金(カネ?)色の風・ヴァンドール 「競馬巴投げ!第151回」1万円馬券勝負
「私は取材は受けないんだ」
[写真3]ロードヴァンドール 【写真:乗峯栄一】
地図で場所を探し、電話を掛けて、訪ねてみる。
泥だらけの靴の並ぶ入口で声を掛けると、ソファで仮眠していたオジサンは、かぶっていた毛布をのけて「アーア」と大きな伸びをする。無精髭が伸び、髪はボサボサである。この人、社長? 「経営苦しいのかなあ」と思わず首をひねる。
「私は取材は受けないんだ」
まずそう言われてドキッとする。
「でも、橋口先生の紹介ということだし、橋口先生の名前を出されたら、こっちもしょうがないやね。でもオレはあんまり喋らないよ」
そう言われて、編集者と二人、さっきまで社長が寝ていたソファに促される。
「むずかしそうな人だなあ、どうしよう」と編集者と顔を見合わせたが、大丈夫、びっちり3時間喋ってくれた。
「女房と二人で開墾したんです」
[写真4]タマモベストプレイ 【写真:乗峯栄一】
外国有名種牡馬の名前や高額購入代金、ドルを円に換算する計算などで頭の中がパニックになりそうだった。
「なぜ外国牝馬にこだわるか、話せば長くなるけど、いいですか? 話しましょうか? わたしは一代の経営者です。ごはんは卵とミソだけ、子供が生まれたらトラクターにくくりつけて女房と二人で開墾したんです。そういう二代目じゃない男だから、思うことができたんです」
川又社長は牧草地を指差して話すが、話の行きつく先が見えない。フル回転の社長だった。
話どころか、広大な牧草地も、自慢の外国から買い付けた繁殖牝馬たちの厩舎も見せてくれた。
奥さんは女優・烏丸せつ子のお姉さんだとか、橋口調教師から聞いていたが、残念ながら、その奥さんには会えなかった。でもぼくは昔から烏丸せつ子のファンで、今回の北海道ツアーの最後にも、映画「駅・ステーション」で烏丸せつ子が働いていた?毛(ましけ)の「風待ち食堂」にも寄ってみるつもりだ。
川又社長、元気かなあ? 今回のツアーで回れるかどうか、微妙だけど。