“静寂”に秘められたゴールボールの魅力 見えない世界で行われる高度な駆け引き
目隠しを付けてプレーするゴールボールは、ボールや味方・相手の位置を「音」で判別するため、静かな空間が必要不可欠となる 【スポーツナビ】
パラスポーツ独自の競技「ゴールボール」。この競技の魅力は、“静寂”に秘められていると言っても過言ではない。
スポーツナビは、陸上・十種競技の元日本チャンピオンでタレントの武井壮さんがゴールボールを体験すると聞き、NHKの撮影現場に潜入。ゴールボールという競技の魅力に迫った。(武井さんが語るゴールボールの魅力・奥深さは7月24日掲載予定)
制限される「音」
文字にすると、難しさがイメージしづらいが、目隠しをした状態で、すいか割りが容易にできないことを想像してほしい。さらに相手がいるスポーツ。そこには、音を消した移動攻撃や回転をかけた変化球攻撃、フェイント攻撃、わざと投球者以外のプレーヤーが音を出すノイズなど、化かし合い・駆け引きが行われる。人間は視覚を通じて8割の情報を得ていると言われるが、情報を得る要の視覚を封じた中で、相手の動きを予測し、ボールの軌道にすばやく反応するため、高い集中力が必要となるほか、守備の際は体を投げ出してボールをブロックするなど、見た目以上に豊富な運動量が求められる。そして、何よりゴールを奪うため、戦略性が重要となる競技なのだ。
女子はロンドン金も近年は苦戦
市川女子日本代表HCが今後の日本の軸と期待する、欠端(左)と若杉 【スポーツナビ】
しかし、手応えもつかんだ。女子チームを率いる市川喬一ヘッドコーチ(HC)は「失点数を見ても、ディフェンス力はリオ出場チームで上位でした。ディフェンス力だけなら、十分金メダルを獲れる力があったと思っています。ですので、攻撃力の強化が不可欠。オフェンスの要である欠端(瑛子)、若杉(遥)、天摩(由貴)が中心になりつつある」と若手メンバーの成長に目を細める。
20年東京パラリンピックで王座奪還を目指す女子チームは、まず18年世界選手権の予選となるアジア・パシフィック大会(8月19〜27日)での優勝を目指している。「守備も再構築していて、新しい守備体系も作りつつあるので、しっかり準備して臨みたい」(市川HC)と、リオで敗れた中国にリベンジして再度世界の頂に登る考えだ。