【DDT】樋口和貞がDNA卒業マッチで最後の大暴れ「DDTに行ってもっともっと上を目指します」

高木裕美
 DDTプロレスリングの若手主体プロジェクトDNAの2度目の聖地興行「FIGHTING GIG DNA EP.34〜Starting Over〜」が4日、東京・後楽園ホールで開催された。DNAは「DDT NEW ATTITUDE」の略称で、「若い力が主人公となる新プロジェクト」として、14年11.28北沢タウンホールにて旗揚げ。
 今年2月からはエス・ ピー広告株式会社に大会運営を委託し、 映像ディレクターの佐々木敦規氏が大会プロデューサー、お笑いトリオ東京03の豊本明長さんがアドバイザーを務めていたが、今大会を最後に現体制は一区切り。8. 5新宿FACEでのビアガーデンプロレスからは、DNA第3章として、8選手参加の「プロレス甲子園」が開催されることが発表された。

自らの門出を白星で飾った樋口

 前回大会で高木三四郎社長より「DNA卒業」を発表された樋口和貞は、卒業記念試合として中津良太と組んで、岩崎孝樹&吉村直巳組と対戦。最後の大暴れを見せると、卒業後の未来を残された選手たちに託した。
 大相撲出身、28歳の樋口は、14年11月のデビュー以来、185cm、113kgの恵まれた体格を生かし、DDT本線でも存在感を発揮。DNAとして聖地初新進出となった前回の5.10後楽園では、昨年10月の「DNA?Grand Prix 2016」優勝決定戦で敗れた因縁の相手マイク・ベイリーを倒し、「DNA最強決定戦」を制すると、高木社長から「おまえは本日をもってDNA卒業だ。これからはDDT所属としてプロレス界を盛り上げてくれ!」と告げられるも、樋口は「DNA所属として精一杯戦って、次の後楽園を満員にしたい」と、今大会を最後とすることを直訴し、この日の卒業マッチ実現となった。

 観客からも大量の紙テープと歓声で卒業を祝福される中、樋口は岩崎を豪快なボディースラムで投げつけると、体格的には互角の吉村とは肉弾戦を展開。岩崎のハイキックをラリアットで封じ、痛めた腕への腕ひしぎ逆十字固めを狙われると、樋口は逆に持ち上げて切り返して見せ、ド派手なぶちかましからの轟天で、自らの門出を白星で飾った。

思い出のリングに「ありがとう。さようなら」

 やはり、この日で水差しアドバイザー卒業となる豊本さんから「DDTに行って、大きくなって、またこのDNAで巡り合えればいい。DDTの樋口和貞として、プロレス界の歴史に名を残していってください」とエールを送られた樋口は、「DDTに行って、もっともっと上を目指します」と、プロレスラーとして生まれ育った、思い出のリングに「ありがとう。さようなら」と別れを告げると、「オレがいなくなった後のメインイベント、これがDNAの未来です」と残された選手たちに団体の明日を託した。

NωAの勝俣がDNA新エースに名乗り

 樋口から「DNAの未来」を託されたメインイベントでは、24歳の勝俣瞬馬と21歳の上野勇希が、20分を超える熱戦を繰り広げた。
 アイドルユニットNωAの一員として、DDTマットでも活躍する勝俣は、前回の5.10後楽園大会ではWRESTLE−1の鈴木鼓太郎とシングルで対戦し、あと一歩まで迫る好勝負を展開。一方、昨年10月にデビューしたばかりの上野は、大阪市立咲くやこの花高等学校の同級生である竹下幸之介に完敗したものの、DDTのKO−D無差別級現役王者の胸を響かせてみせた。

 上野は序盤から場外戦を仕掛け、勝俣の体を客席のイスごと後方へ吹っ飛ばすと、場外マット上へのボディースラム。勝俣も荒々しい張り手連打で対抗すると、15分過ぎにはスワンダイブ式Xファクター、バズソーキックを炸裂。粘る上野をファイヤーバードスプラッシュで仕留めた。

 DNAの新エースに名乗りを上げた勝俣は、「これまでのように豪華なゲストや派手な演出もない。でも、僕たち1人1人ががんばって熱い試合を見せていくので、これからもよろしく願いします」と、観客に変わらぬ声援を訴えた。

両国メインの遠藤が絶好調をアピール

 8.20DDT両国国技館大会のメインイベント出場権を手に入れた遠藤哲哉は、NωAのMAOとのハイフライヤー対決に快勝した。
 遠藤はDDT6.25後楽園大会で行われた「KING OF DDT 2017」で優勝。両国国大会のメインで、KO−D無差別級王座へ挑戦することが決定した。

 遠藤は開始早々、ヘッドスプリングで起き上がる軽快な動きを見せると、さらにサッカーボールキック、チンロック。MAOのドロップキック、ノータッチトペなどを食らいながらも、スパニッシュフライ、ブレーンバスターからの旋回式トーチャーラックボムで勝利し、絶好調をアピールした。

鈴木大が引退回避で応援団の大家が男泣き

 7人に全敗すると強制的にプロレスラーを引退という「試練の七番勝負」に臨む鈴木大は、辛くも引退を回避した。
 鈴木はこれまで、佐藤耕平、田中将斗、潮崎豪といった強豪選手と7分1本勝負で戦い、いずれも完敗。今回は7分間の1対4変則タッグマッチとして、鈴木秀樹&葛西純&NOSAWA論外&グルクンマスクの4人を一度に迎え撃つことになった。鈴木大はグルクン、鈴木秀樹、NOSAWAから瞬殺されると、最後の相手・葛西にもまったく歯が立たず。だが、大技を連発する葛西がフォールに入るたびにNOSAWAがカウントを妨害し、そのうちに7分が経過。結局、鈴木大自身の成長はほとんど見られないまま、ルール上、引退回避が決定し、応援団の大家健が男泣きした。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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