告すると、そこへ内藤が笑顔で登場した。

 内藤はセミで因縁の相手・石井智宏とドームの権利証を賭けて対戦し、勝利したばかり。内藤は今年の「G1 CLIMAX 27」で優勝し、権利証を獲得したが、その一方で、石井には今年の7.1米国ロサンゼルス大会での初代IWGP USヘビー級王座決定トーナメント1回戦、そしてG1公式戦と2連敗中であった。

 内藤は石井が爆弾を抱える首へヒザ蹴り、低空ドロップキックを容赦なく打ち込むと、石井もパワーボム、雪崩式ブレーンバスターで反撃。内藤は雪崩式フランケンシュタイナー、延髄斬り、首へのミサイルキック、投げっぱなし式ドラゴンスープレックスと、なおも首への集中攻撃を加えるが、石井はすぐさま立ち上がってドロップキック、スライディング式ラリアット。内藤のグロリア2連発を食らうと、自ら頭をコーナーマットに打ちつけて気合を注入。だが、内藤は石井の垂直落下式ブレーンバスターをデスティーノで切り返すと、さらに旋回式、正調バージョンでたたみかけ、勝利を飾った。

 内藤は4年前のG1でも優勝し、権利証を死守。現在と同じく、1.4東京ドーム大会のメインイベントでのオカダへのIWGP王座挑戦権を手に入れた。しかし、その後、IWGPインターコンチネンタル選手権試合の中邑真輔vs.棚橋弘至と、どちらをメインにするかファン投票で決めた結果、IC王座が事実上のメインに決定。ダブルメインイベントと銘打たれはしたものの、IWGP戦が実質セミに“降格”させられた苦い思い出がある。

 そこで内藤は、両国のリング上からファンに対し、「両国へお集まり下さったお客様にオレが聞きたい。EVILを倒したオカダと、石井を倒したオレ、1.4ドームのメインイベント、オカダvs.内藤でよろしいでしょうか」と直接問いかけると、観客は大歓声で了承。4年前のトラウマを払拭(ふっしょく)した。なおも内藤は「2018年1月4日、東京ドームまで、トランキーロ」とマイクを続けるが、ここでオカダが「内藤さん」と呼びかけ、肝心の決めセリフを阻止。「話が長い。今日の主役は内藤さんじゃないんで、帰ってください」と内藤を追い出すと、権利証入りのアタッシュケースを踏みつけながら、「1.4東京ドーム、楽しみでしょうがないだろ、バカヤロー! オレはトランキーロじゃいられない」と、 待ちきれないほどのワクワク感を爆発させた。

 観客の「内藤」コール優勢の状況にも、オカダは「みんな次の新しい景色が見たい、オカダを倒して欲しいという思いを内藤さんにぶつけてくれればいい。でも、勝つのはオカダ・カズチカです。オレはラスボス。かかってきなさい。チャンピオンとしての、レスラーとしてのレベルが違うんで」と、“絶対王者”としての余裕を隠せず。一方、内藤は「かつてオレは東京ドームのメインイベントを見えない力か何かに引きずり下ろされたけど、今回はどうなんだろうね」と、まだメインとは確信せず、「トランキーロ、 あっせんなよ。正式なアナウンスを楽しみに待っています。 アディオス!」と、新日本に揺さぶりをかけた。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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