【ボクシング】“レジェンド”に完敗を喫した亀海喜寛 中量級以上にある世界トップとの隔たり
亀海喜寛(左)が挑んだ初世界戦は、“レジェンド”コット(右)の前に大差判定負けとなった 【Getty Images】
リングの“レジェンド”がベストの状態で登場
2年弱のブランクがあったコットだが、ベストに近い状態でリングに上がると、やはり強さが際立った 【Getty Images】
コットは2年弱のブランクを経てのカムバック戦。また12年以降の戦績は3勝3敗の五分にすぎない。さらに10月には37歳にもなる。日本のファンに希望を与えたそんな数字も、些末(さまつ)なデータに過ぎなかった。
「強かった。少しは力が落ちているかと思っていたけど、まったく落ちていなかった。そりゃ、かなわないよ」(本田明彦・帝拳ジム会長)
21世紀の中量級ボクシングで、コットの存在感は五指に入る。手堅い守りに、素早いステップ、当たるを幸いに倒しまくるハードパンチ。出身地プエルトリコでは、長くトップヒーローだった。フロイド・メイウェザーJr.(米国)、マニー・パッキャオ(フィリピン)を始めとした、歴史的な強豪と繰り返し戦ってきた。そんなコットがベスト、もしくはベストに近い状態でリングに上がってきたら、栄光のハードルは果てしなくも高くなるのも当然だ。
攻防兼備の強打者として日本では人気絶頂にあった亀海が、活動の軸を米国に移したのは6年前。世界に通じる力を身につけたかったからだ。ただし、亀海のその後のキャリアは苦労の連続だった。在米戦績3勝3敗2引き分け。日本ではいつしか“過去の人”にもなりつつあった。
実際、もう34歳である。それでも自分の可能性を信じ抜き、年間最高試合の声も上がったヘスス・ソト・カラス(メキシコ)戦の痛快TKO勝利を手に、このビッグチャンスに臨んだ。だが、トップスターとの力量差をひたすら見せつけられる。