【新日本プロレス】オカダ、EVIL退けドームの内藤戦へ「オレはトランキーロじゃいられない」

高木裕美

オスプレイがKUSHIDAに初勝利でイギリス人初の王者に

オスプレイ(右)が連敗中だったKUSHIDAに勝利しIWGPジュニアのベルトを初戴冠 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPジュニア選手権試合では、ウィル・オスプレイが王者KUSHIDAを破り、イギリス人選手として初めて王座を戴冠した。

 オスプレイは昨年4月に新日本マットに初登場すると、その年の「BEST OF THE SUPER Jr.」では史上最年少の23歳で初優勝を達成。だが、今年の「SUPER Jr.」優勝決定戦ではKUSHIDAに敗れ準優勝で涙を飲むと、イギリスWCPWのトーナメントでも敗北。過去シングル4戦全敗となっていた。

 オスプレイは場外から得意の蹴り技を駆使。KUSHIDAの顔面にハイキックをブチ込むと、マサヒロタナカも蹴りで阻止。10分過ぎには、ダブルニー攻撃からカナディアンデストロイヤー、雪崩式フェースクラッシャー、リバース450°スプラッシュといった大技を連発する。KUSHIDAもオスカッターを阻止し、ホバーボードロックで仕留めにかかるが、オスプレイは自力でロープに逃げると、一撃必殺のオスカッターで3カウントを奪取。悲願の王座戴冠を成し遂げた。

 試合後、オスプレイと因縁のある高橋ヒロムがリングイン。ニヤニヤと笑いながら、なめるようにベルトを見回し、マイクでアピールしようとするも、そこにマーティ・スカルが現れ、ヒロムに指折り一閃。ヒロムが痛みにのたうち回る間に、スカルが次期王座挑戦を直訴。両者は今年の5.27後楽園で対戦した際、スカルがクロスフェース・チキンウィングでギブアップ勝ちを収めていることから、オスプレイとしても断る理由もなく、すっかりタイトルマッチ実現への空気が出来上がってしまった。

 ヒロムは9.16広島でも、当時の王者KUSHIDAに挑戦表明をしようとしたものの、オスプレイのワンパンチでKOされた苦い過去がある。今回こそ、挑戦権獲得を虎視眈々(こしたんたん)と狙っていたヒロムだが、またしても無様な姿をさらすことに。完全にかませ犬になってしまったことで、前回以上にジタバタ暴れて悔しがった。

「言葉がない。まずはこの勝利をゆっくりかみしめたい」と初戴冠の喜びに浸ったオスプレイは「今、自分の人生の中でも最高の時を迎えていると思う。KUSHIDAがここまで押し上げてくれた」と前王者に深く感謝。一方、「新日本に登場して数カ月だが、すでに私はスーパースターになっている」とTシャツの売り上げの爆発的な人気に自信を深めるスカルは、「おまえがスーパーマンなら私は“クリプト・ナイト”だ」と、自身をスーパーマンの唯一の弱点である鉱石に例え、必勝を誓った。

IWGPタッグの3WAY対決はKES勝利で決着

3WAYマッチを制し、KESがIWGPタッグを初防衛 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 3WAYトルネードイリミネーションマッチで争われたIWGPタッグ選手権試合では、ランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.のKESが、ハンソン&レイモンド・ロウのウォーマシン、タマ・トンガ&タンガ・ロアのゲリラズ・オブ・デスティニーを退け、初防衛に成功した。

 この3軍は9.10福島、9.16広島、9.24神戸とタイトルを賭けて対戦。福島、広島では王者組であったウォーマシンが防衛に成功したが、神戸ではKESが勝利し、約3年8カ月ぶりに王座を奪取。しかし、この結果に納得のいかない2チームが再度王座挑戦を訴えたため、過去3戦の「勝ち抜き」方式ではなく、「勝ち残り」チームが勝者となる試合方式が決定した。

 反則&場外カウントなしというルールのため、各チーム、スチールバケツや竹刀、テーブルなどの凶器を持ち込み、荒れ模様の試合展開に。KESのキラーボム、ゲリラズ・オブ・デスティニーのゲリラウォーフェア、ウォーマシンのフォールアウトという、それぞれの合体技が飛び出しても3カウントが入らない、混沌とした状況の中、10分過ぎ、KESがタンガをキラーボムで仕留め、まずはゲリラズ・オブ・デスティニーが退場。だが、収まりのつかないトンガは、リングに乱入し、スチールバケツでロウをメッタ打ちに。すかさずKESがキラーボムを決めるも、これはハンソンがコーナーから飛び込んでカット。ハンソンはアーチャーをテーブルに載せて一発逆転を狙うが、スミスがハンソンを とらえ、テーブルへのキラーボムで粉砕した。

