【DRAGON GATE】望月が3度目の王座奪取で最年長記録更新 ジミーズは敗れ、約6年間の歴史に終止符

高木裕美

望月がYAMATOを破り史上最年長となる47歳8カ月でドリームゲート王座を戴冠 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 DRAGON GATEの秋のビッグマッチとなる18日の「DANGEROUS GATE 2017」東京・大田区総合体育館では、3大タイトルマッチに加え、5ユニットサバイバルレース下位2チームによる敗戦ユニット解散マッチも行われ、超満員札止めとなる4000人の観客を動員した。

 メインイベントのオープン・ザ・ドリームゲート選手権試合では、“中年の星”望月成晃が王者・YAMATOを破り、3度目の王座戴冠に成功。かつて自身が築いた41歳2カ月の史上最年長記録を更新し、47歳8カ月で新王者となった。

悲願の東京での王座戦 秘技を繰り出しYAMATOを破る

最後は怒涛の蹴りのコンビネーションから、YAMATOをし止めた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 望月は「格闘技塾 武輝道場」でのキャリアを経て、DRAGON GATEの前身「闘龍門JAPAN」に1999年1月の旗揚げ戦から参戦。04年12.16東京・代々木競技場第2体育館大会で、CIMAを破り第2代ドリームゲート王座を初戴冠。11年4.14東京・後楽園ホールでは、吉野正人を倒し第13代王者に君臨した。当初、吉野とは同年3月20日に東京・両国国技館で戦う予定であったが、3月11日に東日本大震災が発生。未曾有の大災害の中、都内でのビッグマッチを決断した団体もあったが、DRAGON GATEは観客の安全面を第一に考え、中止を決定した。

 それから6年半。東京・江東区出身の望月にとって、悲願であった都内のビッグマッチでメインに立つという夢がついに実現。いつもの黒ではなく、決意のこもった白のコスチュームで臨んだ。

 王者・YAMATOは15分過ぎ、望月の三角蹴りをアンクルホールドで迎撃し、全知全能のフランケンシュタイナーを放つも、これは望月に切り返されて不発。ならばと、胸を自ら突き出して望月のミドルキック連打を耐え、go 2 Hospital II(串刺しドロップキック)、go 2 Hospital I(延髄斬り)から変形ギャラリアとたたみかけ、さらに正調ギャラリアも発射。しかし、望月は2発目を切り返すと、YAMATOのスリーパーに耐え、裏ツイスターを炸裂。かつて、YAMATO対策に開発した秘技をここぞという場面で繰り出した。

 なおも張り手合戦で食い下がるYAMATOに、望月は最強ハイキック、カカト落とし、真・最強ハイキックの怒涛のコンビネーションから、三角蹴り、真・最強ハイキックへとつないで3カウントを奪取。その瞬間、超満員の客席から「モッチー」コールが沸き上がり、また、セコンドに就いていたCIMA、ドラゴン・キッド、Gamma、ドン・フジイ、ストーカー市川は、人目もはばからずに号泣した。

頂点返り咲きに涙「この背中を見せていきたい」

 若手中心のDRAGON GATEにおいて、30代の頃から選手たちに「おっさん」呼ばわりされていた望月。12年9月には、同年代の永田裕志(新日本プロレス)、秋山準(現・全日本プロレス)と「アンチエイジングトリオ」を結成し、話題となったが、秋山は昨年で「チャンピオン・カーニバル」を、今年は永田が「G1クライマックス」卒業を宣言。トップレスラーたちが一線を退く動きが続いていただけに、CIMAたちも「最後の一発、勝負に出て、負けて、進退を口にすると思っていた」と、“引退宣言”をも覚悟。それだけに、まさかの頂点返り咲きに、涙があふれ出てきた。

 望月自身、この一戦に「引退、とは言わないまでも、惨敗したらドリームゲート戦線は最後」と背水の陣で臨んでいたことを明かした上で、「18年前、闘龍門に来た時に、CIMA、キッド、フジイのすごいパフォーマンスとコンディションに、キャリアは関係ない、このままでは自分の居場所がなくなると気づいた。このDRAGON GATEの環境こそが、今でも動ける原動力。オレは団体を引っ張っていくのではなく、若い世代のヤツらに、頑張っていれば25年後にもチャンピオンになれる、この環境にいてよかったと思えるよう、この背中を見せていきたい。背中を見せて、試合でバチバチ当たって、若いヤツらに伝えていきたい。47歳8カ月、これからも心臓がバクバクするような プロレスを見せていく」と、若手にハッパをかけながら団体全体の底上げを目指し、まだまだ自身も先頭に立っていくとアピール。

 また、今年デビュー20周年を迎えるCIMAとフジイとも、みちのくプロレスの青森大会の会場で出会って20年となることから、次回10.5後楽園大会で記念マッチを行うことが決定。望月、CIMA、フジイがトリオを結成し、望月がブッキングするみちのくプロレス勢との6人タッグマッチが行われることになった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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