【DRAGON GATE】望月が3度目の王座奪取で最年長記録更新 ジミーズは敗れ、約6年間の歴史に終止符
無法状態のリングに最後まで残ったのはT−Hawk
有刺鉄線、イスの山など、無法地帯と化したリング上。ヴェルセルクが生き残り、ジミーズ解散が決定した 【写真:SHUHEI YOKOTA】
この試合は、現在、団体内に存在する全5ユニット「ジミーズ」「ヴェルセルク」「OVER GENERATION」「TRIBE VANGUARD」「MaxiMuM」(結成順)が、8.5京都から9.16大阪までの間で「5ユニットサバイバルレース」を開催し、負け数の多かった2ユニットが大田区で対決。敗れたチームが解散するという、ファンにとっても選手にとってもシビアな戦いだった。
ジミーズは、この日の出場選手にジミー・カゲトラ(フリー)を加えた6人がメンバー。11年12月にツインゲート王座戴冠に失敗したススム&カゲトラが、罰ゲームとして改名させられたことをきっかけに、まずはタッグチームとして誕生。翌年2月にユニット化した。メンバーは全員10年以上のキャリアがあり、団体内ユニットとしても歴代最長の記録を誇っていた。
一方、ヴェルセルクはこの日出場した5人が現メンバーで、15年9月に結成。初期メンバーであったYAMATO、土井成樹を追放するなど、構成員の変化を遂げながら、一貫してヒール道を突き進んでいる。
この一戦を前に、鷹木は「オレたちヴェルセルクが危険な扉を開く。オレの大嫌いな東京のオマエらに、しっかり地獄を見せてやる」と有刺鉄線の持ち込みを予告。全身ペイントの戦闘モードで登場したジミーズに対し、ヴェルセルクも有刺鉄線バット、有刺鉄線ボードなどのデスマッチアイテムを投入してきた。
鷹木が堀口に有刺鉄線バットを振り下ろせば、ジミーズもパンチ富永へのゴムパッチンで対抗。10分過ぎにクネスが光の輪でパンチ富永から3カウントを奪うも、直後に有刺鉄線ボードに激突したクネスが退場し、4対4のタイに。神田が鷹木の有刺鉄線バット上へのパイルドライバーに沈むと、堀口は吉田の毒霧を食らいながらも、バックスライドフロムヘヴンで押さえ込み、再び3対3のタイに持ち込む。斎了はリンダに対し有刺鉄線ボードをかぶせての斎了ロケットを発射。だが、直後に堀口がT−Hawkのアウトサイダーズエッジに沈み、2対2の状況となる。
ここで斎了がT−Hawkのケルベロスwith有刺鉄線バットからのナイトライドに力尽き、ついに残るはススムただ1人に。すると、ヴェルセルクのメンバーが一斉にロープをはずし、リング上はノーロープ状態。ここで鷹木が有刺鉄線テーブルを持ち出し、ススムに机上パイルドライバーを敢行するも、折れ曲がったテーブルが鷹木の体に突き刺さり、思わぬ大ダメージ。それでも鷹木はイスの山の上へのMEDE IN JAPANを繰り出すと、これをカウント2でしのいだススムが起死回生のミストを噴射。顔面に直撃を受けた鷹木にジャンボの勝ち!を見舞い、値千金の3カウントを奪う。
残るはススムとT−Hawkのみ。ススムはカゲトラから腕に有刺鉄線を巻いてもらい、捨て身のジャンボの勝ち!を繰り出すが、カウントは2。逆襲のT−Hawkがカウンターのケルベロスからイス上へのアウトサイダーズエッジ、ナイトライド、ケルベロスと怒涛のたたみかけをはかり、ついにカウント3がたたかれた。
「ぬるま湯ユニット、存在意義のないユニットが1つ消えた」と勝ち誇るT−Hawkらヴェルセルクは、打ちひしがれるジミーズを“背景”代わりに堂々の記念撮影。一方、解散が決まったジミーズのメンバーは、ただひたすら涙、涙。ススムは「最初はカゲトラと2人、負けたらリングネームが地味になるという、罰ゲームみたいなルールで負けて、名前が変わった。最初は本当にイヤだった」と苦悩を明かしながらも、「こんなにイヤだったジミーズを全力で守ってきたけど、負けてしまった。ジミーズは終わります。でも、せめて、全国の皆さんにお別れする時間をいただけないでしょうか」と、10.5後楽園までの“延命”を懇願。「最後の時間まで、元気に仲良く頑張りますので、応援よろしくお願いします」と、約6年間応援してくれたファンたちに訴えかけると、客席からは解散を惜しむ悲鳴やすすり泣きの声が響いた。
ユニットの移り変わりが激しいDRAGON GATEマットの中で、何度か分裂・解散危機にも見舞われながらも、約6年間続いてきたジミーズ。今後は選手たちのリングネームも元に戻るか変更され、新たな道を歩むことになる。キャリアも実力もテクニックも兼ね備えた元ジミーズメンバーたちをめぐる他ユニットの争奪戦や、新たなユニット展開を考えた者による分裂・裏切り劇なども巻き起こっていきそうだ。