日本ボクシング史に残る一戦に臨む亀海 番狂わせ起こすため「フルアクションで」
“スーパースター”コットとの世界戦に臨む亀海喜寛 【(C)NAOKI FUKUDA】
同級1位で元4階級制覇王者のミゲール・コット(プエルトリコ)と、同級5位の亀海喜寛(帝拳)が激突するこの一戦。日本人の中量級選手が、世界のトップスターとどんな戦いを見せるか大注目だ。
今回は大一番を迎える亀海にインタビューし、現在の調子や気持ちなどを聞いた。
コットへのオファーは「冗談だと思っていた」
最初、このマッチメークを聞いたときは「疑っていた」と話す亀海 【(C)NAOKI FUKUDA】
帝拳ジムには、2月中に話は来ていたみたいですが、僕が聞いたのは3月上旬です。3月上旬に聞いてから、正式発表までは少し時間がかかりました。
――初めから相手はコットだった?
ヘスス・ソト・カラス(メキシコ)とのリマッチ(9月/8回終了TKO勝利)を勝って、向こうのマッチメーカーが「次はコットにオファーを出すよ」と言ってくれていたんです。何を言っているんだと。冗談だと思っていたんですけど、それが通ってびっくりしました。
――疑っていた?
疑っているというか、あと2、3勝それなりの相手に勝たないと、HBO(米国のケーブルテレビ局)が許可しないだろうなと思っていました。帝拳とゴールデンボーイ(米国のボクシングプロモーション会社)がうまくやってくれ、通りました。
――正式に決まったのを聞いてどうだった?
本当に幸福でしかなかったのですが、それまでは精神的に大変でした。あいつと対戦するかもとか、変なデマが出るんですよ。教えられてからずっと。海外のサイトとかにも情報が出ますから、本当に悩みましたね。
気にしないようにしていても、いろんな人から情報が入ってくるので。ほっといてくれと思っていました。1回、ロックネーション(コットの前所属ジム)とコットが離れるから話がなくなったというニュースが出て……。ゴールデンボーイがコットと契約するから決まるよと言われてましたが、気が気でなかったです。
とにかく相手の心を折りたい
「とにかく相手の心を折りたい」というファイトスタイルで、コットにも向かっていく 【Getty Images】
アマチュアの20歳くらいの頃から彼のことは知っていました。彼はそのくらいに初めて世界タイトルを獲っていましたから(※2004年、WBO世界スーパーライト級王座獲得)。本当にアイドルでしたね。
彼はキャリアとともに階級を上げるに従って、ボクシングスタイルを変えたり名勝負をして今があるわけですから、本当にアイドルでした。
――いち視聴者としてコットは好きだった?
本当に大好きでした。すごく参考にもしていましたし。ファンとして見ていました。
――どの部分が好き?
彼のキャリアも非常に長いので、一概には言えないのですが、本当にうまいし、決定力もあるし……一つには絞れないです。
――亀海選手の流れと似ている部分があって、始めはディフェンシブで、鉄壁と言われ、そこからだんだん攻撃的なタイプになってきたと言われています。共通項はある?
確かにありますね。彼の場合は、ミドル級にあげて最初のカネロ戦(サウル・アルバレス/メキシコ、15年11月)はやりにくい、少しディフェンシブなボクシングになっていますし、無理して打ちにいかないなと今は感じますね。
――今の亀海選手のストロングポイントは?
変わってないのは、とにかく相手の心を折りたいと思ってリングに上がっています。相手にギブアップさせようと思っています。ハートの強さでどんどん前に行くのが自分のストロングポイントですね。ハートの強さでどんどんアクションを起こすというのが、米国でも評価を受けていると思います。
――打ち合うスタイルに変えた理由は?
日本王者になったくらいに、このままでは上に行ったらダメだなというのは分かっていたので。国内の評価はものすごく高かったですけど、「変えないと」と思っていました。初防衛くらいから意識はしていました。10年10月のホセ・アルファロ戦では意識してました。