清宮幸太郎のファンタジーは最終章へ 最後の夏を「早稲田実の夏にしたい」

清水岳志

15日が西東京大会初戦

8日に行われた東京大会開会式で選手宣誓を行った早稲田実・清宮 【写真は共同】

 清宮幸太郎の言葉やプレー、そして結果にはファンタジー的な部分がある。

 1年夏の西東京大会決勝は5点差をひっくり返しての優勝だった。今春のセンバツ1回戦では9回土壇場での同点劇からの逆転勝ちだった。今春の都大会決勝では9回に同点3ランを打った。「まさか、ここで」という状況で結果を残してきた。ホームランを高校通算103本放ったことも、まさに夢のような話だ。

「早稲田実の夏にしたい」

 西東京大会前にこんな物語を宣言した。いよいよ最後の夏が始まる。15日が初戦(3回戦vs.南平)だ。果たして清宮主将率いる早稲田実は西東京を勝ち抜いて甲子園に出られるだろうか。

重心を後ろに残して本塁打連発

春の招待試合で高校通算100本塁打を達成した清宮 【写真は共同】

 清宮の春は行く先々でホームラン協奏曲に沸いた。茨城で行われた関東大会は混乱を見越して、広い駐車場も確保できるプロ野球対応の球場でゲームが組まれた。沖縄、愛知、香川などであった招待試合も盛況だった。ネットテレビが急きょ、中継をしたり、スポーツ紙はホームランが出るたびに大きく扱った。

 和泉実監督は「清宮はじっくり練習をしていかないとダメなタイプ」という。清宮はセンバツから都大会の序盤まで不調だった。その間、年度末試験やセンバツでの遠征、甲子園から戻って新チームの発進などいつもの速度の日常ではなく、じっくり腰を据えた練習にならなかったようだ。都大会の中盤から普段の練習サイクルに戻って復調。そこから6月中旬まで、約2カ月間に組まれた試合で20本以上のホームランを積み上げた。西東京大会中に、あと3本に迫った高校最多107本に達する可能性がある。

 春以降、「打席では突っ込まないで重心を後ろに残すように意識している」という。それが好調を維持している要因だろう。「当たれば130メートル級のホームランばっかり」と和泉監督の頬も緩む。3番・清宮、4番・野村大樹の長距離砲を中心に打線の迫力は実証済みだ。「リードされてもあきらめない」。主将の口癖はチーム全体に浸透している。

【スライドショー】清宮の打撃フォーム

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著者プロフィール

1963年、長野県生まれ。ベースボール・マガジン社を退社後、週刊誌の記者を経てフリーに。「ホームラン」「読む野球」などに寄稿。野球を中心にスポーツの取材に携わる。

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