ドイツが示した国際舞台での圧倒的な力 実利を優先、柔軟性も持つ若き選手たち
数日間のうちに2つのタイトルを獲得したドイツ
コンフェデレーションズカップはドイツの優勝という極めて順当な結果に終わった 【写真:ロイター/アフロ】
数日間のうちに2つのタイトルを手にしたことにより、ドイツは国際舞台における圧倒的な力をあらためて証明した。冷静沈着なヨアヒム・レーヴ監督は、今大会のメンバー選考に際して、2014年のワールドカップ(W杯)ブラジル大会優勝メンバーの多くに休みを与えることを選んでいる。
レーヴはマッツ・フンメルス、サミ・ケディラ、メスト・エジル、マヌエル・ノイアー、トニ・クロースらを招集せず、若手中心のメンバー構成で今大会に挑んだ。それはフィリップ・ラームやミロスラフ・クローゼ、ルーカス・ポドルスキ、ペア・メルテザッカーらが代表を去り、マリオ・ゲッツェも長期離脱中の状況下で、新たな世代にチャンスを与えたいと考えたからだ。
ゆえに23歳のユリアン・ドラクスラーが大会の最優秀選手に選ばれ、ディエゴ・マラドーナからゴールデン・ボールを受け取ったのも偶然ではない。
チリの方が長い時間ボールをキープしていたが……
グループリーグの対戦も合わせて、チリとの2戦はどちらも内容は互角だった 【Getty Images】
サンクトペテルブルクで行われた決勝にて、ドイツは前半30分ごろまでチリのハイプレスにさらされて自陣に押し込まれ、圧倒的にゲームを支配されていた。だがラース・シュティンドルが決めたこの日唯一のゴールは、チリのマルセロ・ディアスが自陣の最後尾でボールを奪われるミスを生かしたものだった。
メキシコとの準決勝でも相手のミスを逃さず、容赦なく4ゴールを積み重ねたドイツは、勝負どころで実利を優先したフットボールに徹することができるチームだ。しかも選手たちはさまざまなシチュエーションで状況を打開できるテクニックも持ち合わせている。この柔軟性こそ、近年の成功をもたらしてきた秘訣(ひけつ)である。
また、今回レーヴが抜てきした若い選手たちは近い将来、主力に成長することが期待されている。今大会を通して彼らに積ませた経験もまた、後に実を結ぶことになるはずだ。