 初防衛に成功したアーチャーは「ヘビー級のタッグ戦線の相手は全員オレたちのことを恐れている」、スミスも「もう誰もこのベルトに挑戦する奴は残っていない」と、もはや敵なしをアピールし、「IWGPタッグはオレたちのもの。永遠にオレたちの手から離れることはない」と、永久防衛を断言した。

「ROPPONGI 3K」SHO&YOHがいきなりのベルト奪取

ロッキー・ロメロ(中央)が連れてきたのは海外武者修行帰りの田中翔&小松洋平ことSHO&YOH。いきなりのジュニアタッグ奪取となった 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 IWGPジュニアタッグ選手権試合では、謎に包まれた新タッグチームROPPONGI 3Kが、田口隆祐&リコシェのタグチジャパンからいきなりの王座奪取を果たした。

 ロッキー・ロメロ監督が引き連れてきたのは、昨年1月から海外修行に出ていたかつてのヤングライオン、田中翔&小松洋平ことSHO&YOH。2人は共に12年2月に新日本に入門した同期であり、海外遠征中、メキシコでは雷神&風神、米国ではTHE TEMPURA BOYZとして活動。今年7月の米国・ロサンゼルス大会にも出場していた。ついに約1年9カ月ぶりに凱旋帰国を果たした2人は、金と銀のロングタイツに身を包み、颯爽(さっそう)と登場。

 ロメロ監督が「ロッポンギ・ヴァイスより3000倍素晴らしい」とまで評した3Kの2人は、奇襲攻撃からノータッチトペを繰り出し、いきなり観客の度肝を抜くことに成功。田口のスリーアミーゴス、オーマイ&ガーアンクルやリコシェのベナドリラー、シューティングスタープレスといった大技を連係で切り抜けると、SHOがリコシェにロコモーション式ジャーマン3連発。さらに、カットに入った田口のヒップアタックもキャッチし、こちらもロコモーションジャーマン3連発。なおも息の合った連係から、合体技3K(SHOのフラップジャック&YOHのコンプリートショットによる合体フェースバスター)で勝負を決めた。

「日本だけにとどまらず、全世界を視野に入れている」と豪語するYOHに、SHOも「オレたちを見て最高にシビレたでしょう」と、ヒザに描かれたハイボルテージのマークを誇示。「次、オレたちをシビレさせてくれる相手」(SHO)「強い奴とやりたい。オレたちの実力で黙らせてやる」(YOH)と、2年間の海外修行で得た成果を、新日本のリングで思う存分見せつけると息巻いた。

みのるは因縁の矢野とブルロープマッチ要求

矢野(写真)は頭脳プレーでみのるに勝利。さらにNEVERのベルトをかっさらうという暴挙に出ると、みのるは怒り心頭 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 第2試合では、長らく因縁の続く鈴木みのると矢野通がタッグで対戦。みのるは場外で矢野をロープでグルグル巻きに縛りつけ、リングアウト勝ちを狙うが、矢野は大泥棒らしく、堂々の縄抜けを見せると、カウントアウト直前、油断したみのるに背後から急所攻撃を見舞い、そのまま置き去りにして大逆転リングアウト勝利。この屈辱に怒りが収まらないみのるは、試合後のバックステージでも矢野とやり合うと、「ブルロープで縛り付けてオレと勝負しろ」と、自身が保持するNEVER無差別級王座を賭けて、矢野とロープマッチで戦うことを決意した。

 高橋ヒロムvs.バッドラック・ファレの因縁対決が、予想外の結末をもたらした。

 両者はG1期間中の7.22後楽園で対戦した際、ファレがダリルを破壊。ヒロムはダリルが“入院”している様子をSNSにアップするなどして、ファレへの怒りを募らせていた。

 ファレは得意の怪力を生かし、BUSHIを軽々とバッドラックフォールの体勢に担ぎ上げるが、そこにヒロムがダリルを抱えて登場。動揺し、思わず技を解いたファレに、すかさずBUSHIが毒霧噴射から丸め込んで3カウントを奪取。ダリルの怨念がファレに悪運をもたらした。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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