得点、アシスト、採点と目に見える結果を残している森岡だが、１０月の国際マッチウイークでは日本代表メンバーに選ばれなかった。久保裕也のいるゲントを率いるハイン・ファンハーゼブルック監督は成績不振の責任をとって退任したものの、すぐに名門アンデルレヒトの新監督候補として名前が挙がったが、「これはシナリオ通りでニュースにする価値すらない」とベルギー人は言う。むしろ、彼らにとってはベルギーリーグで結果を残している森岡が日本代表に選ばれていないことの方が意外すぎてニュースなのだ。

　１０月２８日に行われた日本代表メンバー発表の記者会見に、自分の名前が出るのではないかと森岡は「そわそわしましたよ」と語る。

「ポーランドの時に点を取ってもあんまり話題にもならなかった。それがベルギーに来て、これだけ話題にしてもらっていますし、日本の方たちにも（ダ・ゾーンの中継で）見てもらっていますので。『（代表入りが）来たんちゃう!?』とすごく言われるのでその気にはなっていましたけれど、やっぱり入れないというのは理由があるわけです。監督がメディアで言われていることも必要なことでしょうし、自分はまず結果を出しつつ、チームでどれだけできるかというところを１試合１試合続けていくしかない気がしますね」

　メンバー発表の前後に湧いたヨーロッパにおける日本人選手たちのゴールの祭典。ライバルたちの活躍に「ちょっと落ち着いてほしいですよね」と笑いながらジョークを飛ばした森岡はこう続けた。

「代表に選ばれている、選ばれていないに関係なく、日本人の選手がヨーロッパのリーグで結果を出して、どこの国でも日本人の評価が上がっていけば、海外に行きたい選手が（海外クラブに）入りやすい。そうなれば、どんどん日本代表も強くなっていくのかなと思っています。そこは喜びましょう」

「代表が、より選ばれし者が選ばれる場になりますよね？」と尋ねると、こう返ってきた。

「でも代表チームはそういうものですよね。それでも個人的には、今まで枠に入っていなかったところから、ちょっとずつ絡めてきてはいるので、それだけでもステップアップかなと思います。ちょっとずつ、いや、頑張って追いつけるように、もうちょっと早く階段を上がっていきます」

　１１月にはベルギー代表との試合が組まれている。この試合のメンバーに森岡が入るかどうか、ベルギー国内でも大きな話題になるはずだ。

「最終的には（目標は）ロシアワールドカップ（Ｗ杯）ですけれどね。もちろん１１月も、ベルギーでやるというので、スタンドで試合を見るよりもベンチ、ベンチだったらピッチを目指したいです」

　ベフェレンは暫定７位と好調ということもあり、前節のアンデルレヒト戦では２０１２年に１部昇格を決めた試合以来、本当に久しぶりにホームのフレシエル・スタディオンが満員（８２３５人）になった。もちろん、今回のダービーマッチも多くの観客でスタジアムが賑わった。

「もともと、アンデルレヒト、アントワープ、ロケレンとの試合は人が入ると聞いていましたが、どの試合でもこのような雰囲気になるように僕たちも頑張らないといけないと思います。すごく良い雰囲気でやれているので、チームも良い形ができてますし、これを続けていけば動員数も増えていくでしょう。チーム、サポーターも含めて、良い形の相乗効果（が生まれている）。ベフェレン全体で良いサイクルができてくるかなという気がします」

　もしかしたら、欧州における日本人選手たちのゴールラッシュも、“相乗効果”と呼べるものなのかもしれない。